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コロナ禍のストレスとネット依存、子どもたちと専門家が一緒に議論

新型コロナウィルスの感染拡大に伴う休校の長期化で、子どもたちのインターネット利用時間の増加が懸念される中、ネット依存やストレスについて子どもたちと専門家がともに考えるシンポジウムが30日、ビデオ会議システム「zoom」で行われました。

兵庫県立大の学生らが中心となって運営する「ソーシャルメディア研究会」が主催。第一部では、子どもとネットのかかわり方について研究する環境人間学部の竹内和雄准教授、臨床心理士で災害時の子どものストレスやトラウマケアが専門の大学院減災復興政策研究科の冨永良喜教授、精神科医でネットやゲーム依存の専門外来を開く神戸大学医学部の曽良一郎教授が対談し、第二部には中高生らも加わって熱い議論が繰り広げられました。

竹内准教授によると、子供たちのインターネットの平均利用時間は年々増えています。竹内准教授が2019年に大阪の小中高校生2万人を対象に実施した調査によると、一日当たりの平均接続時間が4時間以上と答えたのは高2男子で40.6%、高3女子で38.1%にのぼりました。

1~2割はネット・ゲーム依存予備軍 週30時間以上使用で「依存」状態

曽良教授は、諸外国の学術論文ではネットやゲームを週に30時間(1日に4~5時間)以上使用することを依存状態とみなしているとして「おそらく人口の1~2割は依存症予備軍にあたる。行動制限下でネットやゲームの使用が過剰になり、依存が深まっているかもしれない」と警鐘をならしました。また、長期間にわたるゲームの反復利用によって、脳内の快楽をつかさどる神経伝達物質ドーパミンの大量分泌が繰り返されると、神経回路が変化してゲームを渇望する状態になると指摘。「多くの人が『好きで続けているのだから自分でやめられる』『自己責任だ』と言うが、一度変化した神経回路は簡単には元に戻らない」として「ネット・ゲーム依存は慢性の再発性疾患」だと解説しました。その上で、「本人を責めず、少しでも良くなればほめてあげることが治療に効果的」と語りました。

怒りの行動を認め、「心のつぶやき」推測して具体的な声掛けを

冨永教授は現在の子どもたちの精神状態について「人は命を脅かすような出来事には生理的な覚醒水準を上げて闘おうとする。現在もウィルス感染の危機が持続している状態にあり、過覚醒によってイライラする、寝つきが悪いといった反応が表れていることが考えられる」と指摘。学校再開を前に「子どもたちのストレスは不登校やキレる、保健室に駆け込むといった行動に現れるかもしれない。怒りの行動を認めて望ましい行動を提案してほしい。教師は授業中にうとうとしている子を起こそうとしたり『大丈夫か』と声掛けするのではなく、子どもの心のつぶやきを推測して『眠れてる?』『ご飯は食べている?』と具体的に聞いてほしい」と訴えました。

また、ストレスから心身の回復を促進させるのは①希望②効力感③落ち着くこと④絆⑤安全感であるとした上で「オンラインなら、他者と安全に絆を深めることができる」とインターネットのメリットを強調しました。

「気軽に快楽」1日13時間使用  友人同士でルール決め、使用制限する試みも

第二部には神戸市立中2年の男子生徒、岡山県立高1年の女子生徒、兵庫県立高2年の男子生徒らも登壇しました。

 

休校期間中の生活について、高2男子生徒は「オンライン型の対戦ゲームや漫画が読めるアプリを、多い時には一日に12~13時間利用している」と打ち明け、「ゲームは短時間で簡単に快楽を得ることができるため、ゲーム以外に楽しいことを見つけるのが難しい」と現状を変える難しさを指摘。友人の取り組みとして、携帯電話にパスコードを設定してアプリ使用に時間制限をかける「スクリーンタイム」を使い、相互に利用制限を図る例を紹介しました。

 

高1女子生徒は「家に一人だけでいると、頑張っても誰にも見てもらえないし、勉強のモチベーションが維持できない。自分だけでちゃんと生活を管理するのは大変」と語り、「このままではまずいという危機感から、友人同士で一日のノルマを達成できたかを報告しあったりするようになった」と紹介しました。

 

中2男子生徒は「一日に自分がしたことを書きだして振り返る取り組みをしたところ、ネットだけではなく運動などをする時間も増えた」と紹介。ネットの使用について「友人たちと作ったルールは、学校での自分の立場が悪くなるという懸念から破りにくくなる」と語りました。

 

冨永教授は「友達同士でネット使用をコントロールしようとしていることは素晴らしい」と評価。対談の中で、オンライン学習環境の整備状況に差があることも明らかとなり、「国はオンライン授業をしっかり後押ししてほしい。うまく使って授業のほか、教師と生徒らが苦しい思いなども分かち合うことができるようにしてほしい」と訴えました。

 

 

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