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髙坂誠学長一行が福島国際研究教育機構との「レジリエントなまちづくり」に関する共同研究の実施に向けて、福島県を訪問しました

本年3月に福島国際研究教育機構(Fukushima Institute for Research, Education and Innovation 通称「F-REI」、本部:福島県双葉郡浪江町)と、福島県浜通り地域の復興および発展、福島や東北の創造的復興、日本創生の牽引に寄与するために連携協力することを目的とした基本合意書を締結したことを受け、今後、同機構とともに福島県浜通り地域の「レジリエントなまちづくり」に向けた共同研究を進めていくにあたり、2011年に東日本大震災の影響により事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)および周辺市町の現在の状況を把握するため、本学の髙坂誠学長と坂下玲子副学長、地域ケア開発研究所の増野園惠教授ほかが、5月28日(木)~29日(金)の2日間にわたって福島県を訪問しました。

※東京電力福島第一原子力発電所…所在地は福島県双葉郡大熊町で、同県双葉郡大熊町と双葉町にまたがって位置している。

2026年3月10日開催 基本合意書締結式後に行われた意見交換の様子

 

髙坂学長一行が訪問した福島県浜通り地域の市町(色あり)

 

東北大学原子力安全・廃止措置研究センター訪問

1日目の5月28日(木)、髙坂学長一行は宮城県仙台市に到着後、東北大学片平キャンパス(仙台市青葉区)内にある東北大学多元物質科学研究所を訪問しました。この訪問は、東北大学元副学長で現宮城大学学長の佐々木啓一教授からのご紹介によるもので、福島第一原発の現在の状況や現場のハード面の問題を理解するため、東北大学を訪れました。
まず、東北大学副理事(復興新生担当)で同大学大学院工学研究科の渡邉豊教授と、福島第一原発の事故を受け、安全・着実な廃炉の実現をめざして2016年12月に設置された東北大学原子力安全・廃止措置研究センターの桐島陽センター長・教授、同センターの堂崎浩二支援室長から、同センターの福島第一原発の廃炉に向けた取組について説明いただき、同原発の廃炉および地域再生について意見交換を行いました。その後、桐島センター長の研究室において、燃料デブリ関連の研究中の様子を見学し、意見交換を行いました。
※燃料デブリ…福島第一原発で事故が発生した際に、原子炉内の冷却機能が失われ、核燃料や炉内構造物が溶けて混ざり、冷えて固まったもの。高い放射性物質を含み、非常に強い放射線を放出している。

 

福島県双葉町・福島県浪江町訪問

次に、髙坂学長一行は、宮城大学の佐々木啓一学長、小沢晴司事業構想学群教授とともに、福島県浜通り地域のほぼ中央部にあたる双葉郡の北東部にあり、福島第一原発から直線距離で北へ約4kmの場所に位置する双葉町役場(福島県双葉郡双葉町)を訪れ、伊澤史朗双葉町長と会談しました。なお、本学と宮城大学は、東日本大震災発生以降、ともに震災復興に向けて取り組み、また、2012年6月に学術交流および教育協力に関する協定を締結し、現在も「コミュニティ・プランナー育成プログラム」を協働で実施するなど、深い協力関係にあります。
伊澤町長との会談では、本学から町に対し、坂下副学長を代表とするチームが研究を行っており、兵庫県淡路市等で展開している、AIを活用した健康予測「オーダーメイド健康レポート」の活用・支援や、町の保健師の方々への支援を提案したことに加え、町職員や住民の方々へのメンタルヘルスの支援の可能性を提示し、今後に向けた取組や方向性について意見交換しました。

※「オーダーメイド健康レポート」…自治体が持つ住民1人ひとりの過去の健康データを匿名化した上でAIによる分析を行い、10年以内の脳卒中・心血管疾患などの発症リスクを個人ごとに予測し、対象者の行動変容につなげる個別化健康支援ツール。発症リスクが高いと判断された住民に対して、保健師が特定保健指導を行う際に活用していただくなどしている。

 

続いて、双葉町役場から車で北へ10分ほどの場所で、福島第一原発からは直線距離で北へ約9kmの場所に位置する浪江町役場(福島県双葉郡浪江町)を訪問し、吉田栄光浪江町長と会談しました。本学から町への支援を提案したほか、吉田町長から浪江町の現状についてお話しいただき、意見を交わしました。

 

福島国際研究教育機構 F-REI訪問

その後、一行は、浪江町内にあり、福島第一原発から直線距離で北へ約10kmの場所に位置するF-REIを訪問し、F-REIの山崎光悦理事長、大和田祐二執行役、田中剛総務部調査役と会談しました。会談の中で山崎理事長は、地震・津波・放射能汚染による複合災害という、他ではなかなかない困難を受けている福島の地で、こうした困難に対して特別なケアを施すことのできる先進的なモデルを構築したいとの志向を示されました。さらに、本学および宮城大学の研究者を含め、関係者を広く集めた勉強会を立ち上げ、各研究者の専門分野から「この地で何ができるのか」を出し合う、実効性のある議論をしたいと話されました。本学・宮城大学・F-REIの三者は、勉強会の実施を含めた今後の取組などについて協議し、引き続き協力し合いながら取組を推進していくことを確認しました。

 

南相馬市訪問

2日目の5月29日(金)、はじめに福島県浜通り地域の北部にあり、福島第一原発から直線距離で北へ約25kmの場所に位置する南相馬市役所(福島県南相馬市)を訪れ、門馬和夫市長と会談しました。会談では、門馬市長から東日本大震災および原子力事故発生時の市内の状況と当時の市の対応や、震災からの復興と将来に向けた主な取組についてお話しいただき、また、本学からは市への支援を提案するなどしました。

 

原子力について理解を深める

会談後、一行は南相馬市役所から車で40分ほど南下して福島県浜通り地域の中央部にある福島県双葉郡大熊町へ移動し、福島第一原発から直線距離で南へ約8kmの場所に位置するCREVAおおくま(大熊町産業交流施設)内にある中間貯蔵事業情報センター(運営:中間貯蔵・環境安全事業株式会社)と、ANALYSIS LAB.(アナリシスラボ、運営:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島廃炉安全工学研究所)を見学し、放射線に関する知識や環境再生事業などについて理解を深めました。最後に、福島第一原発から直線距離で南へ約9kmの場所に位置する東京電力廃炉資料館(福島県双葉郡富岡町、運営:東京電力ホールディングス株式会社)を訪れ、福島第一原子力発電所事故や廃炉事業の現状などについて確認しました。

 

福島の復興に向けて

このたびの福島県訪問について髙坂学長は、「阪神・淡路大震災の際、世界中から多くのサポートをいただき、支えていただいた。それを踏まえ、『われわれはどのような形でサポートしていただいたみなさんに、少しでも恩返しができるのか』ということが、兵庫県立大学の存在理由の1つになっている。その柱には2つあり、1つは『災害看護』で、看護系学部を有する5つの大学と連携して、大学院共同災害看護学専攻(5年一貫性博士課程)を設置したり、日本災害看護学会および世界災害看護学会を発足させるなどしている。もう1つは、2017年4月に日本で初めて設置した『大学院減災復興政策研究科』で、阪神・淡路大震災の経験と教訓、復興の知見等を活かして、自治体などが抱える課題の解決に寄与するなど、減災復興に関する実践的な教育・研究を展開している。また、2011年の東日本大震災の際は、兵庫県はカウンターパート方式で宮城県を応援することになり、本学は同じ公立大学である宮城大学をサポートするため、発災直後から現地に入って支援していた。学生も、南相馬市に農地の解除や農業支援などの災害ボランティア活動で入らせていただくなどはしていたが、大学として直接福島に支援できていなかったことが長い間気がかりだった」と福島への思いを語りました。
その上で、「もう1つは、2024年1月1日に能登半島地震が発生し、その後の現地の復興が依然厳しい状況下に置かれていることを懸念している。今後、発生が予想されている南海トラフ地震のこともあるので、もう一度、われわれは何ができるのかについて、福島のことを学びながら、南海トラフ地震のことも考えながら、防災・復興対策について本気で考えていかないといけないと思っている。阪神・淡路大震災が発生した1995年はボランティア元年といわれており、多くの方から温かい手を差し伸べていただいた。それに対して、われわれはこれからも変わらず応えていきたいと思っている」と述べました。

基本合意書締結式で。(左)山崎理事長 (右)髙坂学長

 

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