このたび、社会情報科学部・情報科学研究科の川向肇准教授と川向准教授の研究室の社会情報科学部4年生および情報科学研究科の大学院生を中心としたメンバーが、滋賀大学主催の大学間プロジェクト「防犯予防と社会安全演習」に参加し、その成果に関する発表会が、7月14日(火)にオンラインおよび現地(滋賀大学彦根キャンパス)で行われました。

日本初の大学での犯罪情勢分析プロジェクト
犯罪抑止対策、特殊詐欺対策などでは、地域の犯罪情勢の分析による的を絞った対策と効果検証が有用とされており、これらのテーマについて、海外では多くの大学(犯罪学部・刑事司法学部)で講座が開講され、現役警察官の学びの機会は多いとされていますが、日本の大学が警察等との連携により、実践的な犯罪予防教育を大学教育として展開する取組は、本プロジェクトが初めての試みといいます。
本プロジェクトは、犯罪予防、エビデンスに基づく政策形成、環境心理学を専門とし、かつて警察庁科学警察研究所犯罪予防研究室長を務めた滋賀大学データサイエンス学部の島田貴仁教授が同学部において開講されている講義・演習「犯罪予防と社会安全」を、警察および自治体の実務家と他大学の学生に開放する形で行われたもので、神奈川県、滋賀県警察、大阪府警察、兵庫県警察、沖縄県警察の方々の協力を得て実施されました。
本プロジェクトには、滋賀大学データサイエンス学部をはじめ、津田塾大学総合政策学部、中央大学法学部、早稲田大学法学部および社会科学部、名城大学人間学部の学生が参加したほか、本学からは、地理情報システム、地域科学、統計科学を専門とし、これまでに兵庫県加古川市との協働で同市の見守りカメラ導入による自転車盗抑止効果に関する研究をした経験を有する川向准教授と、川向准教授の研究室のメンバーを中心とした学生・大学院生が参加しました。
学生たちは、複数の大学の学生・大学院生で構成される5つのグループに分かれ、各警察・自治体から提示された課題について、犯罪に関するデータ、国勢調査、経済センサス、国土整備情報などの各種オープンデータを活用しながら、犯罪科学とデータ分析の考え方を用いて、警察・自治体の現場の実務に有益な提案の検討を行ってきました。併せて、参加大学の教員は、各グループに対してそれぞれの研究背景の知見を提供し、学生と討議をするなどの教育に取り組みました。
協力
神奈川県くらし安全防災局くらし安全部くらし安全交通課(特殊詐欺)
滋賀県警察本部生活安全部生活安全企画課(特殊詐欺)
大阪府警察本部生活安全部府民安全対策課・旭警察署(自転車盗)
兵庫県警察本部生活安全部生活安全企画課・西宮警察署(自転車盗)
沖縄県警察本部生活安全部生活安全企画課(自転車盗)
参加大学・教員
滋賀大学データサイエンス学部・島田貴仁教授(早稲田大学社会安全政策研究所招聘研究員)
津田塾大学総合政策学部・鈴木あい講師
中央大学法学部・四方光教授
早稲田大学法学部・社会科学部
名城大学人間学部・原田知佳教授(座学第4回・第5回講義実施)
兵庫県立大学社会情報科学部・情報科学研究科・川向肇准教授(座学第2回講義実施)

大学間プロジェクト「犯罪予防と社会安全演習」発表会
発表会当日、現地会場の滋賀大学彦根キャンパスには神奈川県、滋賀県警察、兵庫県警察の方々が来場されたほか、他府県の警察や自治体の方々、他大学の教員等もオンラインで参加され、約80名の方が参加されました。本学の参加学生たちはオンラインで参加・発表しました。

現地会場の様子


本学神戸商科キャンパス内でオンライン参加・発表した学生たちの様子
発表会では、はじめに島田教授から本プロジェクトの趣旨説明があり、プロジェクトの特徴やこれまでの講義・演習の取組内容について紹介がありました。
続いて行われた学生・大学院生による発表では、各グループ15分のプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーション後には、本プロジェクトに参加した大学の教員と、テーマを提示いただいた警察・自治体の方々から講評がありました。

各グループの発表内容 ※本学の学生・大学院生は各グループに1名または2名配属
神奈川
「ニセ警察詐欺の特徴とその対策」 協力:神奈川県くらし安全交通課
特殊詐欺では、頻繁に新しい手口が用いられるため、手口ごとに被害リスクを分析し、対策を実施することが重要である。本発表では、新興型の手口であるニセ警察詐欺の特徴を把握した上で、ナッジを用いた動画配信とその効果検証手法を提案する。
滋賀
「地域で取り組む特殊詐欺対策」 協力:滋賀県警察本部生活安全企画課
滋賀県では、深刻化する特殊詐欺に対応するために「滋賀県トクリュウからみんなを守る県民運動」を推進している。本発表では、同運動の実効性を高めるために、県内の特殊詐欺被害状況を分析してその特徴を把握した上で、県民に広く周知するためのキャンペーンとその効果検証手法を提案する。
大阪
「警察署単位の犯罪情勢分析」 協力:大阪府警察本部庶民安全対策課・旭警察署
同一都道府県の中でも、警察署によって地域特性や犯罪情勢は異なるため、その警察署での発生状況に応じた対策が求められる。本発表では、大阪府警察本部が提供しているデータ(あんまちアーカイブ)を用いて、府下における自転車盗の発生動向を分析した上で、府内の1警察署に注目し、その対策と効果検証手法を提案する。
兵庫
「自転車盗の分析結果に基づくパトロールの提案」 協力:兵庫県警察本部生活安全企画課・西宮警察署
パトロールは、警戒によって潜在的犯罪者の犯罪を抑止し、職務質問や現認によって犯罪者をいち早く検挙するという多くの役割を担っている。本発表では、兵庫県内の1警察署に注目し、市内の自転車盗の発生状況を分析した上で、パトロール手法とその効果検証手法を提案する。
沖縄
「少年の非行防止としての自転車盗対策」 協力:沖縄県警察本部生活安全企画課
自転車盗は、窃盗手口の中でも最も被害が多い身近な犯罪であるため、その抑止が求められる。その際、自転車盗の検挙人員の半数は少年が占めていることから、少年の非行防止として考えることが有用である。本発表では、沖縄県における自転車盗の発生状況から県内を類型化した上で、少年の非行防止に着目した対策とその効果検証手法を提案する。
各グループの提案に対し、参加大学の教員からは「今の若年層に響きやすいツールを使用したアプローチを提案しているところが良かった」「プロジェクトでの島田教授の指導が提案に活かされていた」などの良かった点についてや、「プレゼンの際に使用するグラフの選択について配慮が必要」「提案内容について、実際に自分たちで実行してみて効果があるのかどうか確認することが大事」などの改善点についてコメントがありました。
また、警察・自治体の方からは、「これからも警察・自治体・大学とで協力しながら施策を進めていけたらと思っている」「現場の警察官は、気合と根性でパトロールをしているのが現実であるが、今回の発表を踏まえ、今後の対応について考え、分析に基づいた施策を行うことで地域社会を良くしていきたい」などのコメントをいただきました。

学生たちの発表に対して講評する川向准教授
最後に、大阪府旭警察署の河盛誠造署長が挨拶され、「この短期間で『ここまでできるんだ』と、みなさんの発表を聞いて感動した」と冒頭で話され、発表会に参加された警察の方々に向けて、「今回参加された学生の方たちの取組を踏まえて、これから現場で頑張ってほしい」と話され、また、参加した学生たちに向けては、「協働とは同じ目標に向かって、皆で一緒に汗を流すことである。データ分析をして対策を検討しようとする際には、現場に出向いて、そこにいる人、そこの空気をしっかり感じて、誰のためにしていることなのかを思案することを大切にしてほしい」とメッセージを送られ、発表会を締めくくられました。

・社会情報科学部
・滋賀大学主催プロジェクト「犯罪予防と社会安全」演習への参加-Kawamukai Lab,Univ.of Hyogo 兵庫県立大学 川向研究室 紹介サイト
本プロジェクトの様子はNHK大津放送局のNHK NEWS大津で放送されました
「大学生が警察などと連携し特殊詐欺対策などを発表 滋賀 彦根」
NHK ONE:https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-2060021159
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