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ラジオ関西に出演! 大学院 理学研究科 澤井 仁美 助教

【 澤井 助教 】

本学ではラジオ関西との共同企画で、教員が取り組む先進的・特徴的な活動を広くPRするために、毎月1回本学の教員が、ラジオ関西番組「PUSH!」にてパーソナリティと対談形式で紹介しています。

 

1月4日(火曜日)放送の「PUSH!」「こちら兵庫県立大学です!」に登場するのは、大学院理学研究科 澤井 仁美(さわい ひとみ) 助教です。

今回のテーマは 生きるために必要な金属「鉄」

~からだの中で鉄分がはたらく仕組みを精密に理解しよう!~

澤井助教の専門は、生命金属科学という新しい研究分野です。

澤井先生の研究テーマについて

澤井助教は本学前身である姫路工業大学の卒業生で、学生の時から「からだの中で鉄分がはたらく仕組みを精密に調べる」研究を行っています。

私たちの体は主に「水・たんぱく質・脂質」からできていますが、それら以外に微量に含まれるミネラル、つまり「金属」が体の調子を整えてくれています。しかし私たちは体の中で金属を作る事ができないので、食べ物に含まれる金属を取り込んで利用しています。取り込まれた金属は、体の中でそのまま存在しているのではなく、色々な形の「たんぱく質」に結合して機能しています。澤井助教は、体の中で働く金属の中でも、量が多く重要な役割を担っている「鉄」に注目し、それを安全に効率よく利用するための精密機械のように働く多種多様な「たんぱく質」の形を、本学理学部の近くにある大型放射光施設SPring-8 の特殊な実験装置を利用して、Å(オングストローム、100億分の1メートル)の精度で調べています。

鉄は必要なのになかなか吸収されない

「体の中には釘1本分くらいの鉄が入っています!」という澤井助教からの話にパーソナリティの林さん、コメンテーター山崎さんは一斉に「えー!?」と驚いていました。体重1kgあたりに含まれる鉄量は約70 mgなので、体重 (kg)に70をかけると自分の体の中にある鉄の大まかな量 (mg)を計算できます。私たちは体の中で鉄をつくることができないので、栄養素として食べ物から鉄を摂取しないといけないのですが、たくさん食べても1日1~2㎎しか吸収できないそうです。ですから一度に大量摂取しても吸収されず、胃腸を壊す要因にもなりますし、何かの外的な要因で鉄が大過剰になってしまうと肝炎やがん等の原因にもなるそうです。一方で、鉄欠乏症は地球規模でみると深刻な問題で、WHOによると、鉄欠乏性貧血は世界人口の約25%にあたる約16.2億人を苦しめる栄養失調症であると報告されているそうです。

【澤井助教 資料「生きるために必要な「鉄」より】

鉄のはたらきは多岐にわたる

体内の「鉄」は色々なはたらきをしているそうです。たとえば、赤血球にたくさん含まれているヘモグロビンに結合して全身に酸素を運んでいます。ヘモグロビンに含まれる鉄分は、「ヘム鉄」と呼ばれており、肉や魚など動物性食品にたくさん含まれている栄養素です。この鉄分が不足すると、全身に酸素を運べなくなるので酸欠症状が出てきます。さらに赤血球の寿命は120日ほどですが、古くなった赤血球は分解され、鉄がリサイクルされているそうです。このようにして貴重な鉄分が不足しないよう体の中で調整しているそうです。その他にも、ご飯を食べてエネルギーに変換するところではたらく酵素や、アルコールや薬物を解毒するための酵素にもヘム鉄が含まれています。このように「鉄」は、すべての生物が生きるために欠かせない機能を調節しています。

【澤井助教 資料「生きるために必要な「鉄」より】

今後の研究について

鉄をはじめ、からだの中にある金属は多すぎても少なすぎても病気になります。澤井助教は、金属を利用するために働くたんぱく質の形を精密に調べ、金属のバランスが崩れて起こる病気を治すための「新しい医薬品のデザイン」や、食品から安全に効率よく金属栄養素を摂取できるようにする「栄養強化素材の開発」に貢献したいと話していました。

私たちの生命を維持するのに必要な鉄分。自分が1日に必要な鉄分を補えているのか、まずは普段の食生活を考え直さなければと思うきっかけになりました。

 

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