記事検索

  • 学部・組織・所属

  • 記事のテーマ

  • 記事のタイプ

「デジタル技術を取り入れて、学びの質の向上を図るために」看護学部FDセミナー

6月14日(火)、明石看護キャンパスにおいて、看護学部の教育改革・生涯学習・国際交流推進委員会主催で、看護学部及び地域ケア開発所の教員を対象としたFDセミナーが会場とオンラインで開催されました。FD(ファカルティ・ディベロップメント)とは、大学の教員が授業の内容や方法を改善し、向上させるために実施する組織的な取組のことで、定期的に学内で研修会やセミナーを行っています。

 

セミナー開催の背景

看護学部では、新型コロナウイルス感染症拡大により、臨地(医療機関や地域施設)での学生の受け入れが困難となり、学生が実際に患者を対象に行う臨地実習が中止・縮小され、学内での実習に変更されるといったことが起こりました。また、感染予防の観点から、本学の中でもいち早くオンライン授業を導入しました。

安全な環境での充実した学びの提供と、カリキュラムの履修への影響を最小限に留めるべく、教員による様々な工夫と試行錯誤が行われてきました。

 

このような状況の中で、看護学部は、今年度、文部科学省の大学改革推進等補助金「ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業」の交付を受け、デジタル技術を積極的に取り入れて、学びの質の向上を図る取組を行うことになりました。

この事業は、コロナ禍における臨地実習や大学入構制限下で、必要な看護技術と判断力の習得を可能とし、また、従来の実習等では獲得できなかった能力を修得させる教育プランを構築して、即戦力となり得る実践的な知識を身につけた医療人材を養成することを目的に、生体シミュレーター及び動画収録のための大型共有装置と、遠隔ICT機器を導入して活用していくというものです。

 

今回のセミナーは、このたび交付された補助金で導入した生体シミュレーター及び大型共有装置と、遠隔ICT機器である分身ロボットの使用方法や教育現場での活用事例に関する理解を深め、今後の授業での活用方法や想定される課題等を検討するために開催されました。

 

「気づき」を促す―生体シミュレーターと大型共有装置

セミナーの第1部では、株式会社京都科学からお招きした講師より、生体シミュレーターと大型共有装置の使用方法の説明と活用事例の紹介がありました。

タブレット端末内のソフトウェアには、学生と教員とで生体シミュレーターを使用してシミュレーションを行うために必要な情報が入っています。教員は、シミュレーションの目標に合わせて、ソフトウェアで生体シミュレーターの設定を行い、学生の動きをタブレットで記録するほか、症例によっては患者の状態を変化させることもできます。

 

生体シミュレーターは、呼吸音や心音、血圧や脈拍などのバイタルサインを設定した事例患者の症状に応じた内容に設定することができ、これらのバイタルサインを測定できる仕組みになっています。設定に応じて、顔面蒼白や紅潮など、顔色に変化をつけたり、咳や息切れなどの音声を出すことができます。また、気道確保や胸骨圧迫など、看護の基本手技のトレーニングに活用することも可能です。

※バイタルサイン…「生命兆候」のことで、一般的には「脈拍」「呼吸」「体温」「血圧」を指す

 

モニターで生体シミュレーターのバイタルサインを確認できるようになっています。

大型共有装置には、カメラが2視点ついており、シミュレーション中の学生の行動を録画し、シミュレーション後、録画内容をもとに学生と細やかに振り返ることができるようになっています。単なるシミュレーションでの体験で終わらせるのではなく、今後の現場での実践につないでいくため、学生の疑問、気づきを促すための振り返りの技術が教員にも求められます。

 

離れた場所でもいつもと同じコミュニケーション―分身ロボット

第2部では、オンライン配信で株式会社オリィ研究所の講師から、遠隔ICT機器の分身ロボットの使用方法の説明と、活用事例の紹介がありました。

分身ロボットは、パソコン・スマートフォン・タブレットのどの端末でも使用することができ、アプリやブラウザに接続して操作します。手で頭を抱える動作や拍手をするなど、感情を表現するためのジェスチャーが12種類登録されています。

 

分身ロボットを使用することのメリットとして、「遠隔地からでも操作が可能であること」「12種類のジェスチャーにより、感情表現ができること」「ロボット越しに人と会うことになるため、対人へのハードルが低くなること」が挙げられるそうです。

 

より良い学びの提供につなげていくために

第3部では、zoom内でグループに分かれて、生体シミュレーターや分身ロボットの今後の活用・運用方法、課題等の意見交換を行うディスカッションが行われました。

グループディスカッションでは、「学生が就職前に不安な対処方法を解消するために活用するのに良いと思う」といった前向きな感想をはじめ、忌憚のない意見が聞かれました。

最後に、主催の太田垣裕子教授は、「(本セミナーが)DX(デジタルトランスフォーメーション)機器の活用の課題を検討していくスタートになることを祈念しています」と話し、セミナーを締めくくりました。

今回導入されたこれらの機器を活用して、より一層、現場への対応力や高度な看護技術を備えた医療人材の育成につなげていくための第1歩となるセミナーでした。

関連リンク

 

COPYRIGHT © UNIVERSITY OF HYOGO. ALL RIGHTS RESERVED.