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「働くときに知っておきたい、働く人を守る法律」 兵庫労働局による労働法制出張講義が行われました

7月16日(火)、神戸商科キャンパスにおいて、厚生労働省兵庫労働局の方々による出張講義が行われました。

この講義は、全学部の1年生を対象に開講している全学共通科目「法学」の授業時間を利用して行われたもので、当日は約100名の学生が受講しました。法学では、日常生活において、受講者が法と様々な面で関わっていることを認識し、法に関する基礎的知見の取得及び関心を醸成することを目的としています。また、公務員試験などを目指す学生の動機付けや、働いていく上で重要な知識を習得することを目標として、裁判所や自治体等で法に携わる職務従事者の方を外部講師としてお招きしてご講義いただき、現代社会の課題を具体的に学ぶ機会としています。
今回は、これから社会に出ていく学生等に向けて、労働法制の基礎知識や職場トラブルの対処方法などの周知を図るため、教育機関等で出張講義を実施されている兵庫労働局のご協力を得て、局長をはじめとした兵庫労働局の方々を講師にお迎えし、ご講義いただきました。

 

当日の様子

講義では、はじめに兵庫労働局長の赤松俊彦氏から「働くときに必要な労働法の基礎知識」と題して、兵庫労働局の組織についてや、就職活動や働くときに知っておきたい労働法の基礎知識と併せて、就職活動の際に必要な取組や考えておくべきことなどについてお話しいただきました。
赤松氏は、就職活動を始める際に、まずは自分自身のことについて考えることが大事であるとし、アメリカの心理学者のカール=ロジャーズ(Carl Ransom Rogers,1902-1987)が提唱した「自己概念」を取り上げられ、「人間は、自分がどういう人間なのかという自己概念と、これまでしてきた経験が一致しないときに葛藤を覚えるという。逆に一致しているときは、自分らしさに気づいて、前向きな気持ちになるとロジャーズは言っている。そのために、自分の経験を言葉にしたり、意味付けしたりすることは大事なトレーニングになるとされている」と説明され、企業や行政等の採用試験の面接の際には、応募者の自己概念が成長しているかどうかを確認するためのやりとりが高い頻度で発生していることから、自己分析とともに業種や職種、企業研究をしっかりしておくことが大切であると話されました。

また赤松氏は、「自分自身の強みを活かして欲しい。自分が何者かに気づいて、自分の進む道を見つけて欲しい。社会に出ると辛いこともたくさんあるが、辛くても折れない心を持ち、自分を認めて欲しいと思う。そして、心も体も健康でいられるようにコントロールして欲しい。また、人生は意思決定の連続、決めていかないといけないことの連続である。大学では様々なことを学ぶことができる。決めるときに判断材料がなければ決めることは難しい。大学で勉強したことで役に立つか分からないようなことも、これから先の人生で判断材料として役に立つかも知れない」として、「人や社会に対する関心を持っていただき、優しく、温かな人柄に、そして、謙虚さを忘れないように過ごしていただきたいと思う」と話されました。

 

次に、本学工学部の卒業生でもある兵庫労働局雇用環境・均等部指導課 雇用環境改善・均等推進指導官の小笠原涼氏から「労働基準監督署、労働局の業務について~大学生のアルバイト等にも各種法令が適用されます!~」と題し、厚生労働省入省後から現在までに経験してきた部署や業務内容の紹介をはじめ、労働基準監督官になったきっかけや、これまでに勤務したことのある労働基準監督署で印象に残っている業務、現在の業務にまつわる法律について、お話しいただきました。
労働基準監督官(国家公務員専門職)は、労働基準関係法令に基づいて工場や事業所などに立ち入り、法に定める労働条件や安全衛生の基準を事業主に遵守させることにより、労働条件の確保・向上、働く人の安全や健康の確保を図ることを任務とする厚生労働省の専門職員です。小笠原氏が労働基準監督官になったきっかけは、労働基準監督官をテレビドラマを通じて知っていたことと、採用試験において理系区分があることだったとし、「立派な理由でなったわけではないかもしれないが、上司や周りの方に恵まれて居心地も良く、やりがいもあり、今日まで無事やってこられている」と話されました。また、兵庫労働局での業務において担当されている「パートタイム・有期雇用労働法」と、今年の11月1日から施行される新しい法律「フリーランス・事業者間取引適正化等法」について、主に学生たちにも関連のある部分を中心にご紹介いただきました。

 

続いて、兵庫労働局雇用環境・均等部企画課の足立知也氏から「ハローワークのご紹介~実体験を交えて~」と題して、厚生労働省入省後から現在までに経験してきた部署や業務内容の紹介をはじめ、なぜ現在の仕事に就いたのかについてや、ハローワーク(公共職業安定所)の仕事紹介を中心に、思い出に残っている仕事、労働局に就職して良かったことなどについて、お話しいただきました。
足立氏は、主に労働局やハローワークで勤務する厚生労働事務官(国家公務員一般職)として勤務されています。現在の仕事に就かれた理由について「私が就職活動をしていた頃は、若い方の早期退職の問題が世間で注目されていた。生活に密着しており、多くの課題を抱える『労働』に取り組む仕事であれば、やりがいを持って働き続けることができるのではないかと考えた」と紹介され、「『働き方改革』や『同一労働同一賃金』など、世間で注目されている様々な課題に取り組む仕事であり、日々やりがいを感じながら働いている」と話されました。
また、各項目についてお話しされる際には、就職先を探すポイントを交えながらお話しいただき、「長い期間やりがいを持って働き続けることができるか」「接客の有無について」「職種を限定した仕事が良いのか、総合職のように幅広い仕事をする方が良いのか」などをポイントに挙げられました。さらに、労働局に就職して良かったこととして挙げられた4点の内の1つ「人間関係の良さ」について言及され、「就職先を探す際には、労働条件など目に見える部分だけでなく、職場の採用説明会やインターンシップなどを通じて、雰囲気など目に見えない部分も確認した方が良いと思う」と学生に向けてアドバイスされました。

 

3名の方々の講演後に設けられた質疑応答では、学生からは労働局の繁忙期の有無などの労働局における業務に関するものや、就職活動において企業研究をする際のポイントなどに関する質問がありました。

最後に赤松氏は、就職活動に関する取組について「民間企業では、CSRレポートやESGレポートというものが作成されている。これらには、その会社の思いや制度等が凝縮されている。誰でも見ることのできるものなので、透明性をもって社会に対峙している会社かどうか、ぜひ参照していただきたいと思う」と話され、講義を締めくくられました。
※CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)…企業が自発的に行う社会的責任を果たすための企業活動のこと。
※ESG(社会的責任投資)…Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの言葉の頭文字をとって作られた造語で、これらに配慮した投資活動や経営・事業活動を指す。

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