1月27日(火)、神戸商科キャンパスにおいて、国際商経学部の2年生から4年生を対象に開講している、みなと銀行・兵庫県立大学連携講座「地域経営論」に、株式会社みなと銀行代表取締役社長の持丸秀樹氏を講師にお招きしての講義が行われ、約100名の学生が受講しました。

県内の産業基盤を支える多彩な企業を知る-「地域経営論」
本学では、2015年12月に株式会社みなと銀行と締結した産学連携協力協定に基づき、2018年度から同行の企画により、みなと銀行・兵庫県立大学連携講座「地域経営論」(担当教員:田島喜美恵准教授、三木良行講師)を開講しています。
本講座は、みなと銀行を中心に、兵庫県を本拠地として、国内外に向けて活動する企業の経営者の方々を講師としてお招きし、当該企業の属する市場動向や技術動向から、自社の経営学的特徴(企業理念、経営戦略、競争戦略、ビジネスモデル等)を講義いただき、学生が理論として学んでいる経営学がいかに実践されているかを学び、将来への視野を広げることを目的としています。また、ご自身の経験談(サクセスストーリーから失敗事例まで)も紹介いただき、学生たちのモチベーションアップにつながることも期待しています。
今年度は、10月3日(金)から1月30日(金)にかけて、全15社の経営者等の方々にご講義いただきました。本記事では、1月27日(火)に同行の持丸氏によって行われた第14回の様子をご紹介します。
各講義テーマおよび講師

地域密着型の地方銀行
持丸氏からは「「金融+」で地域の未来を切り拓く」と題し、「みなと銀行について」「地域活性化への取組」「持丸氏ご自身の経験談」の3点を軸にお話しいただきました。
みなと銀行については、りそなグループの銀行の1つで、兵庫県内に89拠点を有する地方銀行であることや、県内の9の地方自治体の指定金融機関であること、116名の本学卒業生が同行で活躍していることなどを紹介されました。また、「みなと銀行の目指す姿」については、『地域のみなさまとともに歩む真の県民銀行』であると話され、「われわれとしては、まだその道の途上にあると認識している。地域の方々から愛され、敬われ、そして、頼りにできると思ってもらえて初めて『真の県民銀行』にレベルアップしていけるのではないかと思っている。私としては、りそなグループパーパスの『金融+で、未来をプラスに。』とも共鳴し合っていると考えており、地域の未来をプラスにすることが真の県民銀行への道であると思っている。われわれの銀行は地域密着型で、さらにソリューション力の高いサービスが提供できる金融機関として、これからも活躍していく必要がある」と話されました。

株式会社みなと銀行代表取締役社長 持丸秀樹氏
加えて、持丸氏は「銀行には『預金・融資・決済』の3大業務がある。これまでわれわれもこの3つの機能を通じて、金融機関として大きな社会的インフラとしての役割を果たしてきた。一方で、この3つの機能については銀行だけでなく、他にもさまざまな業態や手段が出てきた。われわれとしては、3つの機能を維持しながら、元々の存在意義に立ち返るべきではないかと考えており、それは、地域に関わる方々が安心して暮らせる社会を実現することではないかと思っている。そして、社会状況を見ると、企業を取り巻く課題、みなさんを取り巻く課題、社会課題など、いろいろな課題が横たわっている。このような課題にいかに正面から取り組んでいけるかが重要である。しかし、これらはわれわれだけで解決することは難しい。銀行が持つネットワークや情報力、信用力、金融技術などをフルに活用し、地域の方々を巻き込みながら課題を解決していくことが、われわれの役割ではないかと思っている。そのため、みなと銀行では、コンサルティング機能の発揮や地域活性化に向けた取組を非常に重要な役割として位置づけている」と説明されました。
「この仕事をしていて良かった」と思えた瞬間
地域活性化の取組については、銀行が持つ金融に関する機能を活用することにより課題解決をめざす「銀行らしい取組」として、創業支援、事業再生、事業承継、信託の4つを、「銀行の枠を超えた取組」によって課題解決をめざす「銀行らしくない取組」として、海外ビジネス、観光開発、就労人口の増加、社会課題の解決の4つを挙げられ、それぞれの取組内容についてお話しされました。
その中で持丸氏は、これまでの銀行員生活の中で印象に残っている業務として、信託部門での5年間の経験を挙げられ、「信託の1つに、お客様が『自分が亡くなった後に自身の財産を次世代の誰にどういうふうに渡したいのか』などの思いを遺言(公正証書遺言)にしたためられ、その遺言とお客様の財産をわれわれがしっかりお預かりし、ご本人が生涯を遂げられた後にお客様が指定された大切な方(相続人)に配分する『遺言信託』というものがある。お客様がメッセージ(付言事項)を残されるわけだが、お亡くなりになった後に開封し、相続人の方と一緒にこの文章を読み上げる場面が非常に感動的だった。相続人に残したかったお客様の思いをしっかりと届けることができたということで、この仕事をしていて非常に良かったと思えた瞬間だった」と話されました。
※公正証書遺言…証人2名以上の立ち会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を口授して、それを法律の専門家である公証人が筆記し、遺言者、公証人、証人が署名押印して作成する遺言。
※信託…自身の財産等を信頼できる人に託し、その財産を自身の意図する目的に沿って管理・運用、承継してもらう制度。
※付言事項…法的効力はないが、遺言者から家族やお世話になった人などへの感謝や気持ち、願いなどの思いを伝えることができる事項。

信用・信頼の基に成り立つ分野の仕事で最も重要なもの
また、持丸氏ご自身の経験談では、銀行に就職した理由について言及され、「小学校時代は学校の先生になりたいと思っていた。特に3年生・4年生のときの担任の先生が私にとっては生涯の恩師のような存在で、一緒に楽しんだり悲しんだりと、子どもと同じ目線で接してくださる人間愛に溢れた方だった。私もそうした先生になりたいという思いを抱いていた。中学・高校時代は人の役に立つ仕事をしたいということで弁護士になりたいと思っていた。しかし、高校3年の受験直前になって、もう1回、教育への思いが沸き上がってきたため、最終的には教育学部に進学した。大学入学後、いざ就職先を決めるにあたって、大学で学んだ教育社会学を活かせる、具体的な仕事のイメージが明確に見つけられなかったこともあり、活動の幅が広そうな業種を探していたところ、銀行に辿り着いた。就職してから30年以上経ち、さまざまな企業、さまざまな方々と出会い、関わり合いを持ち、非常に良い経験をさせていただいていると思っている」と話されました。
さらに、銀行で働くために必要なことについては「『大学で何を専攻したのか』よりも、どういう思いを持ってその会社・銀行をめざすかが大事だと思っている。銀行はお金にまつわる仕事をするので、やはり信用や信頼の基に成り立っている。そういう意味では、この分野で最も重要なのは人間性ではないかと考えており、お客様や地域社会に本当に関心を持つことや、そうしたお客様や地域社会に対してしっかり尽くすことのできる奉仕の精神を持っていること、あるいは正直であることなど、人間性が問われるビジネスなのではないかということで、私としては高い倫理観を持つことが重要と考えている」と話されました。

最後に持丸氏は、「みなさんにはできるだけ多くの失敗をしていただいたら良いと思う。もちろん、成功体験はみなさんに大きな自信を与えてくれるものではあるが、それ以上に失敗から学ぶことの方が圧倒的に多いと、これまでの経験から感じている。やはり、挑戦しないことにはチャンスは絶対に訪れない。若いうちは失敗することを恐れなくても良いのではないかと思っている。私自身も若い頃に数多くの失敗をし、周りの方にいろいろ支えられてやってきたが、そこから学んだことが非常に多く、お客様からお叱りを受けたことも数多くある。そのときに自分が何を考えたかが大事であり、どう対処し、それを次にどう生かしたかの方が圧倒的に大事である。みなさんには、できるだけチャレンジをし、多くの失敗をすることによって人生の幅を広げていただきたい。そして、できるだけ『食わず嫌い』をなくして欲しい。みなさんは、これから就職に向けて企業研究等をされると思うが、『この企業を知らずに就職した』というようなケースがある。兵庫県には魅力的な企業がたくさんあり、われわれは今後もこうした講座を開講したり、情報発信することで県内のいろいろな企業を紹介していきたいと思っている。より多くの企業・業種を知ることで、自分の幅を広げ、また、自身の個性をフルに生かせる可能性も期待できると思うので、ぜひ『食わず嫌い』をなくしていろいろな企業・業種を知り、経験をしていただきたい」と学生たちに激励のメッセージを贈られました。
COPYRIGHT © UNIVERSITY OF HYOGO. ALL RIGHTS RESERVED.