減災復興政策研究科は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校で、国際的に活躍できる科学技術者の育成に力を入れているグローバルサイエンス科を有する兵庫県立宝塚北高等学校(兵庫県宝塚市)と教育研究交流に関する連携協定を締結することとなり、7月8日(月)、神戸防災キャンパスにおいて連携協定締結式を行いました。
この連携協定は、教育及び学術研究上の協力関係を推進することを目的としています。兵庫県立宝塚北高等学校と連携協定を締結することとなった背景には、減災復興政策研究科の馬場美智子教授が、2019年に同校がSSHの指定を受ける前からSSH運営委員会委員として同校のSSHに関する事業に携わっていたことや、同校の生徒に講義や研究成果へのコメントを行っていたこと、また、昨年度から同研究科の永野康行研究科長がグローバルサイエンス科の1年生を対象に「減災復興学の視点に立つシミュレーションを活用した新たなまちづくり」と題した講義を実施したり、2年生の生徒に課題研究への助言を行うなど、かねてより交流があることから、このたび協定を締結することとなりました。
今年の3月4日に兵庫県立宝塚北高等学校グローバルサイエンス科1年生(40名)が本研究科を訪れ、永野研究科長の講義を受講した際の様子
今年の5月24日に同2年生の4名が永野研究科長の研究室を訪問
締結式で永野研究科長は、「本日は兵庫県立宝塚北高等学校と教育研究に関する連携協定を結ばせていただくということで、大変嬉しく思っている。今まではそういうものはなく、貴校の生徒のみなさんに当研究科に来ていただいたり、私たちが貴校で講義するなどのやりとりをさせていただく中で、それはそれで一定のやり方だと思っていた。明文化された形での協定締結は、一番には生徒のみなさんのためにと思う一方で、貴校の先生方とも教育面や研究面において、何か連携が進められればと思っている。私たちの学生にとっても、貴校の生徒のみなさんや先生方と交流する中で学ぶことには非常に大きなものがあると思っており、フィールドワーク等もご一緒させていただければ、新たな発見にも結びつくのではないかと考えている。一方的に私たちのWinだけでなく、貴校にとってのWinもあり、まさにWin-Winの関係がこれを機に深められればと思っている」と挨拶しました。
兵庫県立宝塚北高等学校の白川淳哉校長は「貴学にはいろいろなところでご協力いただいており、様々な力を貸していただいている。先ほどの挨拶にもあったが、こちらだけのWinではないかと懸念していたが本当に心強い限りである。私見であるが、高校生が伸びる中で、いろいろな『伸びるきっかけ』というものがあり、その中の1つに知的好奇心がくすぐられるというところが必ずあると思う。グローバルサイエンス科の生徒たちもいろいろなことに興味を持ちながら、いろいろな場で、いろいろな分野に興味を持つ。そうした中で、大学や大学院の先生方からコメントやご助言をいただくことで、彼ら彼女らの好奇心が大きくくすぐられたり、自信を持たせていただいたりして、『こういうふうに生徒たちに響いていくのだな』ということを実感したので、こうした形で協定を結んでいただけることに本当に感謝している。今後も力を貸していただき、われわれも何かできることがあれば仰っていただきたい」と挨拶されました。
このたびの連携協定により、両者による教育研究交流を一層充実させていくこととしており、本研究科が昨年度から発行している研究紀要ジャーナル「減災復興学研究」内に設けられている、査読がなく比較的投稿がしやすいジャンル「研究ノート」への論文投稿や、本研究科主催の研究発表の場で、宝塚北高等学校の生徒のみなさんにも発表していただくこととしています。
また、永野研究科長は自身の高等学校時代の教育と、現在の高等学校における教育の違いについて言及し、「私たちが高等学校の生徒だった頃は、学びというと既存の教科書があり、解き方などの方法が書かれていて、答えがあり、練習問題もあって、教科書の後ろの方のページに答えが書かれていた。それらをできるようになることが私たちにとっての学習だった。今は、大学入学共通テストなど大学受験のための学習もある中で、探究であるとか課題解決、いわゆる『答えのないもの』に対する取組がある。社会に出るとそのような問題ばかりであるが、それらをどうやって解決していくのか、そもそも解決できるのかといったことを高等学校の生徒のみなさんは限られた時間の中で取り組み、何とか達成しないといけない。そうした中で、高等学校の先生方は素晴らしい取組をされている。学習との両輪はなかなか難しいのではないかと思うが、私たちに何か役に立てることがあればこれを機に、ご一緒させていただければと思っている」と述べました。これに対して白川校長は、「昔の教育とは違う次元に入っており、どのような人材が育つのか楽しみにしている。『探究活動はこんなに良いのだ』と言われるこの時代に、『良いと言われているが本当に良いのか』という答えが出るのは、おそらく10年20年後であると思う。探究活動を経験した生徒たちが社会で活躍するような層になってきて初めて『あのときの経験が生かされたな』というような出来事があれば、『高校のときに大学とつながっていて良かった』など、いろいろな答えがそのときに出てくると思うので楽しみにしている」とし、「高校だけで取組をしていると不安に感じる部分があるが、こうして大学院の先生方がサポートしてくださるというのは心強い」と述べられました。
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