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減災復興政策研究科が兵庫県立尼崎小田高等学校と 教育研究交流に関する協定を締結しました

減災復興政策研究科は、文部科学省「実践的安全教育(防災)総合支援事業」学校防災体制推進校の指定校であり、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校である兵庫県立尼崎小田高等学校(兵庫県尼崎市)と、教育研究交流に関する連携協定を締結することとなり、6月25日(火)、神戸防災キャンパスにおいて連携協定締結式を行いました。

 

この連携協定は、教育及び学術研究上の協力関係を推進することを目的としています。減災復興政策研究科と兵庫県立尼崎小田高等学校は、かねてから交流があり、本研究科の開設前年の2016年に兵庫県立尼崎小田高等学校が文部科学省の学校防災体制推進校の指定校となった際に、本研究科の浦川豪教授が同校の災害対応マニュアルや避難訓練等の見直しのための助言や教職員の防災教育にかかる授業実践力向上等のために助言等を行う学校防災アドバイザーとして派遣されたことに始まります。浦川教授の助言を受け、同校は「兵庫県立尼崎小田高等学校が地域の防災活動のハブとなり、地域の方々と防災・減災について考える時間を共有し、地域の防災力向上を目指す」という目標を立て、浦川教授をはじめ、本研究科の大学院生や本学の副専攻「防災リーダー教育プログラム」を履修する学部生も兵庫県立尼崎小田高等学校の生徒・教員とともに防災に関する活動に取り組み、今年で8年目となります。

これまでの取組の代表的なものとしては、各学校独自で作成することとなっている「学校減災マニュアル」の見直しと、マニュアルをもとにした機能訓練とその振り返りの実施や、災害時要支援者の方々を含む地域の方々が、発災時に安全な場所へ避難する経路を個人別に示したデジタルマップ「防災『絆マップ』」の作成・配布などの取組があり、特に同校での「学校減災マニュアル」の取組は、兵庫県教育委員会発行『学校防災マニュアル』で見本として紹介されています。また、年に1度、兵庫県立尼崎小田高等学校の生徒が中心になって実施されている防災イベント「あまおだ減災フェス」については、本学の大学院生と学部生とそれぞれの関係教員も参画しています。

学校減災マニュアル改訂ワークショップの様子

 

学校減災マニュアルをもとに行われた機能訓練の様子

 

防災「絆マップ」

 

防災「絆マップ」を地域住民の方に贈呈した際の様子

 

締結式で減災復興政策研究科の永野康行研究科長は、「本研究科の主たる業務は学部を卒業した学生の教育と研究をするところであるので、高等学校の生徒との直接的な接点が一般的にはなかなか持ちにくいところがある。しかし、最近は探究活動をはじめとした様々な実践的な活動が高等学校で行われていると認識しており、それらの活動の中で、私たちの教員も本研究科の開設前から貴校とともに防災に取り組んでいると聞いていたので、改めてここで文書による締結が必要かどうか考えた」とし、「来年1月17日に阪神・淡路大震災から30年を迎える。私たちは、どちらも阪神・淡路を経験した兵庫県の大学と高等学校である。文書として残す協定締結は新たなスタートにもなり、私たちの学生・教員にも良いものになる。貴校の生徒のみなさんや先生方のためにもなる。そして、兵庫県全体にこの取組の良さが反映されていくことを期待している。今後も貴校とのこの協定に基づいて、本当に名実ともに手を取り合い、いろいろな取組をさせていただければありがたいなと思っている」と挨拶しました。

 

兵庫県立尼崎小田高等学校の山根尚校長は、「貴学には長きにわたり、防災・減災に関するご指導をいただいている。本校の特徴の1つに、学校全体で探究活動に取り組んでいることがあり、その中にも幅広く防災・減災教育が浸透している。これらも貴学のご指導の賜物と感謝を申し上げたい。今回の協定締結によって、校内に防災・減災の学びに対する機運がさらに高まることは間違いないことと思う。また、貴学の日本の、世界のトップレベルの学びを生徒たちだけではなく教員が学ぶことによって、さらに防災・減災教育が活性化し、その学びのシステムを構築して、それらを本校から他校に発信できれば良いなと思っている。今回の締結を機に、浦川先生にご指導いただいている『学校減災マニュアル』もさらにブラッシュアップしていきたいと思っているので、今後もご指導をお願いしたい」と挨拶されました。
また、協定締結の意図については「貴学の先生方には非常に高いレベルのご指導をいただいており、毎年最先端の学びに触れることができ、社会科学系の学びを積み上げてきたところである。さらに協定を締結することにより、自然科学系の学びにも触れさせていただき、生徒たちに刺激を与えていただくということでは大変有意義であり、チャンスなのかなと思っている。生徒たちが大学院生のみなさんと一緒に取り組むことで刺激をいただきながら、高校生らしい柔軟な発想を上手く引き出していただけたらと期待している」と話されました。

 

このたびの連携協定により、より一層両者の交流を深め、防災・減災に関する教育・研究を推進していくこととしています。具体的には、今年で7回目となる「あまおだ減災フェス」の開催に向けての取組をはじめ、本研究科が昨年度から発行している研究紀要ジャーナル「減災復興学研究」への論文投稿や、本研究科主催の研究発表の場で尼崎小田高等学校の生徒のみなさんにも発表していただくこととしています。
今後の展望について永野教授は、「高校生が大学を見たときに最初に見るのは学部だと思う。その際、全国的に見てもいわゆる『防災学部』というものはそう多くはなく、本学にも6学部あるが直接防災を学べる学部はない。しかし、6学部共通の副専攻『防災リーダー教育プログラム』があることや、基礎となる学部で学んだあとにさらにその学びを深めたいということで、本研究科に進学してもらえる将来の学生になっていただければ良いなという思いがある。もう1つは、近々に迫る南海トラフ巨大地震関連の事柄に対して、特に尼崎エリア、高校近隣に軸足に置いて、生徒のみなさんが探究活動をされると聞いている。高校生には少し難しく感じるかも知れないが、私たち大学院における第一線、世界レベルの教育・研究に触れることによって、それに感化されて一段ギアが変わる探究活動につながっていただければと考えている」と述べました。

「あまおだ減災フェス」の取組に参加経験のある本研究科の大学院生(前列)とともに

 

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