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工学部の学生が、令和4年度文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ学生研修プログラムを受講しました

本学の工学部3年生の押谷花衣さんが、令和4年度文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)学生研修プログラムに採択され、8月23日~25日の3日間にわたって国立研究開発法人物質・材料研究機構(茨城県つくば市)で行われた「細胞実験・イメージング基礎講習」を受講し、9月16日に開催された成果発表会に参加しました。

国立研究開発法人物質・材料研究機構で卓上走査型顕微鏡を使って細胞を観察する押谷さん

 

本プログラムは、次世代を担う研究者・技術者育成のために、文部科学省が大学院生・大学生・高専の学生を対象に、ナノテクノロジー分野に関する最先端研究に接する機会を提供するもので、ナノテクノロジーに関連する研究・開発への興味を深め、最先端装置に関する技術を体験することを目的に行われています。採択された学生は、最先端の設備を有する国立大学や国立研究開発法人物質・材料研究機構などで、日本の第一線の研究者や技術者の指導により、ナノテクノロジーに係る最先端の設備・機器を使用し、その仕組みや原理を理解する研修を受けます。本プログラムでは、37の研修プログラムが用意されており、全国から約30名が採択されますが、今回のように研究室配属前の学部3年生の採択は珍しいケースです。

 

押谷さんは、現在、本学の工学部応用化学工学科に所属しています。以前から「人間にとって無害な物質と有害な物質の違いは何か」という疑問を持っていたそうで、専門の授業では、そのような疑問に関連する科目として、特に生化学に興味を持って学習しているそうです。また、高校在学中から、種々の探究活動などを通じて、先行研究の調査の重要性や実証のための多くの実験の必要性を感じており、本学での学びにおいても、早い段階で最先端の高性能機器や手法、それらを用いた研究を知ることが重要ではないかと考えたといいます。「研究の仕事に興味があったので、少しでも近くで研究に関わることができればと、この講座を受講しました。私は、学生実験で行ったアスピリンの合成をきっかけに、生化学と有機合成に興味を持ちました。そのため、現在興味のある分野の実験を体験することで、研究室選びの参考にしようと考えました」と、押谷さんは話します。

今回、押谷さんが受講したプログラム「細胞実験・イメージング基礎講習」では、関連する基本知識の座学と、卓上走査型顕微鏡や共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いた実技を交えたプログラムが実施されました。押谷さんは、「研修では、細胞の培養や顕微鏡に関する講義に加えて、細胞を染色して、卓上走査型顕微鏡と共焦点レーザー蛍光顕微鏡で観察を行いました。それぞれの顕微鏡によって、細胞の見え方の特徴がはっきりと分かりました。細胞に関する知識だけでなく、観察したいものによって顕微鏡を変える必要性を学ぶことができました。これらの内容を一流の研究者の方々に直接指導していただけたので、実験の要点などを学ぶことができました。実習では、最初は難しい操作も多かったのですが、徐々にできる操作が増えていきました。先生は、『実験は、慣れが大事である』と仰っていました。このことから、実際に研究室に配属されて実験をする際には、正確なデータを取るためにも、実験を数多くこなしていこうと考えました。また、バイオ系以外に、有機合成系の研究にも興味があるので、これからそちらも調べていきたいと考えています。今回学んだことを、今後、研究をする上での心構えとして活かしていきたいです」と、受講したプログラムで得ることのできた学びについて話しました。

 

また、9月16日に行われた成果発表会について、押谷さんは、「成果発表会では、3分間のショートプレゼンとポスター発表を行いました。ショートプレゼンでは、研修の内容を伝えることが目的でした。他の参加者の発表を聞くことで、『同じ目的でも、いろいろな伝え方がある』ということが分かりました。研究室に配属されて、発表を行う際には、いろいろな方法を試して、自分に合った方法を確立させようと思いました。ポスター発表では、ショートプレゼンの内容をより深めて説明しました。そのため、詳しい内容を分かりやすく伝える必要がありました。また、研究者や他の学生など、様々な人と交流することができました。自身が行った実習と似たようなプログラムを受講した学生もいたので、それぞれの実習の視点の違いから話をすることで、自身が行った実習を違う角度で捉えることができ、とても有意義な時間になりました。また、今回私がポスター発表で受けた質問では、『なぜ、この器官を観察するのか』など、先生から言われたことを何となくこなしているだけでは対応できないような質問もありました。このような質問から、『研究において、1つひとつの操作の意味を理解することは大切である』と学びました。研究室に配属されると、最終的には今回経験したような質問を受けることが考えられるので、学部3年生のうちから研究室に配属された後を見据えて勉強をしていこうと考えています」と、話してくれました。

成果発表会での押谷さん

 

成果発表会参加者による集合写真(前から2列目・左から3人目が押谷さん)

 

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