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兵庫県立大学ソーシャルデータサイエンス研究所が兵庫県商工会連合会と調査研究に関する連携協定を締結しました

兵庫県立大学ソーシャルデータサイエンス研究所と兵庫県商工会連合会(神戸市中央区)は、地域活性化に向けて地域経済や諸産業の動向、地域中小企業・小規模事業者の実態等に関する調査・研究およびその成果の普及等において連携し協力することを目的として、連携協定を締結することとなり、12月11日(木)に神戸市内で連携協定締結式が行われました。

(左)兵庫県商工会連合会 藤井信孝会長 (右)兵庫県立大学ソーシャルデータサイエンス研究所 木村真所長

 

ソーシャルデータサイエンス研究所は、経済学・経営学を基盤とした政策科学研究所を前身とする附置研究所として、2025年4月に神戸商科キャンパス内に開設しました。急速に進む社会の情報化と経済環境の変化に対応すべく、兵庫県をはじめとした地方自治体や経済団体等が抱える政策課題や社会的要請に対して、それらの機関が保有する情報を共有・活用する「データ駆動型」の研究を行うことにより解決策を導き出し、地域経済分析等に広く活用できるデータ基盤の構築を行うなど、データサイエンスのアプローチで挑む研究機関として活動しています。なお、本研究所の所長は、財政学、公共経済学、社会保障論を専門とする社会情報科学部・大学院情報科学研究科の木村真教授が務めています。

 

また、兵庫県商工会連合会は、2024年度に同会で策定された『兵庫県商工会プラン』に基づいて地域経済の発展に貢献するため、今後、解決すべき課題と達成すべき目標を定められました。このたび、ソーシャルデータサイエンス研究所と連携協定を締結することにより、商工会の存在意義と、その活動の社会的インパクトを効果的に発信していくにあたって設定するKPI(重要業務評価指標)とその妥当性、測定、算出方法など各種課題の解決に向けて、共同で調査・研究等を実施することとしています。
※データ駆動型…経験や勘ではなく、データに基づいて意思決定や行動を決定・実施するという概念。

 

締結式では、はじめに兵庫県商工会連合会の藤井信孝会長が挨拶され、「今回の協定締結は、地域経済の実態をより正確に把握し、そこから得られたデータと分析結果を中小企業の支援や政策提言に活かしていくための大変意義深い取組である。兵庫県立大学とは、平成18年に当時の経営学部と事業連携協定を締結した実績があるが、社会経済環境も大きく変化し、データの重要性が飛躍的に高まっていることから、今回の協定はまさにその変化に対応した新たな連携の枠組みとなるものである」と連携協定の経緯について言及されました。
その上で、「本協定に基づき、経済センサスを活用したシミュレーションや、兵庫県商工会プランに掲げるKPIに活用するための社会経済指標の開発をソーシャルデータサイエンス研究所と共同で実施する。これにより、地域経済の状況をこれまで以上に数字で掴むことが可能となり、行政への意見具申などに大きく寄与するものと確信している。また、セミナーや研究会の開催、関連する人材育成など、多岐にわたる協力を進めていく。データサイエンス分野における生成AIの活用など、時代に即した新しい領域にも挑戦していく。地域を支える中小企業・小規模事業者の実態を正しく理解し、その声を科学的データとともに行政に届けることは、商工会の重要な使命である。本日の協定締結を契機として、兵庫県立大学の知見と商工会の現場力を融合し、より効果的な中小企業・小規模事業者支援体制の構築を進めていきたい」と締結にあたっての展望等を話されました。
※経済センサス…同一時点での我が国における包括的な産業構造や経済活動の状況を明らかにするために、国内の全ての事業所および企業を対象に実施される大規模な統計調査。

 

協定書への署名後には、木村所長が「データサイエンスで社会課題に挑む」と題し、本研究所の概要や昨今の社会の変化・ニーズ、データサイエンスに期待されることについて講演しました。
木村所長は講演の冒頭で「私の専門は、財政学、公共経済学、社会保障論ということで、一見、データサイエンスとは思われないような分野である。また、みなさんが経済学に対してどのようなイメージをお持ちかは分からないが、文系というイメージをお持ちの方が多いのではないかと思う。実際には、データから離れて経済のことを語るのはなかなか難しく、どちらかというと理系であり、海外では特に数学ができる人やデータを扱える人が一番に選ぶような学問分野である。そのため、データサイエンスは自然科学と社会科学を合わせた融合的な領域ということで、私が所長を務めさせていただいている」と話しました。

また、昨今のコンピュータの処理能力向上とAI技術の進展により、大きく変化したことの1つにスピードを挙げ、「生成AIによって非常に便利になったということは、逆に言うと、処理のスピードが非常に速くなったということである。生成AIの使用によってどんどん効率化しているので、ビジネス環境や学術環境において、そのスピードに適応しなければあっという間に取り残されてしまうというような時代になっている」と指摘しました。
さらに、今のAI時代においては「データが命」であるとし、「実は手元にあるデータというのは、本当に知りたい情報の一部でしかない。『データが命』と言った際、手元にあるデータだけでなく、データ化されていない『隠れている領域にあるものをいかに掘り起こしてデータ化するか』が、これからは大事になってくる」と説明しました。

本研究所の活動指針については、「調査研究の受託(シンクタンク機能)」「研究協力(地方自治体が保有するデータを用いた研究)」「各種団体との共同研究・共同開発」「地方自治体をはじめとする職員の人材開発・交流拠点(データ分析等のセミナー実施、客員研究員としての調査研究)」の4点を挙げ、「本研究所では、さまざまな自治体、各団体と連携を強化し、できるだけ各種データを集めながら、それらを活用した研究・分析を進め、みなさんのDXへの対応力向上にも資するような活動をしていきたいと考えている」とし、「『データが命』の時代であるので、まず、研究所で非常に重視しているのは、データの収集・分析である。アンケートの実施など、各市町村にも積極的に協力したいと思っているので、データの活用をご検討の際には、ぜひお声をかけていただきたい。それから、政策課題の解決にも取り組んでいるので、さまざまな社会課題・政策課題の解決のために共有・提供いただいたデータを使用しながら貢献していきたいと思っている」と述べ、講演を締めくくりました。

 

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