このたび、本学社会価値創造機構 金属新素材研究センター 副センター長の柳谷彰彦特任教授が「令和7年度兵庫県科学賞」を受賞し、11月13日(木)に兵庫県公館で表彰式が行われました。

兵庫県科学賞は、県民文化の高揚、科学技術の向上、スポーツの振興および明るい地域社会づくりに貢献された方々の功績を称えて兵庫県から贈られる四賞(文化賞・科学賞・スポーツ賞・社会賞)の1つで、科学技術の研究に熱心な方で、研究の成果が科学技術の向上に著しく貢献したと認められる方や、研究者であり、研究のための機械・手法の開発や組織・制度・施設の整備などに顕著な成果をあげ、間接的に科学技術の向上に貢献したと認められる方などに授与されるものです。

柳谷特任教授は、高圧ガス噴霧法を用いた金属粉末の作製に関する研究において、金属粉末作製時の凝固現象の制御により、高機能・高性能金属粉末材料の開発と実用化を果たしたこと、また、同金属粉末の成形に関する研究において、難加工・脆性材料の加工を可能としたことが評価され、今回の受賞に至りました。

柳谷特任教授が副センター長を務める金属新素材研究センターは、全国有数の金属素材製造・加工企業が集積する「ひょうごメタルベルト」をはじめ、金属関連産業の高付加価値化を図るとともに、次世代産業で必要とされる硬度・耐熱性・微細加工性に優れた金属粉末や3D造形技術の確立など、医療・航空・環境・エネルギー・自動車・電子分野などを対象とした金属新素材の研究・開発を行う拠点として、2019年4月に姫路工学キャンパス内に設置されました。
本センターでは、従来の鋳造や切削加工技術では不可能だった複雑な金属3D造形体の作製が可能であり、次世代の画期的な金属造形技術として世界中から関心を集めている金属3D積層造形技術(Additive Manufacturing 以下、金属AM)に注目し、チタンや銅などの高融点・高熱伝導の金属粉末にも対応可能な電子ビーム型と、窒素ガスやアルゴンガスの不活性ガス中で金属3D造形が可能なレーザービーム型の2種類の「金属用3Dプリンタ」を導入しています。さらに、アーク溶解装置や高周波溶解装置、ガスアトマイズ装置、粉末評価装置、電子線マイクロアナライザなど、金属新素材開発に必要な一連の装置も備えています。
また、本センターは、兵庫県立工業技術センター(神戸市須磨区)の姫路サテライトとしても位置づけられており、地元企業への技術支援を重要な活動目的としています。特に、金属3Dプリンタの導入・活用に前向きな中小企業を支援するため、先進技術を持つ企業と連携し、産学連携による技術支援に取り組んでいます。

金属新素材研究センター

金属粉末を専門とし、現在は主に金属AMに関する教育・研究を行っている柳谷特任教授は、大阪大学工学部卒業、大阪大学大学院工学研究科修了後、軸受鋼(じくうけこう)や金属粉末などの特殊鋼製造を行う山陽特殊製鋼株式会社に入社、在職中の1995年に東北大学で工学博士の学位を取得しました。同社では、粉末事業の立ち上げに携わったほか、リチウムイオン電池や光磁気記録用粉末をはじめとした多くの金属粉末材料を研究・開発し実用化するとともに、大容量垂直磁気記録ターゲット材を開発し、その工業化に大きく貢献するなど、金属粉末の分野における第一人者として長年活躍してきました。
また、金属粉末に関する研究と並行して、金属AMに関する研究・開発も行っていたことから、金属新素材研究センターの立ち上げにあたり、2018年6月に本学特任教授に就任し、センターに導入する金属3Dプリンタの選定をはじめ、幅広い事柄について助言するなど、センター設立に貢献しました。さらに、センター開設と同時に金属AMの共同研究および指導・普及を目的とした技術組合として、「ひょうごメタルベルトコンソーシアム」を立ち上げ、2025年12月現在、全国から60社を超える企業が参加する日本最大級とまでいわれる金属AMの開発組織となっています。柳谷特任教授は、ひょうごメタルベルトコンソーシアム副委員長としてコンソーシアム参加企業に向けて、また、学外においても積極的に講演を行うなど、本センターの金属3Dプリンタや金属AMの普及活動に力を入れて取り組んでいます。

金属新素材研究センター内の装置「小型ガスアトマイザー」とともに
このたびの受賞を受け、柳谷特任教授からコメントをいただきました。
このたびは、兵庫県の最高位の賞である兵庫県科学賞の受賞に際して、関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。
私は、2019年4月の金属新素材研究センターの創設の前年に特任教授として招聘され着任しました。前職では40年近く金属粉末の研究に携わり、金属粉末作製時の凝固現象の制御により、高機能・高性能金属粉末材料の開発と実用化を果たしてきました。近年は、金属AMの研究・実用化にも取り組んで参りました。今回の受賞は、私が長年取り組んできた金属粉末の研究開発および実用化と、近年の金属AMの研究に対して、その成果を高く評価していただいたものです。
私が所属する金属新素材研究センターは、金属AMを中心技術に据え、レーザーおよび電子ビームの金属3Dプリンタを各1基、溶融金属から直接金属粉末材料を作製する小型ガスアトマイザーや粉末評価装置などを導入し、大学独自で金属粉末を研究開発できる環境に整備されています。また、本センター内に事務局を置いて、『ひょうごメタルベルトコンソーシアム』の活動を推進し、企業との共同研究、金属AMの普及にも努めており、これらの活動を通じて本学は高く評価されています。今回の受賞をさらなる高みを目指していく好機と考え、精力的に研究活動に邁進していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。
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