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「税のプロフェッショナル業務を知る」明石税務署副署長による講義・大阪国税局国税専門官卒業生座談会

11月21日(火)、神戸商科キャンパスにおいて、明石税務署の副署長による講義と、大阪国税局に在籍する国税専門官の方々をお招きしての座談会が行われました。

 

明石税務署による講義

国際商経学部の専門科目として開講している租税法概論では、日本における租税法制や主要税目(地方税)の基本的な仕組みを理解し、実際の社会生活や経済活動における租税の重要性を認識することを目的としています。

また、租税に関する実務精通者である税理士や国税専門官、財務専門官等を講師として招聘し、実際に現場で働かれている方の生の声を聞くことにより、学んでいる簿記や租税法等の実社会での活用や、租税に関する職業理解を深め、将来のキャリアにつなげることも大切にしています。今回は、租税法概論の授業に、明石税務署から副署長の岡田政子氏と法人課税第四部門 財務事務官の高橋拡希氏をお招きしてご講義いただきました。

「租税法概論」担当教員の国際商経学部 濵田洋准教授

 

はじめに、岡田氏から「これからの社会に向かって」をテーマに、「暮らしの中の税」「納税の義務と必要性」「日本の財政の現状」「これからの社会と税」「納税環境の整備」と、確定申告及び所得税の申告書の作成についてお話しいただきました。

講義の中で岡田氏は、2010年に米国のテネシー州サウスフルトン市で起こった公共サービスにまつわる事例を取り上げられました。当時、現地の民家で火災が発生し、最初に出火したA宅は、すぐさま消防に出動を依頼したのものの消火活動は行われず、一方、隣のB宅に火が燃え移った際には消火活動が行われました。これは、当時のサウスフルトン市では、消防サービスを受けるには毎年75ドルの「火災保護費」を市に支払う必要があり、B宅は支払っていたことから消火活動をしてもらえたものの、A宅は支払っていなかったため消火活動をしてもらえなかったというものです。

日本における消防活動については、税金で賄われているため、納税の有無に関わらず火災が発生した際には、消防サービスを受けることができます。岡田氏は、「日本では国民の生命を守るため、消防活動といった公共サービスは、国民のみなさんに広く提供している。ただ、その費用は、国民の税金で賄うという方法で行われている。サウスフルトン市のやり方が正しいかどうかということではない。自分たちの国で『税金をどのように使うか』『どのように使うのが望ましいのか』という税金の使い方に関心を持ってほしいと思う」と学生たちに向けて語りました。

そして、岡田氏は「私たちには納税の義務がある。そして、その税金の集め方や使い道については、私たちが選挙で代表として選んだ議員の人たちが決めている。その代表の人たちに正しい選択をしてもらうためには、代表者を選ぶみなさん自身に日頃から『どういうことに税金を使うのが、自分たちの生活にとって良いことなのか』ということを考えてもらう必要があると思う。それがまさに『税の本質』で、税は公共サービスの対価になっている。自らが国を支える税金を負担しなければならないこと、税金の使い方を代表者が決めるということ、その代表者を選ぶということは、表裏一体のことなので、私たちとしては、税の使い道にまず関心を持つことが重要になる。これからの社会を担うのはみなさんになるので、みなさんが税の使い方を含めて関心を持って考えていただくことによって、今後日本がどういうふうに良くなっていくか、あるいは良くなっていかないかというのも変わってくるのではないかと思う。そのときに、特に選挙の時期になったら、いろいろな施策が出てくるので、その施策に目を向けて欲しい。目先のことだけに目を向けるのではなく、『今こういう税金の使い方をしたら、将来にどんな影響が出るか』、あるいは『他の国は、どのような仕組みになっているのか』といったことにも関心を持ちながら、広い視野で考えて欲しいと思う」と話されました。

 

岡田氏による講義後は、若手職員である高橋氏から「税務署の仕事について-税務署って何をしているところ?-」と題して、税務署における具体的な職務内容についてお話しいただきました。

講演の中で高橋氏は、大学生活を振り返り、「私が大学生活でしておけば良かったなと思うこととして、『今しかできないことをする』ということがある。あまりコロナを言い訳に使うのは良くないが、私のときは3年生・4年生のときにコロナ禍だったので、いろいろなところに行くといった経験があまりできていない。社会人になったばかりの最初の頃は仕事で疲れてしまい、休日も自宅で過ごすことが多かった。今、みなさんは大学生で時間があると思うので、いろいろな経験をされたら良いのかなと思う」と学生に向けてアドバイスを送りました。

また、就職活動の準備については、「これは公務員試験を受ける予定の人向けの話になるが、なるべく早く採用試験対策を始めた方が、余裕を持って試験に臨めるのかなと思う。私は、結構終盤になってから焦って勉強を始めたので、面接と筆記試験の両方を平行して対策をしていくというのは、すごく大変だった思い出がある」とご自身の経験をお話しいただきました。

最後に高橋氏は「公務員に限らず、民間企業の説明会などにもたくさん参加して、いろいろな職種を知って、自分の可能性を広げていっていただけたらと思う。また、みなさんは、公務員試験に限らずに就職活動というものをされると思うが、1つひとつを乗り越えて内定をもらったときというのは、達成感もあり、就職活動をやり抜いた自分にも自信が持てると思うので、将来のために今後の就職活動を頑張っていただけたらと思う」と学生にメッセージを送りました。

 

大阪国税局国税専門官座談会

講義後には濵田准教授の主催で、税のプロフェッショナル業務を知ることのできる機会として、大阪国税局に在籍する国税専門官の方々を囲んでの少人数制の座談会が行われ、国税専門官を志望している学生をはじめ、公務員志望の学生などが参加しました。

 

はじめに、大阪国税局人事第2課の方から、国税専門官の採用試験概要と国税専門官の業務概要について説明いただきました。

 

概要説明の後、3つのグループに分かれて、国税専門官の方を囲んでの座談会が行われ、終始和やかな雰囲気で進められました。座談会では、国税専門官の方からご自身の大阪国税局入職後から現在までの経歴や、国税専門官を志望された理由などをお話しいただいたほか、学生からの質問にお答えいただきました。学生からは、仕事のやりがいや、仕事をする中で一番大変だったことなどに関する質問がありました。

 

当日は、本学の卒業生でもある国税専門官の方にもお越しいただきました。

 

明石税務署からお越しいただいた高橋氏にも、座談会にご参加いただきました。

 

本学からは、これまでに多くの国税専門官を輩出しており、各地の国税局や税務署において、税のプロフェッショナルとして活躍している卒業生がいます。学生のみなさんには、今回の機会を通じて税についてより理解を深め、また、国税専門官の仕事を知り、今後のキャリア選択に活かしていただきたいと思います。

 

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