このたび、国際商経学部グローバルビジネスコース2年生の大橋さん、北岡さん、島本さんのチームが、近隣の大学・高校から22チーム約100名が参加して行われた流通科学大学(神戸市西区)主催「第8回神戸学生イノベーターズ・グランプリ(通称:I-1グランプリ)」で優勝しました。
左から島本さん、大橋さん、北岡さん
テーマに応じたビジネスプランを提案・発表-大会概要
I-1グランプリは、流通科学大学が2009年から実施されている課題解決プログラムで、社会に新しい価値をもたらす変革(イノベーション)を興す知恵を備えた人材育成を目的とし、企業から提示された課題の解決に向けて、学生らしい視点やマーケティング手法を活用してビジネスプランを提案・発表し、その内容について競い合うものです。2017年度から「I-1グランプリ」に名称変更され、今年度で8回目の開催となります。
今年度は、六甲バター株式会社(本社:神戸市中央区)から「ベビーチーズをもっと若年層が手にとり(認知)、買って(購買)、食べ続けてもらう(習慣化)」というメインテーマが提示されました。参加学生は、10月から12月にかけての約3か月間、自分たちのビジネスプランのアイデアに磨きをかけるべく、調査・研究に取り組みました。
大会スケジュール
10月5日(土) 開会式
10月23日(水) フィールドワーク(六甲バター株式会社 神戸工場)
11月27日(水) 中間プレゼンテーション会
12月21日(土) 最終プレゼンテーション会
昨年度の参加経験から得た学びを活かして
今回、「say cheese!!!」のチーム名で本大会に参加した大橋さん、北岡さん、島本さんの3人は、神戸商科キャンパスを中心に活動しているキャリアサークルに所属しています。キャリアサークルは昨年度立ち上げられたサークルで、主な活動内容は、企業研究やビジネスコンペティションへの参加で、株式会社宣伝会議主催の「販促会議 企画コンペティション(販促コンペ)」への参加を大きな目標にしています。大橋さんと島本さんはサークルの1期生で昨年度もI-1グランプリに参加しており、サークル2期生の北岡さんは今年度が初参加で、今回初めて3人でチームを組むことになったといいます。
2024年10月5日(土)に行われた開会式を皮切りに、3人は本格的に活動を開始しました。まず、3人はターゲットである若年層(大学生)を対象に、Googleフォームを活用して市場調査を行いました。「今回の課題のターゲットが大学生だったので、ターゲットがしっかり決まっている中で、アンケートを取ることによって販売の仕方が明確になるのではないかと考えました。作成したGoogleフォームは、自分たちが元々持っているInstagramの個人アカウントに挙げて、友人たちにお願いして回答してもらいました」とGoogleフォームでアンケートを作成した島本さんは説明します。
さらに、メインテーマにある「若年層(大学生)への認知」に注目し、SNSのXとTikTokのアカウントを立ち上げました。「SNSのアカウントを立ち上げたのは、このプロジェクトが始まった最初の頃です。ターゲットである若年層に宣伝するのに使用されているものであり、私たち自身も情報を集めるときにSNSをよく使うので、SNSは使った方が良いのではないかということで、3大SNSであるX、TikTok、Instagramでアカウントをつくろうという話を当初からしていました。実際には、XとTilTokのアカウントをつくり、最終的に、私たちと同じ大学生を中心とした若年層の気を惹きつけられるのは動画投稿だと考え、TikTokに絞り込みました」と、主にSNSの運用を担当した北岡さんは話します。
本大会用に立ち上げたTikTokのアカウント
本大会のために立ち上げたTikTokのアカウントには、市場調査の結果とフィールドワークでの学びを基に作成したベビーチーズのアレンジレシピの動画を2本投稿しました。その内1本は、12月10日に投稿し、12月18日時点で、いいね数8811、コメント数34、ブックマーク数1996、再生回数が25万5000回を超え、いわゆる『バズらせる』ことができたと3人は話します。この動画について大橋さんは、「フィールドワークの際に工場を見学したのですが、そのときにできたてのチーズを食べさせていただきました。私自身は元々ベビーチーズがあまり好きではなかったのですが、できたてのチーズは普段食べているものとは味が全然違っていて、『これはすごく美味しい』と思いました。『この味をどうしたら再現できるのか』と考えたときに、『TikTokに投稿する動画はこれだ』と思いました」と言葉に力を込めます。
また、TikTokには、2本のベビーチーズのアレンジレシピの動画以外に、アカウントの運用をしていた北岡さんの日常の様子を撮影した動画もいくつか投稿したといいます。「1、2本の動画を投稿するだけでは再生回数があまり増えないというのがあるので、私個人の日常を撮影したものをアカウント立ち上げ時から随時投稿してフォロワーを増やし、再生回数を伸ばしやすい状態にしてから、一番再生回数を伸ばしたい動画を投稿するようにしました」と説明します。
※バズる…SNSやインターネット上で話題となり、急速に多くの人の注目を集めることを指し、一般的には動画の再生回数が1万回を超えることが基準とされている。
実際に投稿した動画の一場面
ベビーチーズのアレンジレシピの動画作成は、大橋さんが担当しました。内容はもちろんのこと、動画の長さにもこだわり、20秒程度に収まるよう0.1秒単位で調整したといいます。大橋さんは、「開会式のときに六甲バターの方が『バズらせられたら素晴らしい』といった趣旨のお話をされていました。また、中間プレゼンテーション会の際に、他のチームの発表時に六甲バターの方が『どのようにマーケティングするのですか』と質問をされて、学生が『SNSを使います』と答えるといったやりとりが結構見られました。そこで、『バズらせられたら優勝できるのではないか』『TikTokでバズらせよう』との強い思いができました」と語ります。
『実際に行動に移したことが大きかった』
迎えた最終プレゼンテーション会では、各チーム8分以内のプレゼンテーションに臨みました。六甲バター株式会社の方々と流通科学大学の教員が審査員を務められ、「アイデアや目のつけどころの新しさ」「コンセプトや市場機会の説得力」「企画全体の統合性」「最終報告におけるプレゼンテーションの熟達度」などについて審査が行われました。
3人は、「Buy to Cheese」と題して発表しました。内容は、TikTokで認知を図り、また、大学の食堂でサラダと一緒にベビーチーズを販売することで買ってもらい、味を知ってもらう。さらに、スーパーマーケットのチーズ販売エリアで『QBBベビーチーズの歌』をBGMとして流すことで、より深く商品を覚えてもらうというサイクルを繰り返すことでベビーチーズの購買を習慣化し、若年層のベビーチーズの購買率を上げるというもので、3人は優勝することができました。
今回の取組から得た学びについて3人は、「実際に行動に移すこと」と口を揃えます。北岡さんは「TikTokのアカウントを立ち上げて運用し、動画をバズらせたことが受賞の決め手になったのではないかと考えています。審査員の方にお話を伺ったときも『実際に行動に移していたことが大きかった』と仰っていましたし、それが私たちにとっても今回の取組の中で一番大きな挑戦だったと思います。最終プレゼンテーション会では、発表を聞いていないチームもありますが、私たちが聞いた限りでは、実際に自分たちでアカウントを立ち上げて運用したチームは他にはなかったように思います」と振り返ります。島本さんも「バズっても、バズらなくても実行したということが大事なのだと感じました」と話し、大橋さんも「中間プレゼンテーション会の際に他のチームの学生も『SNSを使う』と話していましたが、そこで差を付けられるのは『本当にしたか、していないか』であり、『これはした方が良い』と思いました。TikTokのアカウントの立ち上げは、他のチームとアイデアが被りやすい状況の中で、アイデアの差別化にもつながりました」と話します。
本大会に参加して良かったことについて北岡さんは、「普段話ができないような六甲バター株式会社の社員の方々とお話ができたことは、貴重な機会になりました」と話します。また、昨年度の参加で得た「メインテーマを深堀りして、企業が何を求めているのかをまず分析し、その答えを出す」という教訓のもと、本大会に臨んでいた大橋さんは、「自分たちがずっと『これが良いのではないか』と信じてやってきたことがきちんと評価されたことが嬉しかったです」と語ります。
3人は、来年度も本大会に参加する予定にしており、株式会社宣伝会議の販促コンペをはじめ、他のマーケティング関連の大会にも挑戦したいと話しています。
COPYRIGHT © UNIVERSITY OF HYOGO. ALL RIGHTS RESERVED.