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「スーパー実店舗の店長になったと想定し、お菓子の販売促進策を提案」 社会情報科学部・課題解決型演習「PBL演習Ⅰ」最終発表会が行われました

1月23日(木)、神戸商科キャンパスで社会情報科学部の1年生を対象に開講している課題解決型演習「PBL演習Ⅰ」において、最終発表会が行われました。

 

データサイエンティストとしての哲学を早期に実践的に学ぶ

社会情報科学部では、社会や組織が抱える様々な課題を自ら発見し、解決に向けて柔軟に対応できる技術力とビジネス力を兼ね備えた社会実装力のあるデータサイエンティストの育成を目指しています。そのため、本学部では、学生たちがデータサイエンティストに求められるこれらのスキルの重要性や、「データサイエンティストは、データサイエンスを道具として実問題を解決することが使命である」という哲学を早期に実践的に学ぶことができるよう、企業等から実際のデータと直面している課題をご提供いただき、データ分析に基づいて課題解決策を提案する課題解決型演習を、1年生と2年生の必修科目としてそれぞれ「PBL演習Ⅰ」「PBL演習Ⅱ」として開講しています。

 

PBL演習Ⅰでは、専任教員1名以上と学生5~6名からなるグループを組み、データから問題を発見し、問題解決に向けて取り組むことで、データ分析の基本となる基礎集計を中心に、様々な角度からデータを見る方法を学び、正しく比較することで、データによる現場の把握ができるようになることを目標にしています。また、1年生を対象にした、大規模なデータを利用する初めての演習であることから、データ分析を本格的に学ぶ前に、手法にとらわれずにデータを直接見ながら試行錯誤することを体験し、データ分析の重要性を理解することを目指しています。さらに、チームでの課題解決の取組を通して、各自の適性や能力を把握し、多様な価値観を理解できる力や、グループ内でのコミュニケーション力を養成することも狙いとしています。

 

提案プレゼン予選会・最終発表会に向けて

演習は、本学部と企業の方々との連携により、10月から1月にかけて実施されました。開講期間中、株式会社ダイエーイオンフードスタイル神戸学園店からは、演習で使用する様々なデータや店舗を提供いただき、株式会社マクロミルからは、QPR(Quick Purchase Repor)と呼ばれる消費者購買履歴データの提供や演習で使用するデータの加工を、株式会社光洋にはマーケティングに関するご講義をいただきました。
学生たちは20のグループに分かれ、「スーパーマーケットの店長になったと想定して、自店舗のお菓子の売り上げを伸ばすための販売促進策を提案する」という課題に取り組むべく、教員をはじめ、企業の方々からご指導いただきながら、現地調査を行ったり、ウェブ上で公開されている様々な資料も参考にしながら、仮説検証のサイクルを繰り返し、最終提案を導き出していきました。
最終発表会1週間前の1月16日(木)には提案プレゼン予選会が行われ、全20グループが2教室に分かれて参加し、発表5分、質疑応答2分のプレゼンテーションに臨みました。各教室から教員の評価により2グループ、学生の相互評価により1グループが選ばれ、計6グループが予選を突破、決勝の最終発表会において、発表5分、質疑応答なしのプレゼンテーションを行うことになりました。

 

最終発表会の様子

最終発表会では、髙坂誠学長、社会情報科学部長の藤江哲也教授と、本演習でご協力いただいた株式会社ダイエー イオンフードスタイル神戸学園店長の木村孝志氏、株式会社マクロミルの石丸悠太郎氏、菅原耕平氏により審査が行われました。評価は、予選会のときと同様に、(A)論理展開(仮説や提案に展開するとき、観察と分析を反映したものになっているか)、(B)観察・分析(仮説検証のために適切な観察・分析を行っているか。観察・分析から、新しい発見・知識を得ることができたか)、(C)提案内容(自分を提案内容の対象だとしたとき、お菓子を思わず買いたくなるか)の3項目に加え、審査員それぞれの視点により採点が行われました。

 

最終プレゼンテーション

まず、11班のメンバーが「お菓子ボックス」と題して発表し、シニア向けと親子向けの2種類のオリジナルお菓子BOXを週末に数量限定で販売することにより、お菓子の売上向上を目指す提案をしました。

 

次に、1班のメンバーが「人気投票でお菓子を楽しくリピート!」と題し、来店客に楽しみながら買い物をしてもらうことを目的に、お菓子の人気投票を実施することで、お菓子の売上向上を目指す提案を発表しました。

 

続いて、7班のメンバーは「お菓子にも健康を!~トップバリュを売るために~」と題して、健康食品の隣のコーナーにトップバリュの商品で健康的なお菓子のコーナーをつくることにより、お菓子の売上向上を目指す提案をしました。

 

16班のメンバーは、「お菓子キャンパス~お菓子×体験でドキドキの学びを楽しもう!~」と題して、子ども向けのお菓子の体験型イベントを実施するとともに、レシピを恒常的に配布することにより、お菓子の売上向上を目指す提案をしました。

 

9班のメンバーは、「カプセルトイで話題を狙え 学園都市お菓子小分け戦略」と題し、当たり付き商品を含め、お手頃に様々な個包装の商品を入手することのできるカプセルトイ(通称:ガチャガチャ等)を設置することでお菓子の売上向上を目指す提案をしました。

 

最後に、15班のメンバーが「五感に訴えろ!感覚マーケティング~感情に働きかける新たな取組を~」と題して発表し、「なんとなく良さそう」などといった消費者の五感に訴える「感覚マーケティング」をベースに、目を引くPOPや、商品が自ら話す仕組みの導入、嗅覚に訴える「香りマーケティング」を実施することによりお菓子の売上向上を目指す提案をしました。

 

フラッシュトーク

最終発表会では、決勝に残らなかった14チームも持ち時間1分間のフラッシュトークを行い、各チームとも、自チームの取組成果について教室内の学生や教員に向けてアピールしました。
※フラッシュトーク…学会のポスター発表の場などで、発表者が1分間で自身の研究内容のポイント等を発表するセッションの意。

 

審査結果

全6チームの発表終了後、審査員による話し合いが行われ、審査員全員の得点合計が一番高いチーム(同点の場合は合議)に贈られる最優秀賞と、ダイエー・光洋賞、マクロミル賞、学長賞、学部長賞の4つの特別賞の受賞チームが決定しました。また、決勝に残った全てのチームに優秀賞が贈られました。

審査員による話し合いの様子

 

最優秀賞
15班「五感に訴えろ!感覚マーケティング~感情に働きかける新たな取り組みを~」

 

ダイエー・光洋賞
11班「お菓子ボックス」

 

マクロミル賞
1班「人気投票でお菓子を楽しくリピート!」

 

学長賞
7班「お菓子にも健康を!~トップバリュを売るために~」

 

学部長賞
16班「お菓子キャンパス~お菓子×体験でドキドキの学びを楽しもう!~」

 

優秀賞
9班「カプセルトイで話題を狙え 学園都市お菓子小分け戦略」

 

表彰・講評

各賞の授与の際には各賞のプレゼンターを務めた審査員から講評がありました。
ダイエー・光洋賞のプレゼンターを務められた木村氏は、「ダイエー・光洋賞には11班を選ばせていただいた。他の班も様々な考え方を提案され、非常に良かったと思うが、今回は『店舗で実際にできるか』という実現可能性を含めて審査した。ただ、こうした境界条件や拘束条件があると、自由な発想をすることが難しくなり、考え方が広がらないことがある。みなさんがアイデア等を考える際には、できるだけそういうものを排除して、まずは考えを広げ、最終的にまとめるという考え方をしていただいたら良いと思う」と学生に向けてアドバイスされました。

 

マクロミル賞のプレゼンターを務められた菅原氏は、「4か月ほど前に講義したが、みなさん様々な切り口から、いろいろなデータを扱っていて、非常に面白い発表を聞かせていただいた。マクロミル賞は、一番データの使い方が上手、あるいは面白かった1班を選ばせていただいた。世の中に多くのデータが溢れている中で、どんなデータを使い、そこから何が読み取れるのかという部分を明確にしていただくことが大事と思う。社会人になると、いろいろなデータに触ることになると思うので、そういう機会に少しでもこのことを思い出していただければと思う」とコメントされました。

 

学長賞のプレゼンターを務めた髙坂学長は、「学長賞には7班を選出した。みなさんは限られた時間の中で、グループの皆で一生懸命議論して成果を出された。その中で、みなさんはターゲットについて考えたと思うが、ターゲットの姿がもう少し提案の内容から見えた方が良かったと思う。例えば、誰がターゲットなのか。年齢層をはじめ、どのようなときに、どのような物を購入して、どれくらいお金を出せるのか等、そういうことをまず分析して、そこから全体を考えて、店内のどこに、どういう形で陳列したら良いのかという流れで考えていくことになるのではないかと思う。これからも頑張って欲しい」と激励の言葉を贈りました。

 

学部長賞のプレゼンターを務めた藤江教授は、「学部長賞には16班を選出した。1年生のみなさんは、前期は地方自治体の加古川市に向けての提案を、後期は株式会社ダイエーにプレゼンテーションをしたということで、行政と企業の違いなど、いろいろ勉強になったのではないかと思う。2年生からは、専門的なデータの分析の勉強が始まり、PBL演習Ⅱにつながるということで、1年生で学んだことを2年生でさらに活かしていけるように、専門知識を身につけて、どんどん成長していってもらえたら嬉しい」と述べました。

 

最優秀賞の選出については、社会情報科学部の笹嶋宗彦教授から「例年は最優秀賞と特別賞を受賞するグループが重複することが多いが、今年度は、審査員によって評価にバラつきがあったので、得点をそのまま足して最高得点になったグループが最優秀賞となった」と説明がありました。

 

表彰後、最優秀賞を受賞した学生から「何十回も試行錯誤しながら、発表内容やスタイルにこだわってきたので、その成果が出て良かった」「当日はあまり緊張せずに発表できて良かった」「とても緊張したが、リーダーが頼もしく、おかげで優勝できたのではないかと思う」といったコメントがありました。

 

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