記事検索

  • 学部・組織・所属

  • 記事のテーマ

「琵琶湖の空を飛ぶことで、『希望の鳥』を未来へ届けたい」兵庫県立大学鳥人間部wishbirdsが「第47回鳥人間コンテスト2025」に出場します

このたび、本学の鳥人間部wishbirdsが、2025年7月26日(土)・27日(日)の2日間にわたって滋賀県彦根市の琵琶湖東岸で行われることになっている読売テレビ株式会社主催「第47回鳥人間コンテスト2025(2025 JAPAN INTERNATIONAL BIRDMAN RALLY)」の滑空機部門に出場することが決定しました。同大会へは、8年ぶり3回目の出場となります。

鳥人間部wishbirdsのメンバー

 

鳥人間コンテストとは

大会開催後に当日の模様が読売テレビ・日本テレビ系全国ネットで放送されていることから、『鳥人間コンテスト』という名称を一度は見聞きしたことのある方は多いのではないでしょうか。鳥人間コンテストは、個人ないしグループの参加者が自作した人力飛行機を使用して飛行し、その距離等を競い合う大会で、1977年に第1回大会が開催されてから今年で47回目を迎えます。今夏行われる第47回大会は、南ルートの往復(プラットホーム⇔沖島側ポイント)と北ルートの往復(プラットホーム⇔竹生島側ポイント)を目指す「人力プロペラ機部門」と、プラットホームの先端から着水した機体の最後尾までの飛行距離を競う「滑空機部門」の2部門の競技が行われます。
なお、同大会に出場するには、まず、説明会に参加し、その後、大会実行委員会によって行われる書類選考に向けて出場申込書や大会当日に飛行させる機体の設計図などの必要書類を作成・提出します。そして、提出した書類をもとに行われる審査によって出場の可否が決定されることから、同大会は出場の機会を得ることも難しいといわれています。

 

鳥人間部wishbirdsの飛行機づくり

鳥人間部wishbirdsは、現在、工学部・理学部・環境人間学部の1年生から3年生の学生計33名が所属し、姫路工学キャンパスを拠点に活動しています。同部では、機体の製作にあたり、機体を設計して三面図を製作する「空力設計班」、空力設計の情報をもとに桁と呼ばれる機体の芯の強度計算と設計を行い、材料を発注する「構造設計班」、主翼・ラダー(機体の方向舵)・水平尾翼をはじめ、機体の製作全般を担当する「翼班」、プログラミングや電装部品を駆使し、操縦装置や高度計、記録装置等を作る「電操班」、コックピットの骨格となるフレームや覆い(フェアリング)等の設計製作を担当する「コックピット班」、大会が行われる現地まで分割して運ぶ機体を、現地で組み上げられるよう接合部分などを作る「接合班」の6つの班に分かれて作業を進めています。
※三面図…立体形状の対象物を三方向から見た図。具体的には、正面から見た正面図、真上から見た平面図、横から見た側面図のこと。

 

今回、鳥人間コンテストでフライトする機体『GO TO GO』は、3年生が中心となって設計・製作を進めているといいます。機体の設計・製作について、同部の代表を務める工学部機械材料工学科機械工学コース3年生の後藤圭吾さんは、「すでに部活動を引退した現4年生から受け継いだ引継ぎ資料をベースに補完・発展させて機体の設計・製作を行っています。また、航空力学、材料力学、流体力学の知識や技術、プログラミング関連(C言語)、CAD(Fusion Inventor AutoCAD)などを用いています。4年生の先輩方は、分からない事柄を解決するために流体力学や材料力学を専門とする学内の先生方に助言をいただいていました。私自身は、空力設計を担当しているのですが、航空力学に関する本をかなり読み込んで設計を行いました。加えて、年2回行われている全国の鳥人間チームが集う交流会で、他チームの方から助言をいただいたり、交換し合う他チームの交流会用資料から知識や知見を深めたり、交流会の場以外にも直接他大学のチームの方から助言をいただいたこともあります」と話します。

 

『飛ばなければならない』という固い意志のもとで

同部は、2013年の設立以降、コロナ禍前は2年に1回、同大会に応募し、間の年は資金集めと技術向上のための年にするというスパンで活動していたといいます。「大会には2015年、2017年と過去2回出場しました。しかし、いずれも定常飛行には至らず、残念な結果に終わりました。そして、2019年は書類選考落ち、2020年は新型コロナウイルスの影響で大会自体がなくなりました。さらに、コロナ禍に入ってからは部活動の制限もあったからか新入部員の入部がなく、廃部の危機に直面し、存続か廃部の二択を迫られました。その際、もう1年だけ待つことになり、2022年に私たちの1年上の先輩方が入部したことで、廃部の危機を乗り越えることができました。2023年に入部した私たちの代の目には、先輩方のたゆまない努力が輝いて映りました。空力設計やコックピット設計のような重要な技術が、コロナ禍と廃部の危機の間に失われた中、先輩方は他大学を訪ねたり、学内の先生方にご指導いただいたりしながら必死に知識と技術を吸収しており、私たちはそんな先輩方を心から尊敬していました。しかし、2023年12月に先輩方から、2024年の出場を目指して進めていた機体の設計が、大会の新しいルールに則っていないことが分かり、出場を断念するとの話がありました。呆然としましたが、先輩方に『7年来の夢を形にして欲しい』と語りかけられた際に、『絶対に飛ばそう』と決心し、先輩方の言葉を胸に今日まで努力してきました」と後藤さんは振り返ります。
※定常飛行…機体が一定の速度と高度、姿勢を保って飛行すること。

 

自分たちで考えながらやってきたことの『答え合わせの場』でもある

後藤さんは同部の代表を務めながら、空力設計と、大会当日に機体に乗り込み飛行するパイロットの役割も担っています。「鳥人間部の存在自体は入学前から知っていましたが、入部を決めたのは入学後です。興味本位で部室へ見学に行き、先輩方から説明を受け、『ここしかない』と感じ、その場で入部を申し出ました。元々飛行機に興味があったので、それを自分たちで作れるというのは、非常に魅力的に感じました。2年生だった昨年の夏のオープンキャンパス時に代表になることが決まり、その他の役割分担については、1年生の7月に決定する予定でしたが、昨年9月に全員の役割が決まりました。私がパイロットを務めることが決まったのは、『2025年度機体コンセプト』が決定した昨年4月でした」。

後藤さん

 

そして、今年の3月下旬、鳥人間コンテストへの出場が決定しました。後藤さんは「出場が決まったときは本当に驚きました。設計し、三面図を書いたのは私ですが、他チームのものと比べて見劣りするものだったので、大会実行委員会から届いた登録番号通知書に記載された『出場が認められ、上記の番号で登録されました』との文字を見たときは自分の目が信じられませんでした。とても嬉しかった半面、不気味な暗闇に放り込まれたようにも感じました。『ここから何をすれば良いか』『いつまでに何を終わらせれば良いか』『現地の機体審査で落とされるのではないか』など、様々な不安に襲われました。特に合格発表があった頃は、機体の製作が遅れており、大きな焦りもありました。ストレスからか身体的な不調が現れたこともありましたが、めげずにここまできました」と語ります。

 

現在製作を進めている機体『GO TO GO』の名前の由来は、『飛ばなければならない』という固い意志と、チームで3役を務める後藤さんの名前から取った『ゴトー号』と掛けたもので、「どのような困難に直面しても、先輩方は希望を捨てませんでした。その希望を受け継ぐことが私たちの使命だと考えており、琵琶湖の空を8年ぶりに飛ぶことで、wishbirdsを受け継いでくださった歴代すべての先輩方へ『ありがとう』という感謝の気持ちを伝えたいです。私たちは琵琶湖の空を飛ぶことを通じて、先輩方がつないでくれた『wishbirds 希望の鳥』を未来へ届けたい。そして、この挑戦を見た誰かが、新たな夢を抱くきっかけになればと願っています」と後藤さんは言葉に力を込めます。

 

最後に、後藤さんは出場に向けて「まずは現地での機体審査で合格が出ない限り、プラットホームに立つことができません。非常に厳しい審査と聞いていますので、かなり気を張って機体製作をしています。機体審査に合格し、プラットホームに立った暁には、wishbirdsがこれまで成し遂げられなかった定常飛行を目指します。廃部の危機や技術の断絶など、先輩方が様々な困難に直面しても諦めることなく今日まで私たちに受け継いでくださった『wishbirds 希望の鳥』を、今度は私たちがwishbirdsとなって、次の世代へバトンをつないでいければと思っています」と意気込みを語りました。

 

鳥人間部wishbirdsは、7月27日(日)に実施される滑空機部門にてフライトを行う予定です。また、大会当日の模様は、鳥人間コンテスト公式YouTubeチャンネルにてLIVE配信されますので、応援のほどよろしくお願いいたします。

関連リンク

兵庫県立大学鳥人間部wishbirds X
兵庫県立大学鳥人間部wishbirds Instagram
・3月24日(月)に姫路工学キャンパスにおいて株式会社一宮電機より同部へ寄附金を贈呈いただきました
本学公式サイト 新着情報 

 

COPYRIGHT © UNIVERSITY OF HYOGO. ALL RIGHTS RESERVED.