― 自分の提案した商品がカタチになるかも ―
国際商経学部の学生が、企業が抱える課題を分析した上で、商品提案など3つのテーマでプレゼンテーションを行いました。
国際商経学部では毎年、1年後期から2年前期にかけての1年間、プロジェクトゼミと呼ばれるプロジェクトベースドラーニング(PBL: Project Based Learning)形式のゼミが開講されています。PBLとは課題解決型学習と呼ばれ、「現実の課題」の解決に取り組む実践的な授業形式です。
「企業課題の解決」カテゴリーでは、県大生に解決してもらいたい企業課題を地元兵庫県の企業から募り、毎年、沢山の応募をいただきます。その中で今回、選出させていただいた1社が有馬芳香堂です。
有馬芳香堂は、1921年神戸で創業したナッツメーカーで、2021年には創業100周年を迎えます。事業においては、 100年の伝統を引き継ぐだけでなく、SDGsへの貢献を目指した取り組みもされています。たとえば、SDGsの目標の1つである「住み続けられるまちづくりを」実現するため、創業の地でナッツスイーツ専門店と商品開発研究所を合わせた「NUTS LAB(ナッツ ラボ)」を今年4月にオープンして地域の人々の交流の場を提供し、地域との関わりを大切にしたり、王子動物園や県内学校とのコラボなど地域連携に取り組んでおられます。看板商品「油で揚げないハイクオリティナッツ」は、日経POSセレクション「平成売り上げNO.1」を受賞しました。
一方、有馬芳香堂では若年層を顧客として取り組めていないという課題を認識していました。そこで今回、若者である大学生自身にこの課題を分析してもらい、その解決策を考えてもらいたい、という理由で応募されたそうです。
ゼミではまず、有馬芳香堂 事業開発部 池山 拓弥様 にお越しいただき、100年の歴史についてお話しいただきました。時代に合わせて路面店、百貨店、スーパーマーケットへと販路を変更しながら成長してきた経緯に加え、毎年材料厳選のために産地に出向いたり、「できたて工房直送便」を実施したり、素材や鮮度に対するこだわりのお話が印象的でした。
(有馬芳香堂 池山様によるプレゼンテーションの様子)
100年の歴史のお話の後、100周年記念商品の開発、若者向け商品の開発、PR企画の実施の3つのテーマを学生に提示されました。
学生たちは、まずSWOT(企業を内部環境と外部環境に分けて評価、分析する手法)や、STP(セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(狙う市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の3つの英単語の頭文字をとって名付けられた分析法)といった経営学のフレームワークを用いて同社の現状分析を行いました。
昨年の秋学期はコロナの感染状況も落ち着いていたため、工場を見学することができました。
(昨年の工場見学の様子)
有馬芳香堂では、100周年を迎える今年、開発した商品の新たな販売方法としてキッチンカーを導入しました。
そのキッチンカーを学生たちに直接見てもらい、若者ならではの視点で新たな販売方法のアイデアを出してもらいたいということで、本学までキッチンカーで来ていただきました。
(素敵なキッチンカーが本学に来た時の様子)
1年後期の最後には中間発表を行い、各チームの分析結果やアイデアを同社に報告しました。
2年前期では、同社からもらったフィードバックを元に、アイデアの具現化をしていきました。当初、試作品作りやNUTS LABの見学を考えていましたが、緊急事態宣言の発出により断念しました。授業もZoomを使ったオンライン授業に切り替わりました。お互いの表情が読みづらいオンラインでのグループディスカッションでは苦労していた様子でしたが、画面共有ができるオンラインならではの利点を活かして議論していたグループもありました。緊急事態宣言が解除され、対面授業に戻り、より活発な議論ができ、無事、最終プレゼンテーションを迎えることができました。
最終プレゼンテーションは各チーム5分という短い持ち時間の中、1年間の集大成のアイデアを有馬芳香堂の皆様にお届けしました。
(チーム別 最終プレゼンテーションの様子)
発表後、有馬芳香堂の皆様からは
「こんな案もあるのかと驚いた」
「提供した情報から、仮説を立て分析をし、提供した情報以上のプレゼンテーション内容であった」
「どのプレゼンテーションもロジカルに喋られて甲乙つけがたかった」
「有馬芳香堂とコラボした経験を今後の人生に活かしてもらいたい」
といったコメントをもらいました。
優れたプレゼンテーションに対しては 「有馬芳香堂賞」の贈呈がありました。
(贈呈式の様子)
受賞した学生からは
「メンバーが自分にはなかった考えを出してくれ、それらを合わせた結果として、最終の提案までたどり着くことが出来ました。チーム5人全員で協力した成果が、形ある結果として評価されたことが素直にとても嬉しく、光栄に思います。」
「同じ課題に向き合っていても、こんなにいろんなアイデアがあるのかと驚きました。このゼミで学んだことは、これからもいろんな場面で生かせることだと思うので、どんどん活用していきたいです。」
といったコメントがありました。
今後、有馬芳香堂の社内にて、商品化の検討がなされる予定です。
どんな商品が実現するのか非常に楽しみです。
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