本学ではラジオ関西との共同企画で、教員が取り組む先進的・特徴的な活動を広くPRするために、毎月1回本学の教員が、ラジオ関西番組「PUSH!」にてパーソナリティーと対談形式で紹介しています。
10月5日（火曜日）放送の「PUSH!」「こちら兵庫県立大学です！」に登場したのは、政策科学研究所 福味 敦（ふくみ あつし）教授です。
今回のテーマは「新興国インドのおもしろさ」
福味教授の専門は、開発経済学・インド経済論です。
今回は福味教授がインドに興味を持ち、研究に至ったきっかけやインドの近況について、思わず笑ってしまうほどの楽しいエピソードを交えながら語っています。まだ海外へ自由に渡航できない状況が続いていますが、いつか行けるようになった時の海外旅行先を考えるヒントも隠されています。
パーソナリティーの林さんからの質問に対し、福味教授は「デビュー戦（初めての海外旅行）はおもしろいところに行こう」と友人３人で話をしてインドを選択、大学４回生の時にバックパッカーとして渡航したものの、この後、ツーリストトラップがたくさんある事を知らない旅行初心者達は、お人よしが故に片っ端からことごとくだまされることになったそうです。
コメンテーターの山崎さんから、「散々だまされたら、再びインドへ行く機会があったとしても「２度と行くもんか」派と「こっちにも考えがあるぞ。克服してやる」派に分かれますよね」と聞かれると、福味教授は「克服して理解してやる」派でした。
福味教授は、２年後に別の友人と２人で１か月半、再度バックパッカーとしてインドへ渡りました。前回の旅で高い授業料を払ったのも加味されたかわかりませんが、大きなトラブルもなく楽しい旅で終わりました。
今度は更に「インドに住んでみたい」と思うようになった福味教授。大学院修了後、現地の研究機関（インド統計研究所）の客員研究員として１年半滞在しました。現地の方は一般の生活者として接するようになれば、買い物の時にツケが効いたり（後払いができる）、おまけをつけてくれたり優しい対応をしてくれるようになったそうで、バックパッカー時代の対応とのギャップに驚いたそうです。さらに現地の友人が出来た時に観光地について尋ねると、「疑わない日本人旅行者」に対し、観光地でお金を少しでも多く取ろうとする人からすれば「だまされる方が悪い」との事。「トラブルの多い場所に僕たちは行かないし、アツシも危ないから行くな」と言われたそうです。
【マーケット（インパール）】
福味教授の専門分野は発展途上国の貧困や開発問題を取り扱う「開発経済学」と「インド経済論」です。
近年は「なぜ頻繁に停電するのか？」という上記のような経験をされた先生ならではの素朴な問いを出発点に、インド国内のインフラ問題（特に電力分野）に対し、複雑な社会（カーストや宗教）、政治（世界最大の民主主義）との関連に留意しながら研究されています。
また、近年のインドのイメージは「経済成長・ＩＴ・数学」として挙げられることが多いですが、一方でインドは世界最大の貧困人口を抱える発展途上国です。
富裕層の子供には最先端の教育が行き届いているが、統計を取るとカーストの低い人、貧困層は未だに学びたくても学校さえも行けない子がいるという極端な構図ができているのが現状だそうです。
【変わらぬ風景（ビハール州）】
【働く女性たち（ラジャスタン州）】
人口も14億に届こうとしており、中国を上回る見込みの中、急速な経済成長のすぐ裏には
・先祖代々生業としている「耳かきやさん」がいて、マクドナルド前で営業している。
・牛で田畑を耕す男性が手に持っているのはスマートフォン。
など、中世と21世紀が混在する風景も見られ、その道を歩けば「ツッコミどころ満載」だそうです。
【新旧入り混じる風景（コルカタ）】
【営業中の耳かき屋（オールドデリー）】
単に「楽しい」からおもしろいという訳ではなく、素朴な問いが湧き出るという意味でも「おもしろい」のかもしれない。それが魅力満載の国となり、福味教授にとってインドは今も「ツッコミどころ満載であり、魅力満載の国」なのです。
コロナが収束したら、若者たちにはインドに限らずぜひ旅に出てほしい、と福味教授。
ほろ苦い旅がきっかけであったとしても、福味教授のように興味がやがて将来研究者になるきっかけになることだってあるのですから。近年、興味というアンテナを張ることを忘れつつあるご時世ですが、この放送を聞いてまずは世界地図を広げてみてはいかがでしょうか。
【ムンバイにてテイラーのおじさんと福味教授】
※インドの画像は全て福味教授提供
放送内容は下記関連リンクからお聞きいただけます。
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（本部経営企画部経営戦略課）
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