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「社会情報科学部1年生が企業の実データを分析して実店舗に販売促進策を提案」 課題解決型演習「PBL演習Ⅰ」最終発表会が行われました

1月12日(木)、神戸商科キャンパスで社会情報科学部の1年生を対象に開講している課題解決型演習「PBL演習Ⅰ」において、最終発表会が行われました。

 

学生と教員と企業の方々で行う実践的な演習

PBL演習Ⅰでは、実企業から規模の大きいデータと直面している課題を提供いただき、専任教員1名以上と学生5名からなるチームを組んで、データから問題を発見し、問題解決に向けて取り組むことで、データ分析の基本となる基礎統計を中心に、様々な角度からデータを見る方法を学び、正しく比較することで、データによる現場の把握ができるようになることを目標としています。本演習は、社会情報科学部と企業の方々が連携して半年間にわたって実施しており、今年度は、株式会社ダイエー イオンフードスタイル神戸学園店から演習で使用する様々なデータや店舗を提供いただき、株式会社マクロミルからは、QPR(Quick Purchase Report)と呼ばれる消費者購買履歴データや演習で使用するデータの加工を、株式会社光洋には開講期間中にマーケティングに関するご講義をいただきました。

学生は、教員をはじめ、企業の方々からもご指導いただきながら、「スーパーマーケットのお菓子の売り上げを伸ばす方法を店長になったつもりで提案する」という課題にチームで取り組みました。

※QPR(Quick Purchase Report 消費者購買履歴データ):全国約3万人の「モニタ」と呼ばれる消費者にバーコードリーダーを貸与し、日々の買い物の商品バーコードをスキャンすることで蓄積された商品購買データを参照・分析するためのツール。食品、飲料、化粧品、生活用品などの実際の購買データに基づき、「どのような人が」「何を」「どれだけ」「どのようなシーンで」商品を購入したか、購入者像や購買トレンドを分析することができる。(「消費者購買履歴データQPR」https://www.macromill.com/service/database_research/qpr.html、笹嶋宗彦,兵庫県立大学社会情報科学部,PBL演習を軸とする実践的データサイエンス人材育成の試み)

 

販売促進策の提案を行うプレゼンテーション

この日行われた最終発表会(提案プレゼン決勝)には、事前に行われた提案プレゼン予選会に参加した全20チームの中から、教員の評価により選ばれた4チームと、学生からの評価が高かった1チームの計5チームが参加し、各チームは6分間の最終プレゼンテーションに臨みました。審査員には、本演習でご協力いただいた株式会社ダイエー イオンフードスタイル神戸学園店、株式会社マクロミル、株式会社光洋から4名の方々を外部審査員としてお招きし、また、これまでに本演習の指導に入っていない社会情報科学部長の加藤直樹教授と玉置卓准教授の2名が加わって審査を行いました。評価は、提案プレゼン予選会のときと同様に、「提案の内容」10点、「データ分析の質と量」10点の20点満点で採点が行われました。

 

はじめに、14班のメンバーから、お菓子と飲み物を組み合わるフードペアリングを来店客に向けて提示することにより、お菓子の売り上げの向上を目指す提案の発表がありました。

※フードペアリング:より美味しく食べることのできる相性の良い料理と飲料の組み合わせを指す。近年、コーヒーチェーン店などで提唱されている。

 

次に、20班のメンバーからは、ガムが持つ効果に着目した販売促進策により、お菓子の売り上げの向上を目指す提案の発表がありました。

 

10班のメンバーからは、店舗の空間を利用したPOP等により、店内の離れた場所にある商品の同時購買を促してお菓子の売り上げの向上を目指す提案の発表がありました。

 

19班のメンバーからは、主に子どもを持つ親世代をターゲットにしてお菓子の詰め合わせを販売することによりお菓子の売り上げの向上を目指す提案の発表がありました。

 

最後に、3班のメンバーからは、お菓子のランキングコーナーをつくることで話題性を高め、来店客の目に留まりやすい仕組みづくりにより、お菓子の売り上げの向上を目指す提案の発表がありました。

 

各チームの発表後には、質疑応答の時間が設けられ、審査員や学生から発表を行ったチームに対して質問や意見が寄せられました。審査員からは、導き出した解について、推測ではなく、データや集めてきた情報に基づいて判断したものであるのかという質問や、データの見方や考え方に余地があるのではないかといった意見がありました。

 

全5チームの発表終了後に審査員による話し合いが行われ、審査の結果、3班が審査員全員の総合点数を最も獲得した班に贈られる最優秀賞と、データ分析が一番優秀であると判断された班に贈られるマクロミル賞を受賞しました。

 

光洋・ダイエー賞には、14班が選ばれました。

 

最後に、審査員の方々から講評をいただきました。株式会社ダイエー イオンフードスタイル神戸学園店長の北邨順一氏からは、「光洋・ダイエー賞を受賞した14班の提案は、私から見ても、今後取り組んでみたいなと思われるような内容だった」とのコメントをいただきました。また、株式会社光洋  マーケティング課長の松下寿美子氏は、「みなさんからいただいた提案をヒントにして、新しい販売促進策や戦略を考えていきたい」と話されました。株式会社マクロミルの丹治俊一氏は、「私は毎年参加させていただいているが、『1年生でこんなに分析できるのか』と毎年驚いている」と話され、同じく株式会社マクロミルの菅原耕平氏は、「私たちは、データを扱うことはあっても、現場に出ることがどうしても減ってしまっている中で、みなさんがデータも現場も両方見ながら取り組まれているところを見て、刺激になった」と話されました。

 

また、玉置准教授は、「お菓子の売り上げを上げるというテーマは、とても抽象的で、表に見えていない制約条件がたくさんあると思うが、それらを上手くデータで明らかにして、良い発表をしていたと思う」と述べました。最後に、加藤教授から学生に向けて、「実際にスーパーマーケットへ店舗見学に行き、店長の方の話を聞いた上で、なおかつ株式会社マクロミルから提供いただいたデータを利用して分析・発表をして、いろいろな勉強になったと思う。今後のために、みなさんにはこの経験を生かしてほしい。選に漏れた大半の学生のみなさんも、よく頑張った結果、このような結果になったが、その努力が報われるときはやってくると思うので、これからも勉強を頑張ってほしい」と、労いと励ましの言葉を送りました。

 

PBL演習Ⅰは、1年生を対象とした大規模なデータを扱う最初の演習であり、データ分析を本格的に学ぶ前に、手法にとらわれずにデータを直接見ながら試行錯誤する体験をし、データ分析の重要性を理解することを目指しています。演習を通して、学生は、様々な側面から学びや気づきを得られたことと思います。受賞したチームの学生にとっても、受賞に至らなかったチームの学生にとっても、今回の演習を通して得た経験は、大きな糧となり、また、社会が求めるビジネス力・技術力・社会実装力を兼ね備えたデータサイエンティストを目指すべく、大きな1歩を踏み出す機会となったのではないでしょうか。

 

 

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