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国立研究開発法人防災科学技術研究所災害過程研究部門と教育・研究に係る連携協定を締結しました

本学の減災復興政策研究科と国立研究開発法人防災科学技術研究所災害過程研究部門(茨城県つくば市)は、災害に強い社会づくりに向け、減災復興学の究明と災害過程の解明を連携し、知を統合させることにより発展させ、社会にその成果を還元し、我が国の防災分野における学術及び産業の発展と人材の育成に寄与することを目的に、連携協定を締結することとなり、3月23日(木)に神戸防災キャンパスで連携協定締結式を行いました。

 

国立研究開発法人防災科学技術研究所災害過程研究部門では、災害過程の科学的解明と持続的なレジリエンス向上方策及び総合知による応急対応DXの推進研究の中で、「災害過程」「防災基礎力の向上」「応急対応DX」「レジリエンスファイナンス」の4点を中心とした研究開発に取り組まれています。レジリエンスとは、予測力・予防力に回復力を加えた総合力のことを指し、社会全体をはじめ、地域や企業、家庭や個人においても、自然の脅威によって各々の営みが損なわれないようにするために、予測されるハザードについて、「被害を最小限に抑えること(予防力)」と、災害が起きた後に「速やかに回復すること(回復力)」の両面から取組を進めることにより、レジリエンスを向上させることができるとして、研究活動を推進されています。

減災復興政策研究科においても、阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえ、兵庫県内の市町村をはじめ、現場に根ざした災害に強い社会づくりを目指して、「災害科学」「減災コミュニケーション」「減災復興ガバナンス」の3つの領域からなる減災復興学の構築を推進しています。両者の研究は、社会現象をモデル化してシミュレーションを行い、その結果を含む災害関連情報を活用して個人、コミュニティ、社会のレジリエンスを向上させる方法論とガバナンスを追求するという点において一致していることから、双方の持つ知見、学理を融合し、それぞれの現場や立場においての活動を連携させることで、災害過程分野及び減災復興学の深化と発展を促すとともに、レジリエントな地域社会づくりのための防災・減災・復興を支える地域の共創基盤の構築に向けて、双方が協働で取り組むことを狙いとして、連携協定を締結することとなりました。

 

締結式の中で減災復興政策研究科の永野康行研究科長は、「このたびの連携協定によって、主に研究のドライブがさらに活性化されるようになると思うが、私たちの研究科には大学院生がいるので、大学院生も一緒になって、今回の協定に基づく研究に取り組むという枠組みをつくらせていただきたいと考えている。また、いずれは可能な範囲で防災科学技術研究所へのインターンシップ制度を設けるなどして、学生が体験で得たものを修士論文の執筆や修了後の社会生活に活かし、日本の防災・減災の発展に貢献するような人材育成に結びつけたい」と連携協定に期待していることについて述べ、「『これぞ、日本の防災教育・防災研究なのか』というところの足掛かりになればというふうに考えている」と挨拶しました。

 

国立研究開発法人防災科学技術研究所災害過程研究部門の永松伸吾部門長は、今回の連携協定の意義について、「減災復興政策研究科が掲げる減災復興学と、防災科学技術研究所が掲げるレジリエンスの考え方の目的がほぼ一致している点が大事と思う。諸学問にあるような縦割りではなく、防災・減災・復興を一連としたものと捉えて追求し、その方策を模索していこうというものは、まさしくわれわれがやろうとしていることであり、そういった部分が一致していることが、協定の非常に大きな前提になると思う。実際にこれまでにも減災復興政策研究科との間には協働の実績があり、今回の協定は、それらをさらに発展的にしていく意義があると考える」と話されました。また、今回の協定に期待していることについては、「われわれは研究機関であり、教育は本分として捉えられていない。それに対して減災復興政策研究科は、教育を大きな柱として捉えている。私たちも単に研究開発をすれば良いというのではなく、研究をしていく上で『次世代を担う新たな研究者の卵の育成』、人材育成の必要性を強く感じている。単純に研究者ということだけでなく、防災や減災というものの考え方を理解した人材の裾野が広がっていかないと、われわれの研究も将来的に先細ってしまうことになるが、われわれには人材育成の機能がない中で、理念をともにしている減災復興政策研究科が教育の機能を持っており、頼もしいパートナーであるというふうに思っている。インターンシップの実現をはじめ、研究所の研究員が研究科の教壇に立たせていただいて講義を行うといったこともやらせていただきたいと考えている」と話されました。

 

このたびの連携協定により、災害過程及び減災復興に関する教育研究、人材交流や人材育成、地域貢献及び産学官連携、国内外の機関との連携において、連携協力を行うこととしています。また、今年の3月に減災復興政策研究科博士後期課程を修了した折橋祐希さんが学位取得に先立ち、昨年12月から防災科学技術研究所災害過程研究部門で特別研究員として研究活動をはじめ、3月末まで防災科学技術研究所災害過程研究部門の特別研究員だった松川杏寧氏が4月から本研究科に准教授として就任され、教壇に立たれています。

3月24日に行われた令和4年度兵庫県立大学学位記授与式での折橋祐希さん

 

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