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減災復興政策研究科が公益社団法人全国市有物件災害共済会(防災専門図書館)と連携協定を締結しました

4月19日(金)、神戸防災キャンパスにおいて、減災復興政策研究科と公益社団法人全国市有物件災害共済会(東京都千代田区)との連携協力協定締結式が行われました。

公益社団法人全国市有物件災害共済会により運営されている防災専門図書館は、防災、災害等に関する資料の収集とその活用・発信を通じて、住民のセーフティネットとして貢献することを目的に1956年に開設された防災・災害に関する唯一の専門図書館です。台風や地震などの自然災害をはじめ、火災や事故、環境問題など様々な人為災害の記録やその対策に関する資料を約17万冊所蔵されています。
歴史記録を解読して、過去の災害による被害や復興の過程を明らかにしていくという歴史災害に関する研究を行っている減災復興政策研究科の平井敬准教授が、2021年に防災専門図書館から提供された資料をもとに研究を行い、書籍を出版するなどしていたことや、本研究科の教員や学生が通常貸し出されていない資料やデータを利用して研究を進めることができるよう連携協力協定の締結について提案したことから、このたび災害・防災に関する資料や情報の活用と互恵を目的に、協定を締結することとなりました。

平井准教授が防災専門図書館に所蔵されている古文書をもとに制作した本と防災すごろく

 

減災復興政策研究科の永野康行研究科長は、過去の事象が記録として残っていることの重要性について言及し、「私自身は、将来の被害予測をシミュレーションする研究を行っているが、将来予測というのは検証するのが難しく、『このやり方で本当に良いのか』という判断をするには、昔の資料が非常に役立つ。また、建物の耐震に関する研究も行っているが、耐震の技術は年々良くなっていく一方で、地震が起こる仕組みは変わっていないと見たとき、過去に発生した大きな地震に関する記録が検証を行う上で非常に重要なものとなる」とし、「世の中に出ているのものはすぐに参照できるが、防災専門図書館の資料は、基本的には公開されておらず、このような協定がなければ手に入らない資料である。それらを公開していただき、共有させていただけるというのは非常にありがたいことであり、教員や学生が行っている研究や教育活動で活用させていただきたいし、われわれの成果は防災専門図書館をはじめ、世の中にも還元していきたい」と述べました。

連携協定の締結を提案した平井准教授は、「本研究科の大学院生には、古文書などの資料を読み解くという研究をしている者もいるので、教育面においても良い効果があると思っている。私自身は、江戸時代以前の歴史上の災害にも興味があり、古文書や瓦版という形で残っている史料を活用したい。防災専門図書館も史料をたくさんお持ちなので、そういったものを見せていただきたいというのが私の直接的な希望である」と話しました。また、歴史上の災害の研究の活かし方について例を挙げ、「例えば、地震であれば各地の被害状況が記録に残っている。どの場所で震度がどのくらいだったのかが地図上で分かる。そのような震度分布から、震源断層がどの辺でマグニチュードがどれくらいかなどを推定することができる。そういったことが分かってくると、研究面では活断層を見つけたり、ハザードマップを作るのにも役立てることができる。教育面では、江戸時代末期頃の地震の瓦版は絵で描かれているので分かりやすい。そういうものを防災専門図書館からご提供いただき、それらをもとに作成した防災すごろくを各地の防災イベントに持って行ってワークショップを実施するなどしており、様々な世代の方に楽しんでいただいている」と紹介しました。

 

公益社団法人全国市有物件災害共済会 防災専門図書館係長の矢野陽子氏は「私たちは、資料を集めてご提供するというのが図書館の基本的な役割であると思っている。資料を集める際には、できるだけ事実が書かれているものと、体験談が書かれているものを集めている。体験談は、事実としてまとめられたものからこぼれ落ちたものであったりするので、そういうものも幅広く収集している。そして、それらをきちんと後世に残していくために保存できるよう整理していくことが大切で、その中から『これについて知りたい』と思われた方に『ありますよ』と利用者が希望する資料を提供できるようにしていきたいと思っている」と話されました。また、今回の協定については、「私たち自身は研究者ではなく、資料の中身も読める箇所と読めない箇所があり、読めない箇所の方が多く、なおかつ、それらがどういう価値を持っているのかというのは、先生方の研究の結果を見受けて、それを利用者に伝えるという形になるので、当館の資料を使っていただけるのはありがたい。研究成果をたくさん出されることを期待している」と述べられました。

 

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