5月29日(木)、神戸商科キャンパスにおいて、社会科学研究科会計専門職専攻1年生を対象に開講している「監査概論」の授業時間を利用して、日本公認会計士協会兵庫会の公認会計士の方をお招きしての「2025年度公認会計士制度説明会」が行われました。
理論と実務を融合した教育実施体制-社会科学研究科会計専門職専攻
本学は、2007年4月に西日本の国公立大学では初となる会計専門職大学院(アカウンティングスクール)を開設し、2021年4月からは社会科学研究科会計専門職専攻として教育・研究を行っています。会計専門職専攻では、「監査証明」を主たる業務とする公認会計士をはじめ、税理士や国税専門官、会計検査院の調査官、企業における会計のスペシャリストなど、高度で専門的な会計専門職業人の育成を目指していることから、授業科目として、公認会計士試験の試験科目に掲げられている科目に加え、幅広い見識・思考能力・判断能力・国際的視野・指導力を身につける観点から重要と思われる会計関係科目と、会計以外の科目をバランス良く開講しています。さらに、公認会計士や税理士として現場での実務経験を有する実務家教員による教育を実施するなどにより、本専攻修了後の社会での実務を見据えた教育を提供しています。
質疑応答形式による公認会計士制度説明会
基本科目「監査概論」では、監査実務を行う基礎となる知見や考え方を得ることを目標に、公認会計士の行う企業の財務諸表監査を中心に、経営者が構築するコントロールの仕組みやコーポレートガバナンス、関連する法規制などに関する講義も行っています。
本科目の6回目の授業となるこの日は、公認会計士の業務について理解を深めることを目的に、監査概論の担当教員である本専攻の渡邉泰宏教授による企画、日本公認会計士協会兵庫会との共催で、日本公認会計士協会兵庫会から後進育成部長で公認会計士の福井さわ子氏をお招きして公認会計士制度説明会が行われました。
本説明会は、各学生が事前に1人10個用意した公認会計士制度に関する質問の中から1問選択し、その質問に対して福井氏にお答えいただく質疑応答形式で行われました。学生からは、「公認会計士試験の受験勉強」「監査法人での勤務」「公認会計士の業界について」「コンサルティング業務」「監査実務」「不祥事・不正会計への対応」「サステナビリティ」「教育研修」「DX・AIとの協業」に関する質問が寄せられました。
社会科学研究科会計専門職専攻 渡邉教授
日本公認会計士協会兵庫会 後進育成部長 福井さわ子氏
その中で、「地域ごとに特化した、監査上の工夫や特色はあるのか」との学生からの質問に対して福井氏は、「地域別というよりは業種により、会計処理や管理の目線が変わることがある。例えば、棚卸についても、一つあたりの単価が高額か否かや、紛失や端数が生じることが前提とされている業界か否かにより、物品管理の精度が異なる。監査では、その業界の慣習や理解に基づいて監査をしている」と回答されました。
また、「会計監査人に求められる英語力はどの程度なのか」との質問に対しては、「英語はできるに越したことはなく、監査の現場で必ず使う。クライアントの企業の海外子会社等のメンバーは中国や東南アジア、欧米の方であったりするが、コミュニケーションについては英語がベースとなることが多い。ただ、公認会計士の勉強をしながら英語の勉強をするのは難しい状況にはあり、みなさん試験に合格されてから勉強されている」と紹介されました。さらに、「公認会計士として働くメリット」については、「さまざまな業界を見ることができる点で視野が広がる。また、若い頃から企業の経営層の方々とお話しできる職業であるというのも、大きなメリットなのではないかと思う。経営者の皆様は、会社の5年先、10年先を見据えて『今、何をすべきか』を考えられており、会社の経営というものを知ることができるという点で大変勉強になる。公認会計士になり、若い頃から経営者の考え方に触れる機会に恵まれたことはとてもよかった」と話されました。
最後に福井氏は「公認会計士の試験勉強は大変だが、合格すれば楽しいこともたくさん待っているので、ぜひとも頑張っていただきたい」と学生に向けてエールを送られました。
なお、同日、国際商経学部の2年生を対象とした「監査制度論」の授業においても公認会計士制度説明会が行われました。
参加した学生の感想より
・日本公認会計士協会兵庫会と監査法人のパートナーとしての2つの立場からお話を伺うことができ、今後のキャリアを考える有意義な時間になりました。サステナビリティや海外駐在に興味があるので、これからも合格後の姿を考えていきたいと思いました。
※監査法人のパートナー…監査法人における役員であり責任者。また、監査業務における監査の品質を保証する最終責任者。
・目まぐるしく変わる世の中で、会計士としての業務の変化をはじめ、個人としてのキャリアアップや価値を高めるためにどのようなことが必要なのかが分かり、公認会計士として働く方々への解像度が上がりました。
・現役の会計士の方からしか聞けないような、リアルな意見を聞くことができて良かったです。試験へのモチベーションも上がりました。
・公認会計士は、女性にとって働きやすい資格・職場であると知ることができたので、安心して公認会計士を目指すモチベーションが上がりました。
・現在の会計士の実務事情やAIの発展に伴う監査実務の変化について聞くことができて良かったです。
・国際商経学部
・社会科学研究科会計専門職専攻
・日本公認会計士協会兵庫会
公認会計士について詳しくお知りになりたい方は、下記のリンク先をご覧ください。
・公認会計士とは(日本公認会計士協会公式サイト)
公認会計士試験について詳しくお知りになりたい方は、下記のリンク先をご覧ください。
・公認会計士試験に関するご案内(公認会計士・監査審査会公式サイト)
社会科学研究科会計専門職専攻長の土田俊也教授が2023年4月にラジオ関西に出演し、会計専門職専攻における教育について取り上げた際の記事を、下記のリンク先からご覧になれます。
・ケンダイツウシン「会計専門職大学院における教育」 社会科学研究科会計専門職専攻 土田 俊也教授
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