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「会計専門職大学院における教育」 社会科学研究科会計専門職専攻 土田 俊也教授

本学ではラジオ関西との共同企画で、教員が取り組む先進的・特徴的な活動を広くPRするために、毎月1回本学の教員が、ラジオ関西番組「水曜ききもん」にてパーソナリティと対談形式で紹介しています。

 

4月5日(水曜日)放送の「水曜ききもん こちら兵庫県立大学です!」に登場するのは、社会科学研究科会計専門職専攻の土田 俊也(つちだ としや)教授です。

 

今回のテーマは、「会計専門職大学院における教育」

土田教授の専門は、「財務会計、財務諸表分析」です。

 

使命感のある会計専門職業人を育成-会計専門職大学院

本学の前身である神戸商科大学は、これまでに公認会計士や税理士など、多くの会計専門職業人を輩出してきました。また、昨今の企業経営においては、会計情報の戦略的活用が重視されるようになり、経済活動のグローバル化に伴い、会計基準や監査基準の国際的統一化も進展していることから、このような動きに対応できる専門的人材に対する社会的ニーズの高まりを踏まえ、本学では2007年4月に西日本の国公立大学では初となる会計専門職大学院(アカウンティングスクール)を開設し、2021年4月から社会科学研究科会計専門職専攻として教育・研究を行っています。本専攻には、主に大学時代に会計の基礎である簿記を勉強されてきた方がさらに高度な勉強をすることを目的に進学されています。

土田教授は、本専攻において、財務会計の意義や制度の枠組み、基礎概念について理解を深めることを目的とした「財務会計」、新たな会計基準が必要とされた背景や基準における重要な論点を説明できるようになることや、各基準の理解を踏まえて具体的な会計処理を適用できるようになることを目標とした「会計基準Ⅱ」の講義を行っています。また、公認会計士試験の試験委員としても活動しています。

講義中の様子

 

「経理」と「財務」の違い

企業や組織は、機能ごとに様々な部署に分かれており、その中には企業や組織のお金にまつわる業務を担当する部署があります。いわゆる「経理」と呼ばれる部署や、「財務」を呼ばれる部署、あるいは「経理」と「財務」が一緒になっているところなど、その形態は様々ですが、「経理」と「財務」の違いについて土田教授は、「『経理』とは、帳簿をつけたり、帳簿の内容に基づいて決算書を作成したりするなど、会社の日々のお金の流れや取引の流れを記録し、管理することを指します。また、作成した決算書から将来の計画を立てるところまで経理の仕事に含まれます。そうした経理の仕事をする上で様々なルールがあり、そのルールを学ぶのが『会計学』という、私が大学で教えている授業の内容になります。『財務』は、会社の将来のお金を管理することを指し、将来の財務計画を立てるには資金が必要なので、会社の資金調達などの面で経理と関わってくることもありますが、どちらかというと分野としては会計学よりも経済学の方が関わりは深いのかなと思います」と解説しました。

 

簿記の勉強がスタートに

会計学の道を志すことになったきっかけについて土田教授は、「私は普通科の高校から大学の経営学部に進学し、入学当初は会計に関する知識が全くありませんでしたが、『せっかく経営学部に入ったのだから、簿記の勉強はしておこうか』と考え、簿記検定試験を受けるための勉強を始めました。大学3年生のときに簿記検定試験の最上級である1級の試験を受検し、合格することができました。また、大学3年生のときのゼミ選択の際に、当時、経営学部に会計学の分野で大変著名な先生がいらっしゃったので、その先生のゼミに入り、学んでいくうちにさらに興味を持つようになり、こちらの分野に進もうと思いました」と紹介しました。一般的に、大学の商学部や経営学部、経済学部のカリキュラムには、会計の基礎である簿記を勉強するような授業科目が設けられていることがあり、大学入学時には会計に関する知識がない状態でも、大学入学後に勉強していれば、大学院の授業に十分ついていくことはできると土田教授はいいます。

大学時代の日商簿記検定試験1級の合格証書

 

実務を見据えた教育

本専攻では、公認会計士や税理士、企業で経理の仕事に就きたい方など、会計に関する専門的な職業人を目指す方に向けて、幅広い見識、思考能力、判断能力、国際的視野、指導力に加え、高い職業倫理や専門的能力など、高度で専門的な職業能力を身につけることのできるカリキュラムを組んでいます。学生は、科目を履修し、期末試験を受けて単位を修得することが求められ、公認会計士試験や税理士試験ではあまり取り上げられることのない事柄もしっかり学ぶことになります。「会計専門職業人である公認会計士や税理士になれば、人から説明を求められる立場になるので、そういう立場になったときに『私、これは勉強していないので説明できません』という言い訳はできないので、私たちの大学院では、資格認定試験に出るか出ないかに関わらず、会計というものを勉強した人にとって、しっかり学んでおいて欲しいというところは教えていくという教育をしています」と、土田教授は希望する職業に就いてから役立つ教育を行っていることを強調します。「私たちの大学院には実務家教員といい、ご自身が公認会計士や税理士の資格をお持ちで、授業のときだけ大学に来ていただく特任教授という先生がいます。そうした先生方は現場を知っている先生ですから、現場ではどういう会計が行われているのかなど、現場を知っている先生からでないと学ぶことができないことを教えていただけるというところも専門職大学院の特徴なのかなと思います。私自身も、自分で簿記を勉強しているときには、『こういう取引が行われたら、会社の儲けはこれだけだよ』といった具体に、定型が決まっているかのように勉強していましたが、実際には会社の取引はそんな単純なものではなく、現場で判断が求められることがあるので、そういったところを実務に精通した先生に教えていただけるというのは、非常に良いことではないかなと思っています」また、土田教授は学生の就職についても触れ、「私たちの大学院は、会計学という実務に密接に関連している分野を中心としていて、それ以外にも経営学や法律といった科目や、実務において役立つような科目を開講しており、学生はそうした科目を履修して卒業していくので、就職も不利ということはなく、むしろ有利で、みなさんご存じのような企業に就職された方もいます」と紹介しました。

土田ゼミの様子

 

経営者や現場と対話し、サポート-会計職業人の広がる可能性

番組の中で、一時期、会計関係の仕事がAIに取って代わられるようになるのではないかと言われていたことについて取り上げられました。このことについて土田教授は、「経理というのが、帳簿をつけて決算書をつくるという仕事だけであれば、AIに取って代わられることもあるかも知れませんが、仕事はそれだけでなく、出来上がった決算書を見て、会社を今後どうしていくのか、どのようにして儲けの出る会社にしていくのかというようなことを、会社のトップの方と対話しながら目標を定めていくという仕事があります。それは今後も必要なことであり、目標を立てるのは経営者本人なので、人間でないとできないことですから、そうした仕事がなくなることはないと思っています」と言葉に力を込めました。AIを活用して、計算間違いなどを確認する時間が省けるようになることで、公認会計士や税理士などの会計専門職は、これまで以上に経営者との対話を増やし、会社の将来のビジョンを描くことに時間を使うことができるようになるといいます。土田教授は会計職業人の将来性についても言及し、「これからの会計職業人は、現場に出て、現場と対話しながら会社を良い方向へ持っていくという仕事が求められると思うので、どんな職業にも当てはまるかと思いますが、コミュニケーション能力が、より求められるようになります。また、公認会計士の経験を活かして大学の教員になるなど、いろいろと可能性のある職業ではないかと思います」と話しました。

社会科学研究科会計専門職専攻「財務会計」の講義

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兵庫県立大学大学院社会科学研究科会計専門職専攻

 

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