村松風香さん(左、看護学部4年生)
大枝桃子さん(右、看護学部4年生)
明石市と神戸市にまたがる明舞団地は、まちびらきから50年を超える団地です。大枝桃子さんと村松風香さんは大学の副専攻である地域創生人材教育プログラム(当時はコミュニティ・プランナー育成プログラム)の一環で、明舞団地に住む高齢者を元気にしようと、「リア充ツアー」と名付けたバス旅行を企画。10名の地域住民とともに、姫路の夢前町にある古民家や温泉を巡りました。さらに自主的に、団地の方々が集えるような学生カフェづくりやツアー第2弾の企画に挑戦中。2人はなぜ地域に関わり続けるのでしょうか。
大枝 1人暮らしになった祖母をなかなか見舞うことができなくて、地域で助け合える仕組みづくりに関心がありました。
村松 わたしは、病気を持っている方や障がいを持っている方、いわゆる社会的弱者が暮らしている地域で何か役に立てないかと考えていました。
大枝 地域創生人材教育プログラムは1年生の時はインタビューの仕方や団地について幅広く学び、2年生からは学生がチームをつくって地域課題を解決する実践を行うというものです。
村松 2年生のときの私たちのチームは7人。まずは住民さん主催の体操の会に参加し、高齢者の方々にインタビューしながら自分たちに何ができるかを考えました。他のチームは団地内での取り組みを考えていましたが、私たちは団地の人同士で団地外に旅行にいくツアーがいいんじゃないという話になりました。でも、大勢のツアーに参加すると周りにペースを合わせないといけないのがしんどいという声も聞き、安心してゆっくりできる旅行を企画しました。
村松 2年生の後期になってその企画を実践するという段階になると、7人いたメンバーが4人に減ってしまいました。それぞれ事情があるので仕方ないんですけどね。それでもやろうと思ったのは、大変より楽しいが上回ったというか、大変なことも全部楽しい!に変換していったんです。お金の問題もありました。バスの借り上げ費用が結構かかることが分かってきてどうするか困っていたら、担当の先生から助成金があることを教えてもらって、急いで団体の規約と代表者を決めて「地域活性化支援クラブ」という名前をつけて申請しました。
大枝 それから、どこに行くか、温泉にいくかどうかなど、先生の力を借りたり、参加者の方の意見を聞いたりしながら決めていきました。また、血圧などの健康面にも配慮してスケジュールを組み立てました。結果的に、参加してくれた方々にすごく喜んでいただいて、「もう1回やらないの?」と言ってもらえたことで、1回だけのイベントだけじゃなく、いつでも学生と住民が交流できるカフェをつくりたい、と強く思うようになりました。
大枝 これまでは「出来そうだからやる」というタイプだったのですが、活動を通して「出来るかどうかわからなくてもまず自分から活動を始めてみる」という気持ちが強くなったと思います。大学のプログラムは2年生で終わるのですが、その後も自主的に活動を進めています。鹿児島の学生カフェを調査しにいったり、明舞団地のお祭りで珈琲を提供してみたりしました。いま、淡路島への第2弾ツアーも検討しています。
村松 私は、自分だけで頑張るんじゃなくて、いろんな専門性を持っている人に協力をお願いして、いいものが出来ることを学びました。たとえば、ツアーのチラシはデザインを勉強している友達が手伝ってくれて、自作するより何倍もすてきなものができました。コミュニティカフェは大きな目標ですが、実現できるように後輩と力を合わせて頑張ります。
私が本当に感心しているのは、大枝さん、村松さんが活動を心から楽しみ、誠実に地域の方々と接し、活動していることです。1人ひとりへの電話連絡(皆さんお話好きですので、お1人30分くらいかかります笑)、補助金申請の書類作成、コーヒーのオリジナルブレンドの試行錯誤・・・「仕事」としてはすべてとても面倒なことです。しかし2人は、ツアーやカフェをより良いものにするため、いっさい手を抜かずに取り組んでいました。参加者の笑顔のための工夫を楽しんでいるからこそ、参加者も楽しくなり、わいわいと輪が広がっていきました。大学時代に情熱を傾けられることを見つけ、とことんやり抜く経験をすることは、社会に出る時の羅針盤になります。
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