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県大STORY_2020/一歩引く、という成長もある。/太田健吾さん

太田健吾さん(環境人間学部4年生)

【イントロ】ツリーハウスのある里山で木工

建築を学んでいる太田健吾さんは、学生団体の「木の子」に入会。これは兵庫県立大学の熊谷哲名誉教授が保全されている姫路市仁豊野の里山で「子供達の遊び場」となるツリーハウスや遊具を設計・制作し、地域交流や環境教育のイベントを行う団体です。そこで太田さんは3年生から9代目の代表を務め、40人を超えるメンバーとともに活動を行ってきました。自分にとっても学びが多かったと語る太田さんが里山で気付いたこととは!?

 

 

建築に集中したくて、部活との掛け持ちをやめた

高校生のときから、将来は建築をやってみたいと思っていました。入学してすぐの頃にたくさんの学生団体やサークルのプレゼンテーションを聞く機会があって、そのなかに「木の子」の紹介もあったんです。ものづくりが好きで、せっかく大学に入ったことだし授業以外の活動もしてみたかったので、里山でものづくりができるこの団体に入会しました。

じつは、これ以外に建築のリノベーションに関わる取り組みにもかかわっていたし、ソフトテニスの部活にも入っていたんです。でも、3つの掛け持ちはやはり大変だったので、2年生の最後に建築に関係する活動だけにしぼろうと決めて部活をやめました。

「木の子」では毎週木曜日昼休みのランチミーティングと、水曜日と土曜日を交互に週1回の活動を行っています。水曜日は授業が午前中で終わるので里山に行くこともあるし、教室で設計図を描いていることもあります。土曜日は朝から里山に出かけて1日中作業やイベントに取り組んでいます。

 

自分でつくる喜びから、チームでつくる喜びへ

自分で作った遊具のなかで面白かったのは、ドラえもんの「どこでもドア」を真似て森のなかに扉を建てたときです。子どもたちが大喜びで、もう扉が外れるほど開け閉めして遊んでくれました。

3年生で団体代表になってからは、後輩のものづくりを指導するようになりました。高校生までは、図工にしてもあくまで自分の作品をつくることがほとんど。だから、人を指導する形で1つの作品づくりに関わることは初めての経験でした。質問されることに対して改めてそれどうだったかな?と、自分が理解しきれていないことに気付かされたりもしました。また、後輩が「円形ベンチ」をつくりたいと提案してきたことがあったのですが、1から10まで教えると、僕の作品になってしまいます。あくまで後輩の作品。バランスが大事です。手鋸で板を丸く切り出すのは難しいので「円形に組み合わせられる椅子」にしてはどうか?とだけアドバイスしました。ただ、いま振り返ると「円形は難しい」とだけ伝えて、後輩たちが別のアイデアを出すまで待ったほうがよかったのかもと思えてくることもあります。

一歩引いて物事を見ている、というリーダーらしさ

チームでの制作は、毎回難しいですが、リーダーになったことで全体を俯瞰して客観的にみる目がもてるようになりました。今までは、なかなかそういう立場になかったので自分でも成長できたと感じています。「木の子」のメンバーには、先頭に立っていくんだ!と言う人もいれば、ついて行く立場のほうが自然体でいられる、という人もいて、人それぞれ。前の代のリーダーは、みんなを引っ張っていく存在感がある人でしたが、自分は同じようにはできません。ばりばり仕切るリーダーでなく、どちらかといえば「いじられキャラ」。フラットに相談しやすい関係性を大事にしていました。

今「木の子」に所属している学生の人数も年々増えていて、約40人のメンバーがいます。興味のある分野や得意なことも様々です。活動の頻度やそれぞれが活動にかける熱量にも差があるなかで、一步引いた視点で物事を見ながら、役割や仕事を振って、いかに全体のパフォーマンスを上げていくか?それが、自分らしいリーダーシップの発揮の仕方だと思っています。

熊谷哲 名誉教授・NPO法人はりま里山研究所理事長からのメッセージ

私が管理する里山で「木の子」という団体が誕生してもう10年。これまで多数の学生がこの場所にきて、里山の環境をデザインし、形にしていく活動や、それを社会に伝え、還元していく活動を展開してきました。太田君はこの里山で手を動かして作品を作る活動から始まり、3年生からは9代目代表として多くの後輩の活動をまとめる立場になりました。これまでいろいろなタイプのリーダーをみてきましたが、太田君は1人ひとりの学生たちの能力を伸ばすリーダーとして成長していきました。卒業してからも、太田君らしいリーダーシップを磨いていってもらいたいと思います。

 

関連リンク

兵庫県立大学環境人間学部

木の子

 

本記事は「兵庫県立大学通信1460第3号」からの転載です。

太田さんは動画「県大ストーリー(2020年度)」に出演しています。

 

 

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