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世界初!骨盤CTから骨折を自動検出する人工知能モデルを開発

知らない間に骨折し、症状が進んでしまったら…?

兵庫県立大学とグローリー株式会社が兵庫県立大学先端医工学研究センター内に開設した共同研究講座(代表:工学研究科 小橋昌司教授)のグループが、人工知能(AI)を利用してCT画像から自動で骨折を検出する支援システムを開発しました。

 

 

超高齢社会を迎え、骨粗しょう症により骨折する患者さんが増加しているそうです。

はっきりとしたケガがないにもかかわらず、骨が折れている「脆弱性骨折」というものがあることが分かってきました。特に骨盤回りの骨によく起こる症状で、ふとしたきっかけでも骨折してしまううえに、レントゲン写真ではその骨折自体が発見し難いそうです。また、これを見落としていると骨折が大きくなり、それが原因で寝たきりや認知症に進んでしまい、日常生活が困難になります。

そこで、兵庫県下で骨盤骨折症の患者さんを多く治療している製鉄記念広畑病院、並びに、高い画像認識技術をもち、貨幣などの画像認識・識別装置で国内トップシェアを誇るグローリー株式会社との共同研究により、AIによって骨盤CT画像から骨折箇所を自動検出する方法を世界で初めて開発しました。

2019年8月、本学は、グローリー株式会社と共に兵庫県立大学先端医工学研究センター内に共同研究講座を開設しました。この研究講座では、本学のAI医療画像解析技術とグローリー株式会社の画像認識技術を融合し、医師をサポートする新しい画像解析診断装置の実用化を目指しています。また同年、製鉄記念広畑病院とも共同研究を開始しました。

 

AIの医療への応用は非常に期待されており、脳の磁気共鳴血管撮影(MRA)画像からの脳動脈瘤検出や、内視鏡画像からのポリープ検出など、画像からの病変の自動検出に大きな役割を果たしています。

骨折の自動検出では、手首の骨折などについて2次元レントゲン画像(単純X線画像)から検出する方法が提案されています。一方、CT検査では数百枚の断層画像からなる3次元画像で診断するため、骨折も様々な形状で観測されてしまい従来の方法が適用できませんでした。

 

製鉄記念広畑病院の村津副院⻑・整形外科部⻑らは、骨盤骨折患者のCT画像に対して、骨折の位置、形状を手動でマークし、AIで学習するための学習データを作成しました。

兵庫県立大学グローリー医工学共同研究講座は、同学習データを用いてAI骨折検出法を提案しました。

骨盤骨折では撮影されるCT画像枚数が数百枚と膨大であるため、骨折を精度よく見つけるためには、骨盤骨折専門の医師が慎重に診察する必要があります。しかし、そういった専門医は全国でも少なく、地方になるほどその人数が少なくなってしまいます。そのうえ地方では高齢者人口が多く、診断を必要としている方が多くいらっしゃいます。

 

このAI骨折検出法を開発したことにより、医療の質を向上するとともに、医療者の負担軽減、骨折の見逃しによる医療事故の削減、さらには地方の専門医不足の解消にもつながると期待されています。

 

先端医工学研究センター(AMEC : advanced medical engineering center、通称エイメック)

兵庫県立大学の医療工学研究シーズを結集させ、医療機関、ものづくり産業との連携を促進し、学際複合的新産業の創成、最先端医療工学技術の実用化・産業化を推進することを目的として、2016年4月に設置されました。2022年度には、同センターの機能を移転させ、規模、研究設備を拡充したうえで、先端医療工学研究所(仮称)を同年開院予定の兵庫県立はりま姫路総合医療センター(仮称)内に開設予定。

 

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