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選択肢が多すぎて、やりたいことを絞りこめない…(環境人間学部編)

「キャリアセンターやインターンシップの制度を活用して、自分を知ることから始めよう!」

兵庫県大生の「くわしく教えて」に答える『県大Tips』。今回のテーマは環境人間学部のインターンシップと就職活動です。

 

みなさんは、各キャンパスにあるキャリアセンターを訪れたことはありますか?就職活動がスタートしてから行くものだと思っている人が多いかもしれませんが、今学んでいることから就職先をどう見出すのか相談したり、インターンシップ先を探すポイントを聞けたりと、初歩的なことから相談に乗ってくれる場所なんです。播磨理学キャンパスに続き、今回は姫路環境人間キャンパスキャリアセンターの福岡民子さんにインタビューしました。環境や暮らしにまつわる幅広い知識を学ぶ人もいれば、建築や食環境などの専門性の高い分野を追求する人もいて、環境人間学部のキャリアデザインの可能性は無限大!?環境人間学部のインターンシップと就職活動についてお伺いしました。

 

ゲスト:福岡民子さん(キャリアコーディネーター) /  聞き手:1460編集部

選択肢が多いからこそ、将来への悩みが増える!?

編集部:姫路環境人間キャンパスのキャリアセンターにはどのような相談が多いのでしょうか?

 

福岡:傾向として、大きく2つのパターンがあります。一つは、進むべき道が見えていて、就職活動を進めている人が、エントリーシートの書き方や面接時のアドバイスなど具体的な相談をしにやってくるケース。二つ目は、迷っていて何から手をつけたらいいのかわからない場合。将来したいことがまだ定まっていなくて、漠然とした不安を抱えた学生がキャリアセンターへ相談にやってくるケースもあります。

環境人間学部は、物事に丁寧に取り組むまじめな学生が多いと感じています。「ひとを深く広く学び、環境や暮らしをデザインする」ことを目的とした学部ですから、将来進むべき道もバラエティに富んでいて、選択肢が多いがために、将来について悩みを抱えやすいのかもしれません。

 

編集部:環境人間学部は専門として4つの系(※1)と食環境栄養課程があり、食環境栄養課程は入試段階で専門を決めますが、それ以外は専門を決めずに入学して2年生から系に所属していきますね。そもそも専門を決めていない学生が多いということも背景にあるのでしょうか?

 

※1 人間形成系、国際文化系、社会デザイン系、環境デザイン系

 

福岡:そうですね。どの専門分野に進んだらよいのか、1年生の時に相談に来られる方もいますが、やはり進路について本格的に考え始める3年生になってから相談に来る人が多いです。1年生で幅広く学び、2年生で専門分野に進んだけれど、将来、どのような仕事をしていきたいのかわからないという人もたくさんいます。また、学生時代にはいろんな悩みがあると思いますが、目指す将来像や就職活動について友だちとは話をしづらい風潮があるように思います。

 

編集部:それは、試行錯誤している時期で気持ちがあいまいなので、言葉にして話しづらいということでしょうか?

 

福岡:どちらかというと、相手の反応を気にしている傾向にあるように思います。人生を左右する大事なテーマだからこそ、人に話したときに相手を不安にさせたり、自分が傷ついたりするかもしれないと思って躊躇してしまうのでしょうね。いろんな考え方や受け止め方があり、友だちと話したい人もいれば話したくない人もいて、キャリアデザインにまつわることって実はデリケートなものなんですよね。

編集部:一方で、誰かと話すことが前進するきっかけになることもありますよね。

 

福岡:高校生までは進路指導など、誰かに具体的なアドバイスをもらいながら、将来を決めるようなところがあったのかもしれませんが、就職活動においては偏差値などのわかりやすい指針や教員のアドバイスを得ることは難しいと思います。どう生き、どこで働くのか…大海原に放たれて選択を突きつけられる状況ですから、戸惑ったり、不安が大きくなっても仕方ないと思います。キャリアセンターは、まだ就職活動を始めていなくても相談OKです。漠然とした内容でも、人に話しづらいことでも、可能な限りどんなことも聞きますので、とにかく一人で抱え込まないでほしいです。

インターンシップの経験が、キャリアを考える大きな手がかりに

編集部:将来のことを考えるうえで、インターンシップは就職活動の入り口のような位置付けでしょうか?

 

福岡:そうですね。自分の将来を決めることは、実は社会人になっても難しいものです。そんななかでも、インターンシップは、これからのことを考えるきっかけとしてはとてもいい制度だと思います。特に大学での学びや将来に対して抽象的な期待感を持って入学してきた学生は、自分の興味関心や学習内容からだけでは業界も絞りづらいと思うんです。業界選びに悩んだら、企業理念に共感できるかどうかを基準にする人もいます。企業が目指す姿しかり、同じ目的を持った仲間ととともにいかに心地よく働けるのかということも大事なポイントです。そして、インターンシップは、「絶対にこう!」という確信がなくても、学生と企業とお互いに知り合うトライアルな機会です。オンラインのプログラムも充実しつつあり、より参加しやすくなってきていますから、ちょっとでも気になる企業があれば一歩踏みだしてエントリーしてみてほしいですね。

 

 

編集部:インターンシップについてのガイダンスも開催されていますね。

 

福岡:3年生の前期に、「インターンシップガイダンス」を開催しています。主に就職情報サイトを運営する企業の講師をお招きして、情報収集のノウハウや選考についてレクチャーをしていただくもので、インターンシップの全体像をつかむことができます。昨年は、就職情報サイトを運営する企業に就職した本学の卒業生をゲストに迎えて、インターンシップでの体験談を話していただきました。そのなかで、「インターンシップに行くことは企業風土を理解するだけではなく、今の自分に足りていないことや社会人として生きていくために、学生時代にどんなことを経験しておくべきかを知るための機会。新たな自分の発見に繋がった」とおっしゃっていて、学生により近い目線での体験談だったので、学生にとってとても説得力があったようです。こういったリアルな声を聞ける機会も増やしていきたいですね。

 

インターンシップの目的は、社会を知ること

編集部:環境人間学部では、どのくらいの学生がインターンシップに参加しているのでしょうか?

 

福岡: 1年生と2年生は少人数ですが、3年生になるとおよそ6〜7割の学生がインターンシップに行きます。1、2年生向けのインターンシップを行う企業もあって、参加する学生も企業選びというよりはもうすこし広い視点で、社会を知ることが目的の場合が多いです。仕事の現場を知ること、企業にはどういった能力が求められているのかなどを学ぶためのプログラムが多い傾向にあります。しかし3年生以降になると企業側も採用目線のプログラムを組み、就職活動を意識したものになってきます。

 

編集部: 1、2年生向けのインターンシップもあるのですね!

 

福岡:一例を挙げると、インターンシップとはやや異なりますが、兵庫県が主催する「わたしのキャリア研究会」というプログラムがあります。兵庫県下の大学生を対象に、1年かけて企業研究を行い、研究結果を発表するものです。研究方法、プレゼンのノウハウ、他大学との交流と、いろんな要素を体験できて、大学の枠を超えて成長できるプログラムです。企業によっては、そういった“広く社会を学ぶため”のインターンシップも増えてきているので、ぜひ学外に出て学ぶきっかけにしてほしいと思います。大学に案内も来ていますし、自分でも検索してみてくださいね。このプログラムでいいのかな?という相談なんかも、もちろんウェルカムです!

 

編集部:勉強、バイト、部活と忙しい毎日のなかで1、2年生からインターンに行くのはハードルが高いと感じる人もいるのではないでしょうか。

 

福岡:インターンシップの大きな目的の一つは、社会を知ることだとも言えます。ですから、1、2年生でインターンに行けなくても、例えばアルバイトを通して社会人との接点があれば、それまで知らなかった価値観に触れたり新たな視点を得たりすることが可能だと思います。特に1年生は学校生活に慣れることを優先すべき時期でもあるので、勉学を優先しつつ、今の生活上にある身近なところでチャンスが得られるといいですね。

 

編集部:昨今、企業において、インターンシップはどのような位置付けなのでしょうか?

 

福岡:すべてではありませんが、インターンシップへの参加を条件に採用試験のステップに進むことができる企業もあります。ですから、早めに情報収集しておいて、採用過程においてインターンシップの参加が必要かどうかを確認しておくことをお勧めします。ちなみに、インターンシップに参加した学生のうち8割が、満足してその企業に入社するというリクルート系企業による統計データもあります。学生にとってもインターンシップに参加することで漠然と抱いていたイメージをクリアにできたり、企業を比較できたりして、納得して就職先を選ぶことに繋がるのではないでしょうか。

インターンシップで自己発見し、本当にしたい仕事と出会えた!

編集部:インターンシップに参加した学生の印象的なエピソードがあれば教えてください。

 

福岡:公務員を目指していたAさんの事例でしょうか。環境人間学部には、公務員講座を受講する学生が学部全体のおよそ1/4います。公務員を目指すのは、例えば社会の下支えをしたいとか、誰かの役に立ちたいという思い、安定しているからなどといった理由が挙げられます。Aさんもそのような思いで公務員を目指していました。しかし、万が一、公務員試験に落ちた場合に備えて、社会福祉系の民間企業のインターンシップに参加したんです。介護施設などの3つの福祉事業所でのインターンシップの体験から、直接感謝の思いを伝えてもらえることが働くモチベーションとなること、困っている目の前の人に自分の力を尽くしたい!という思いに気が付いたのだそうです。

 

編集部:インターンシップでの経験が、視野を広げ、自己発見のチャンスになったんですね!

 

福岡:Aさんの場合は、地域に住んでいる高齢者の支援がしたいのだという具体的な気づきにもなったようです。公務員は幅広く住民へ社会貢献できるメリットがありますが、福祉事業所ではその道のスペシャリストを目指せるところにも魅力を感じたのだそうです。「インターンに行ってみて発見がたくさんあり、進むべき方向が見えました!」と報告してくれてうれしかったですね。なお、Aさんは希望していたところから無事に内定をいただき、その道に進むそうです。

 

一人で抱え込まないで、気軽に相談してみて

編集部:就職活動でキャリアセンターに相談に来るべきタイミングはありますか?

 

福岡:自己流で就職活動を行ってきたけれど、そのやり方が通用しないと感じた時です。面接で力を発揮できないとか、エントリーシートで落ちてしまうとか、活動するなかで自分の傾向が見えてきます。それにはおそらく、自己分析が足りていない、書類の書き方に課題がある、企業の選び方に問題があるなど、原因があります。一人で考えていてはなかなか突破口が見えないものですが、別の視点から見ればきっとすぐに改善点を見出すことができ、次の一歩を踏み出せると思いますよ。

 

編集部:もっと前の段階で悩んでいる人も相談OKですよね?

 

福岡:もちろんです!具体的なアドバイスを求めてやってくる人もいますが、話すことで自分の考えを整理するきっかけになっていることも多いように思います。譲れない思いや描いている未来図があるけれど、言葉にできていない学生が多いんです。私たちが壁打ちするみたいに話をお聞きし、質問を繰り返すことで、たいていの場合は学生が自分で答えを見出して納得して帰るというケースがよくあります。ですから、考えを整理するためだけでも、ぜひキャリアセンターを活用してください。予約はネットか電話、あるいは直接キャリアセンターに来ていただいてもOK。立ち話だけでもいいですよ。私たちも社会人の一人ですから、友だち、親、先生ともちょっと違うポジションの気軽な相談相手になれるかもしれません。

何を大事にして生きていく?就活は自分と向き合うステージ

編集部:最後に、学生にメッセージをお願いします。

 

福岡:まわり道を恐れないでほしいです。就職活動にまつわるイベントやインターンシップに参加するメリットを聞かれることがありますが、やってみないとどんな気づきがあるのかわからないものなんです。効率よく、最短距離を選びたくなると思いますが、遠回りをしたからこそ見える景色もきっとあります。社会人になって働き始めると忙しくて、仕事以外のことにトライしづらいものですから、学生の特権だと思って、失敗しても迷子になってもまたやり直せばいい!くらいの気概でいてほしいなと思います。

企業の面接では、「あなたの就活の軸はなんですか」と問われることがよくあります。どんな思いで企業選びをしているのかという問いですが、その答えは、“自分が何を大切にして生きてきたのか”という価値観の延長上にあるものだと思います。日々の大学生活において、自分が何を大事にして生きているのかを認識しておかなければ、返答できるものではありませんし、通りいっぺんの答えでは相手に響きません。ありきたりな表現かもしれませんが、大学生活の4年間は自分を発見するための旅のようなもの。自分が何者であるのかを探す時期だと思って、まわり道を恐れずどんどんチャレンジしてほしいです。

・今回のゲスト

姫路環境人間キャンパスキャリアセンター

キャリアコーディネーター 福岡民子さん

 

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