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「異分野の融合によってイノベーションを生み出す」 先端医療工学研究所開所記念フォーラム・見学会

6月29日(水)、アクリエひめじ及び兵庫県立大学先端医療工学研究所で、本研究所主催の「開所記念フォーラム・見学会」が開催されました。

本学は、令和4年4月に、兵庫県立はりま姫路総合医療センター内に医療工学を研究開発、医産学連携を推進する先端医療工学研究所を開設しました。このたび、研究所の開所を記念して、研究所の機能や主とする3つの研究分野を紹介するフォーラムと研究所の見学会が行われ、約300名の参加がありました。

 

フォーラムの開会に先立ち、齋藤元彦兵庫県知事が太田勲学長、畑豊副学長の案内により研究所を見学されました。研究所の教員やバングラデシュからの留学生をはじめとした学生の説明に耳を傾けられました。

 

フォーラムの様子

フォーラムでは、はじめに太田学長から開会の挨拶がありました。太田学長は、「本学は、医学部を持たないため、これまで近隣大学の医学部や附属病院、あるいは公立病院、民間病院、企業と連携して研究を進めてきた。臨床現場と直結する建物に研究所を開設できたことは、大変大きな出来事で、臨床現場レベルにおける医師側のニーズと大学側のシーズのマッチングができる。また、日常的に看護ケア・栄養ケアを含めて、医療健康全般について情報交換でき、研究推進にとって非常に大きな力になると思っている。この環境を生かして、これまでの成果をさらに進化させ、医療工学機器、医療診断、手術支援技術、情報看護、医療栄養科学などの革新的な研究を推進するとともに、多くの高度医療、専門人材が輩出されることを期待している」と述べ、「本研究所を、兵庫県の西の医産学連携拠点として、先端的な医療工学の研究推進と、医療健康分野の高度専門人材の育成に注力するという決意を申し上げる」として、開会の挨拶を結びました。

 

齋藤元彦兵庫県知事、清元秀泰姫路市長、南康博神戸大学大学院医学研究科長兼医学部長の来賓の方々から、祝辞をいただきました。

 

本学と兵庫県立はりま姫路総合医療センターは、相互の包括的な連携を推進し、お互いの知見と人材の活用を図ることを通じて、地域における医産学連携と地域から世界に向けたイノベーションの発信をめざすことを目的に包括連携協定を締結することとし、祝辞をいただいた来賓の皆様の立ち合いのもと、包括連携協定の締結式を行いました。

 

基調講演では、2名の講師の方に登壇いただきました。

まず、大阪大学情報研究科・生命科学研究科特任教授で情報通信研究機構フェローの柳田敏雄氏から、「ゆらぎと情報と生命機能 生物と人工機械のちがい」と題した講演をいただきました。

 

兵庫県立はりま姫路総合医療センターの木下芳一院長からは、「『はり姫』が兵庫県立大学と一緒にしたい仕事」と題した講演をいただきました。

 

基調講演後、先端医療工学研究所の紹介が行われました。まず、本研究所の小橋昌司所長から、先端医療工学研究所の概要と医療ヘルスケア機器分野に関する紹介がありました。小橋所長は、「医療現場の中で医療工学を学び、医療機器を開発していく研究所でありたい」とし、研究所の特徴として「医療現場と直結した医工連携の研究所」「大学全体で医療に取り組む」「オープン大学院」「医産学連携」「ニーズに答える多様な研究シーズ」の5点を挙げました。

 

坂下玲子副学長からは、看護介護分野に関する紹介がありました。坂下副学長は、看護介護分野では3つの大きな柱として「AIを活用したデータヘルス・ケアシステムの実装を実際に行っていくということ」「看護実践の定量化と質向上」「人材育成・リカレント教育」を立てているとし、「本学は、看護職を育成して30年経つ。その広いネットワークを活かしながら、本研究所で多分野の人々と一緒に研究を行うことで、いろんな化学反応が起こせれば良いなと思っているので、ぜひ気軽にお声を掛けていただけたらと思っている」と話しました。

 

伊藤美紀子所長補佐兼環境人間学部教授からは、食栄養分野に関する紹介がありました。伊藤所長補佐は、食栄養分野の課題として、「地域では、生活習慣病の増加や高齢化社会の進行による高齢者の低栄養、病院においても、入院患者の高齢化や低栄養の患者の増加などがある」とし、「本研究所に所属している教員と兵庫県立はりま姫路総合医療センターの栄養管理部の方と共同研究をしながら、これらの課題解決に向けて一緒に研究・実践を進めていければと思っている」と話しました。加えて、「食栄養分野の現場で『困ったな、どうしてかな』というようなことがあれば、ぜひお知らせいただきたい。課題解決に向けて、一緒に研究・実践を進めていきたい」と述べました。

 

最後に、畑豊副学長から閉会の挨拶があり、この開所記念フォーラムの開催にあたって、来賓の方々や登壇いただいた講師の方々から温かいお言葉をいただいたことへの感謝を述べ、「本研究所は、医工学、看護、食の部分での大きな社会問題を解決したい。これらの社会問題を確実に解決していくような方向性を持って活動していきたい」と締めくくりました。

 

見学会の様子

フォーラム後に、本研究所の見学会が行われました。本学がこれまでに取り組んできた「医療ヘルスケア機器分野」「看護介護分野」「食栄養分野」と、大学や企業との共同研究における医産学連携の研究成果、今後の研究方向及び試験研究機器等について、38の展示・デモンストレーションが実施されました。

 

医療ヘルスケア機器分野

倒立顕微鏡を使用した研究「誘電泳動・電気回転操作による機能性細胞の識別と回収」

 

看護介護分野

小児シミュレーターを用いた研究「ICTを用いた小児医療人材育成プログラムの開発」

 

食栄養分野「体組成分析装置、代謝測定装置」

 

連携教員テーマ「生体信号に基づく麻酔の自動制御」

 

より自由で新しい発想を

見学会には、本学の関係者の方々をはじめ、医療関係者の方や、医療機器、食品関係など、多くの企業の方々にもお越しいただきました。また、本研究所は、多様な専攻の大学院生が医療ヘルスケア機器、看護介護、食栄養に関して学ぶことができる分野横断型の共通科目を開講し、共同研究室を設置する「オープン大学院」としての機能も持つことから、大学生や大学院生も見学会を訪れていました。

本研究所の小橋所長は、「リラックスした雰囲気の中でこそ、より自由で新しい発想が生まれる」として、関係者がフランクに情報交換などの話ができる場づくりの提供を行っていきたいとし、その上で、「本学が有する自然・人文・社会科学の知を結集し、兵庫県立はりま姫路総合医療センターに隣接しているという立地条件を活かして、異分野融合によってイノベーションを生み出し、社会での実装の実現に向けて研究開発を行っていきたい」と力を込めて話しました。

工学部フォト部撮影協力

 

 

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