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エスペック株式会社とSDGs推進に向けた連携協定を締結しました

本学とエスペック株式会社(本社:大阪市北区)は、相互が緊密に連携して、協働による活動を推進することにより、生物多様性の保全や環境・エネルギー問題など、社会の様々な課題に迅速かつ適切に対応し、SDGsの推進を図ることを目的に包括連携協定を締結することとなり、8月30日(火)に兵庫県庁で連携協定締結式を行いました。なお、企業とのSDGs関連の連携協定は、本学初となります。

 

1947年に創業したエスペック株式会社は、1961年に日本で初めて環境試験器(温度や湿度等の環境因子を再現して、製品に及ぼす影響を分析・評価する機器)を開発し、以降、世界シェアNo.1を誇っている会社で、環境創造技術を中心とした事業を通じて、SDGsの実現にも取り組まれています。

SDGsの実現に向けた取組として、環境試験器の提供により、自動ブレーキなど予防安全技術や自動運転技術、エコカーや車載用バッテリーなどの開発を支援することで先端技術の発展に貢献されています。また、その土地の在来種による「森づくり」や、自然の河川を取り戻す「水辺づくり」など、自然環境を復元する環境保全事業を行い、地球温暖化や生物多様性保全に貢献されています。

技術開発と新製品開発の拠点であり、生物多様性保全を推進する拠点となっている神戸R&Dセンター(神戸市北区)では、社員とその家族の方が約3万本の在来種を植樹して育てた「エスペックの森」や、六甲北部に生育している約30種類以上の在来植物を用いた技術開発棟の屋上緑化、カルガモやヒヨドリなど多くの鳥類が飛来する2つの池と小川からなるビオトープを設けるなど、地域とのつながりを重視した生物多様性保全に取り組まれています。

 

本学においても、かねてよりSDGs17の目標達成につながる教育・研究を行ってきました。今年3月には「兵庫県立大学SDGs宣言」を発し、より一層、学内一丸となって持続可能な社会実現の達成に向けて貢献できるよう、SDGs推進に力を入れており、例えば、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進による脱炭素社会の実現の切り札となる水素などのエネルギー分野の研究をはじめ、野生動物が生息する自然環境と人間社会の関わりに関する調査や政策提言、水田や河川に生息する生物の研究に取り組んでいます。また、「誰一人、取り残さない」というSDGsの理念に通じる研究や実践、高齢者や障がい者等の要配慮者の避難の促進に関する調査・研究といった減災復興に関する取組など、多様な取組を進めています。

 

締結式の中で本学の太田勲学長は、今回の連携協定に期待することとして、「一つには、生物多様性の保全を通して、SDGsの達成につながる研究ができるということがある。研究のプロセスの中で、本学の学生がフィールドに入って研究のお手伝いをする形で自らの知識を増やし、SDGsに対する意識を高めていくことにつながる。もう一つ、エスペック株式会社が持っておられるエネルギー関係、特に水素関係の技術と、本学の工学部・理学部が開発してきた研究シードを上手くマッチングさせながら、何か形のあるものをつくっていけるようになれれば嬉しい。そういう方向をめざしてやっていきたい。取組を通して本学の学生や自然・環境科学研究所の教員とエスペック株式会社の方との関係が密になる中で、新しい切り口など、何か新しい発見があるのではないか。そういうところを期待している」と述べました。

エスペック株式会社の石田雅昭代表取締役会長は、「企業における生物多様性の取組を進める中で、学問的なアプローチが必要だと思う。企業における生物多様性の取組は、難しいところがあり、兵庫県立大学の学術的な叡知を踏まえて、エスペック株式会社が企業の生物多様性の取組モデルのような形をつくることができれば良いなと考えている」と話されました。

 

エスペック株式会社は、今年度から、生物多様性保全の新たな取組として、また、社員教育や地域への環境教育の場として活用していくことを目的に、本学の自然・環境科学研究所の石田弘明教授の協力・監修のもと、兵庫県三田市内の国有林を50年間借り受け、林野庁「法人の森林」制度を活用した森づくりを行います。これは、今から60年ほど前にスギとヒノキの植樹が国内で盛んに行われた時代があり、それらの木が木材として利用できる適齢期を迎え、適齢期となった木を国が伐採して跡地となった箇所に、国有林の法律に基づいて2年以内に植樹を完了するという枠組みの中で行うものです。3.6haの土地に、合わせて12,000本の三田市内の8種類の在来種(ひょうご元気松・ヤマザクラ・シバグリ・クヌギ・コナラ・ケヤキ・イロハモミジ・ウリハダカエデ)の木を2年間で3回に分けて植樹を行うことになっており、当面10年間、本学とエスペック株式会社とで共同研究を行っていくこととしています。

 

このたびの連携協定により、生物多様性の保全に関して、エスペック株式会社が取り組む在来種による緑化については、本学が協力して学術的な効果検証や県内の里地・里山の環境保全に関する効果検証を行います。また、教育・学習・人材育成に関することとして、エスペック株式会社によるインターンシップの受け入れにより、本学学生への国内外での就業体験の機会の提供や、国有林等を本学学生の教育や研究活動の場として提供されます。併せて、環境・エネルギー問題についても、相互連携によりカーボンニュートラル・GXの実現に向けた研究・開発を、その他、地球温暖化防止のための研究・技術開発を行っていきます。

 

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