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兵庫県立大学知の交流シンポジウム2022開催~ニューノーマルにおける産学公連携オープンイノベーションに向けて~

9月27日(火)、アクリエひめじで、「兵庫県立大学知の交流シンポジウム2022~ニューノーマルにおける産学公連携オープンイノベーションに向けて~」を開催しました。新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ侵攻など、私たちを取り囲む環境が大きく変わろうとするなか、このシンポジウムは、グリーンエネルギーやAI、環境、ライフスタイル等に関する先進的な取組など、本学の最先端研究の成果を産業界・地域社会に向けて発信するもので、本学の存在を積極的にアピールするとともに、産学公連携により産業界・地域社会の活性化を図ることを目的としています。本シンポジウムは、今回で15回目を数え、過去2年間は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインで開催していましたが、今年は、2019年以来の対面型による開催となりました。

 

はじめに、産学連携・研究推進機構の豊田紀章副機構長から次第説明が行われ、その後、副学長兼産学連携・研究推進機構の畑豊機構長から開会挨拶がありました。畑機構長は、本シンポジウムの副題を「ニューノーマルにおける産学公連携オープンイノベーションに向けて」としたことについて、「我々は、コロナ禍を経験してウィズコロナ、アフターコロナの対応をやむなくされた。それに従い、ウェブ等のICT技術が急速に発展した。この状況に対応するためにも、産学公連携のオープンイノベーションを強力に推進する必要がある」とし、「オープンイノベーションをめざして、果敢に挑戦するしか本学に生き残る道はない。ぜひみなさまのご協力をお願いしたい。本日のこのシンポジウムが、明日のみなさまのビジネスの知となることを祈っている」と述べました。

 

来賓としてお越しいただいた、片山安孝兵庫県副知事から挨拶の言葉をいただきました。

 

一般講演

午前に行われた一般講演では、産業界における身近な問題を取り上げ、グリーンエネルギー、先端医療工学、高齢化社会に応じたフレイル対策、環境問題、放射光を用いた産業利用という観点から、本学の5つの附置研究所の最新の研究内容に関する発表があり、渡邊健夫学長特別補佐(先端科学技術・異分野融合研究推進担当)が座長として進行を行いました。

 

まず、政策科学研究所の草薙真一所長による「グリーントランスフォーメーション(GX)関連の研究開発に向けた政策面からの必要性および施策~GXの実質化~」と題した講演がありました。草薙所長は、今年6月に政府主導で発足し、鉄鋼やエネルギー、化学などの440の企業が参加しているGXリーグについて挙げ、「参加企業は、いろいろな分野において脱炭素製品の調達、販売を積極化することを誓っており、また、企業間の連携の重要性が高まっている。本研究所としては、早期かつ積極的に企業にアプローチして、ビジネスの情報をフォロー・分析していきたい」とし、政策面における具体的な方法等について講演を展開しました。

 

次に、先端医療工学研究所の小橋昌司所長による「学際的研究で切り拓く先端医療工学~医療現場のなかで医療工学を学ぶ・医療機器を開発する~」と題した講演がありました。講演の中で小橋所長は、今年4月に兵庫県立はりま姫路総合医療センター内に開設した本研究所の概要や特徴から、兵庫県立はりま姫路総合医療センターとの連携事業、8月に研究所内にオープンしたイノベーションサロン、オープン大学院といった取組を紹介し、「本学は、様々な研究科があり、研究者がいるので、ニーズに答えることのできる多様な研究シーズを持っている」「ぜひ、広く産業界からの利活用をよろしくお願いしたい」と呼びかけました。

 

地域ケア開発研究所の増野園惠所長からは、「フレイル総合対策に向けた異分野融合による地域共創の提案~地域事業に合わせた総合的なフレイル対策を一緒に考えてみましょう~」と題した講演がありました。増野所長は、「看護学の実践研究所」として、地域で人々の健康を維持していくことを目的に、スキルやシーズを地域社会に提供し、各地域にある健康にまつわる課題について、地域の方々と解決策を模索する研究を進めている本研究所の紹介をはじめ、私たち日本が直面している大きな課題である超高齢化社会に伴うフレイル対策について講演しました。講演の中で増野所長は、「人が活き活きと健康に暮らすことができるコミュニティづくりに貢献したい。研究所と地域のコミュニティが出会い、つながる場・共創の場を提供し、フレイル対策に関する研究の推進と、研究成果の集積・発信を行っていく」として、「ご一緒に研究あるいは活動をしてくださる方を募集している」と講演を結びました。

 

自然・環境科学研究所の佐藤裕司前所長からは、「パートナーシップによる生物多様性保全の取り組み~遺伝子解析の研究から産学連携による保全まで~」と題した講演がありました。佐藤前所長は、本研究所で扱っている自然環境系(三田市)、景観園芸系(淡路市)、森林動物系(丹波市)、地域資源マネジメント系(豊岡市)、宇宙天文系(佐用郡佐用町)の5つの系の中から、自然環境系の取組について講演し、「生物多様性とは何か」についてや、今大きな問題となっている遺伝的撹乱について本研究所の教員が行った研究例、産学連携による保全の取組を紹介しました。佐藤前所長は、講演の最後に「本研究所は、学術研究と社会貢献の両立をめざしている。また、今年度、開設30周年を迎え、2023年2月23日には、神戸国際会館でシンポジウムの開催を予定している。『ひょうご、五国を究め、未来を拓く』という冊子も作成した。内容については、当日ポスター会場で詳しくご説明したいので、ぜひお越しいただきたい」と述べました。

 

一般講演の最後は、座長を豊田副機構長と交代して、高度産業科学技術研究所の渡邊健夫所長特別補佐が登壇し、「ニュースバル放射光施設における産業利用~先端半導体・次世代蓄電池等の産業利用への展開~」と題した講演を行いました。渡邊所長特別補佐は、「本研究所が運営するニュースバル放射光施設は、播磨科学公園都市に位置し、国内の大学が有する最大規模の放射光施設である。太陽光線に比べて400倍~1000万倍強い放射光・X線を使って、今まで見えなかったものを見るというのが放射光である。放射光施設をひとことで表すと『巨大顕微鏡』である」と紹介し、「本研究所は、産業利用と基礎研究の両輪で走っている研究所である」として、本研究所で行っている半導体と電池に関する研究内容について講演しました。また、教育面では、工学研究科材料・放射光工学専攻に属しており、「材料に強く、放射光の分かる学生を世に送り出していくという取組をしている」と紹介しました。

 

特別講演

午後からは、はじめに清元秀泰姫路市長から挨拶の言葉をいただきました。

 

特別講演では、3名の方を講師としてお招きし、登壇いただきました。

まず、特別講演1として、国立研究開発法人産業技術総合研究所の石村和彦理事長から「日本の産業競争力とオープンイノベーション」と題して、産業技術総合研究所の概要、産業界の現状と製造業の勝ちパターン、新たな差別化要素としてのSDGs、オープンイノベーションの必要性について講演いただきました。

 

特別講演2では、清元秀泰姫路市長から「『姫路』の魅力的な都市づくりとアカデミアへの期待」と題して、姫路市総合計画「ふるさと・ひめじプラン2030」の基本構造の全体像や都市ビジョン、令和4年度の姫路市の主な施策として、にぎわいと感動にあふれるまちづくり、ゼロカーボンシティの推進、ひめじ創生SDGsの推進といった姫路市の取組の紹介と、「アカデミアへの期待~知の交流による課題克服 ひめじ創生に欠かせないモノ~」として、本学への思いなどについてお話いただきました。

 

特別講演3では、本学の卒業生でもある播州電装株式会社の米田昭彦代表取締役社長から、「ワイヤーハーネスビジネスのグローバル戦略」と題して、播州電装株式会社の企業理念やプロダクトであるワイヤーハーネス、製品の役割、市場シェア、播州電装グループの紹介、現状のビジネス環境と課題、グローバル戦略、ITシステム、SDGs、今後の課題、目標について、ご紹介いただきました。

 

産学連携関連特別講演

本シンポジウムの最後のプログラムとして行われた産学連携関連特別講演には、本学の太田勲学長が登壇し、「兵庫県立大学の産学連携活動の展望~じばさんびる活動拠点12年の歴史を超えて~」と題した講演を行いました。太田学長は、「産学連携活動の基盤は、工学部にある」として、本学の前身である姫路工業大学の誕生の経緯や、姫路工業大学時代の産学連携活動、兵庫県立大学発足と産学連携活動、「じばさんびる」に産学連携機構を開設、「じばさんびる」拠点活動12年の歩みといった、本学の産学連携活動のこれまでの取組や、ニューノーマルに向けた展望について講演しました。講演の最後には、「産学連携・地域貢献は、公立大学のミッションである」と掲げ、初心を忘れることなく、地元産業界、金融機関、自治体、各種産業支援機関、企業団体との信頼関係を大事にすることや、地域の特色・強みを活かした連携・支援活動を行うこと、世界最先端研究インフラに隣接した本学の強みをフルに活用した先端研究成果を活用する必要があること、常にDX、GX、SDGsを念頭におくこと、発想の転換やダイバーシティを尊重した考えが重要であると、述べました。

 

当日の資料はこちらからご覧になれます

最後に、豊田副機構長から閉会挨拶があり、「今回のシンポジウムでは、講師の方々からこれからの日本、世界の為になることや、大変参考になる貴重な講演をいただいた。また、本シンポジウムが、みなさまにとって、これからの産学連携活動に少しでも役に立つことを切に願っている。大学の使命の1つに社会貢献がある。本学は、この使命を果たすべく、これからも地域のみならず、日本あるいは世界の発展に貢献できるよう努めていきたい」と挨拶し、本シンポジウムを結びました。

 

ポスター発表

ポスター会場では、一般講演を行った本学の5つの附置研究所をはじめ、科学技術後援財団研究助成課題、フェローシップ受給博士後期課程課題、ものづくり、情報通信AI・loT、ナノテクノロジー、エネルギー、バイオサイエンス、環境、ライフサイエンス、ビジネス、DXの11の分野に関する本学の研究シーズの紹介ポスターや、企業・金融機関・関係機関等の紹介ポスター、特別講演者ポスターの計137点の展示がありました。3年ぶりの対面での発表ということもあり、会場内では、活発な交流が行われました。

また、学生のポスター発表を対象に、専門外の方にも分かりやすく説明しているポスターを来場者に5件以内で投票していただきました。投票結果をもとに、学内委員1名と外部委員8名からなる審査会で審査を行い、優秀ポスター賞を5件選定し、内最優秀者には、姫路市長賞が授与されました。授与式は、シンポジウム後に開催した交流会で行いました。

 

本シンポジウムでの交流が、地域社会や産業界で新たなイノベーションを生み出すきっかけとなることを願っています。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

なお、本学のホームページや産学連携・研究推進機構が発行している「産学連携研究シーズ集」でも、本学研究者の研究内容をご紹介しています。

 

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