このたび、神戸市、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構、株式会社リバネス主催「メドテックグランプリKOBE2022」において、理学研究科兼先端医療工学研究所の鈴木雅登准教授が代表を務めるチーム「CellROT」が最優秀賞を受賞しました。
メドテックグランプリKOBE2022は、リアルテック領域(創薬、医療機器、再生医療、ヘルスケア、研究ツール等)の技術シーズと起業家の発掘育成を目的としたプログラムで、パートナー企業として、エーザイ株式会社、株式会社カイオム・バイオサイエンス、キリンホールディングス株式会社、シスメックス株式会社、CPCC株式会社、第一生命ホールディングス株式会社、大正製薬株式会社、三井化学株式会社、ロート製薬株式会社がついています。応募対象者は、リアルテック領域の技術シーズをもとに世界を変えたい、世の中をよくしたいという構想を持ち、創業あるいは新事業展開の意志がある個人・チームで、「新しい予防・診断・治療」をテーマに募集が行われました。
10月8日(土)に神戸大学先端融合研究環統合研究拠点コンベンションホール(神戸市中央区)で行われたプレゼンテーション審査には、応募総数76チームのうち、書類審査を通過した12チームがファイナリストとして参加し、①新規性、②実現可能性、③海外への展開力、④世界を変えそうか、⑤パッションの5つの観点から審査が行われました。
当日、プレゼンテーション審査に臨んだ鈴木准教授は、「細胞のシステムを使ったモノづくりを普及したい」として、「細胞の回転でわかるラベルフリーな電気特性評価装置」と題した発表を行いました。鈴木准教授のグループは、独自の計測器を使って、ダメージレスに、細胞集団から有用な単一細胞を識別して単離する装置「単一細胞解析装置」と、その装置に用いる電極チップを開発し、細胞加工業者や創薬メーカー、創薬ベンチャー企業に販売。装置を購入した企業は、病院から依頼を受け、病院で採取された患者の血液から装置を用いて細胞移植用の細胞集団の調製を行うという一連の流れによって、CellROTから企業に対して「標識剤や遺伝子レベルでの損傷がなく、均質な機能を発揮する細胞集団」という価値を提供できることや、最終顧客である細胞移植治療を必要としている患者への安全・安心な治療の提供に貢献したいと発表しました。
今回の受賞を受け、鈴木准教授は、「ただただ、びっくりしました。正に目が回る感じでした。私の提案は、まだまだアーリーフェーズのシーズであり、実現可能性と事業性に課題があります。技術の新規性と可能性を高くご評価いただいた結果、今回の受賞につながったと思います。細胞を一括に回転させる方法は、私が学生時代(15年前程度)に見出し、その後、改良を加えて、今回の受賞につながったことは、感慨深いです」とコメントしました。
今後の方向性や意気込みについては、「昨年度・今年度と、SCORE-GAPファンドやSTART-GAPファンドのご支援をいただき、回転を評価する技術や電極とマイクロウエルを融合させる技術を構築してまいりました。今後は、様々な種類の細胞や、細胞の状態を回転速度で評価し、細胞移植治療用の細胞の品質評価、細胞の応答を利用した薬物の評価や化合物の安全性を評価する装置を具現化して、事業化につなげていきたいです」と話しました。
左から7人目が鈴木雅登准教授
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