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情報科学研究科 加藤直樹教授が「令和4年度兵庫県科学賞」を受賞しました

このたび、情報科学研究科・研究科長の加藤直樹教授が「令和4年度兵庫県科学賞」を受賞し、11月10日(木)に兵庫県公館で贈呈式が行われました。

 

兵庫県科学賞は、県民文化の高揚、科学技術の向上、スポーツの振興及び明るい地域社会づくりに貢献された方々の功績を讃えて兵庫県から贈られる四賞(文化賞・科学賞・スポーツ賞・社会賞)の1つで、科学技術の研究に熱心な方で、その研究の成果が科学技術の向上に著しく寄与すると認められた方に授与されるものです。加藤教授は、「離散アルゴリズム研究の分野において、災害時の最速避難計画を求める手法の開発や、組合せ剛性理論における分子構造予想の証明など、多大な成果を挙げるとともに、データサイエンス人材の育成にも尽力した」ことが評価され、今回の受賞に至りました。

 

加藤教授は、京都大学工学部数理工学科在学中に、オペレーションズリサーチに興味を持ち、計画工学の研究室でオペレーションズリサーチの研究を始めました。オペレーションズリサーチとは、「何かを実行・実現しようとするときに、いかに無駄をなくして最適化するか」を導き出す手法で、主に第二次世界大戦中にアメリカやイギリスが軍事作戦を計画する際に用いていたことでも知られています。戦後は、社会活動のあらゆる場面で社会的課題解決のために活用されています。1981年から1997年の間に在籍していた本学の前身である神戸商科大学商経学部管理科学科では、論理的思考や数理的思考が求められるオペレーションズリサーチの研究、なかでも組合せ最適化、離散アルゴリズムの研究をしていました。その後、京都大学、関西学院大学での教育・研究活動を経て、2019年4月に本学に開設された社会情報科学部の学部長に就任し、2021年4月からは情報科学研究科の研究科長も務めながら教育・研究活動を行っています。

近年の研究テーマ・分野は、特に東日本大震災以降、重要性が認識されてきており、近い将来には南海トラフ地震の発生も想定されている中で必要性が高まっている避難計画に関連する研究で、避難時間や避難所の容量などの避難計画の妥当性を判断する数理モデルをつくって「最速避難計画」を求めるアルゴリズムに関する研究をはじめ、与えられたフレームワークをグラフとして扱うことで、そのフレームワークの剛性(外から力が加わったときの変形のしにくさ)を組合せ的に特徴づける「組合せ剛性理論」に関する研究をしています。また、大量のデータからデータの背後に潜む有用なルールやパターンを抽出し、新しい価値ある知識の導出・創造を行う「データ分析・データマイニング」に関する研究については、連携企業と共同研究を行っています。

教育面では、ビッグデータの利活用に対応できる技能を持ち、企業活動や様々な分野における社会的課題解決に貢献できるデータサイエンス人材の育成に力を入れています。

授業風景

 

今回の受賞を受けて加藤教授は、「本学の神戸商科キャンパスの教員で兵庫県科学賞を受賞したことは初めてなのではないかと思う。情報科学研究科としても初めてのことであり、情報科学の分野がメインで賞をいただけたことは、本研究科にとって励みになると思う」とコメントしました。また、今後の抱負については、「私は、これまで、最適化理論、離散アルゴリズムを中心とした理論的研究、並びにその応用研究を行ってきた。近年では、データサイエンスの研究と実践も手掛け、情報科学の広い分野にわたる研究に携わっている。今や、情報科学は多くの学問分野の発展を支える基盤科学として、大きな発展を遂げており、私も兵庫県立大学の学術的発展、人材育成、情報科学の立場から貢献していきたいと考えている」と話しています。

 

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