このたび、情報科学研究科健康医療科学コースのラシド イサム(Essam Ali Hammam Ahmed Rashed)教授が所属する研究グループが、文部科学省の「令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞しました。
「科学技術分野の文部科学大臣表彰」は、科学技術に関する研究開発、理解促進等において顕著な成果を収めた者にその功績を称えて授与されるもので、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術の水準の向上に寄与することを目的に、科学技術賞、若手科学者賞、研究支援賞、創意工夫功労者賞が設けられています。
ラシド教授は、名古屋工業大学大学院工学研究科電気・機械工学専攻の平田晃正教授、小寺紗千子准教授とともに行った「新規感染症感染者数及び死者数予測システムの開発」による業績が認められ、我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発若しくは発明を行った者に贈られる科学技術賞(開発部門)を受賞しました。
ラシド教授の専門は、医用画像処理、データ分析とパターン認識、機械学習アプリケーションで、人間の様々な生物学的特徴を調査・分析・理解し、データ取得・操作・解釈のための新しい機械学習モデルを開発することを主な研究テーマとし、知能技術を用いたEM信号と生体組織の相互作用に関する研究や、機械学習を用いた医療データのパターン認識に関する研究などを行っています。
今回の受賞を受けてラシド教授は、「新型コロナウイルス感染症の拡大開始当初、数理モデルを用いた予測・分析が実施されましたが、人のネットワークや接触の詳細を模擬することができず、感染リスクを過大評価しがちでした。これらの要因を考慮できる新たな予測システムの開発が求められていました。本開発は、機械学習を用いることにより、時々刻々と変化する人のネットワーク、接触頻度、ワクチン接種による免疫の有効率、種々の変異株の感染力に応じて、中長期の感染者数および死者数を試算可能にしたものです。特に、海外などのワクチン接種および感染状況から、我が国におけるワクチンによる免疫獲得などを推定、予測に適用できるものとしました。本開発により、新たな変異株の出現、ワクチン接種戦略、緊急事態宣言の期間、蔓延防止措置の必要性など様々な条件下における新型コロナウイルス感染症新規感染者数、死者数などを試算し、政策決定のための補助データを提供できるようになりました。本成果は、今後の新規感染症対策における効果的な対策、医療体制の在り方に関する情報を提供しうるものであり、国民生活の安定に寄与しています。なお、本開発は名古屋工業大学の平田晃正教授、小寺紗千子准教授との共同研究により行われました」と話しています。
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