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兵庫県立大学環境人間学部25周年記念事業を開催しました

12月7日(木)、姫路環境人間キャンパスにおいて、兵庫県立大学環境人間学部25周年記念事業を開催しました。

環境人間学部は、兵庫県立大学の前身の1つである姫路工業大学の学部として、1998年4月に開設されました。日本で初めて学部名に「環境」と「人間」の両方を冠した学部として文系と理系の枠を取り払い、文理融合の新たな学問分野に挑戦する学部として発足し、2023年の今年、開設25周年を迎えました。このたび、これを記念し、記念式典をはじめとした各種イベントを開催しました。

 

・記念式典

・第20回環境人間学フォーラム(ポスター発表/口頭発表)

・シンポジウム「食未来エクステンション講座」

・旧制姫路高校校舎(ゆりの木会館・講堂)解説ツアー・一般公開

 

記念式典

記念式典では、はじめに吉村美紀学部長から挨拶がありました。挨拶の中で吉村学部長は、「環境人間学部は、1998年に前身の姫路短期大学から姫路工業大学の環境人間学部としてスタートし、2004年に県立大学の統合により現在の兵庫県立大学環境人間学部となった。この春までに4,524名の方が卒業され、一般企業だけでなく、国家公務員や地方公務員になられる方や大学院に進学される方、建築士や管理栄養士などの専門職まで幅広く活躍されている。開設当初から人間学を基軸とし、文理融合で少人数教育を行っている。様々な環境に関する課題を発見し、その課題の解決に向けて取り組んでいる。これはSDGs、持続可能な開発目標にも取り組んでいくことになる」と環境人間学部について紹介しました。

 

続いて髙坂誠学長による祝辞がありました。髙坂学長は祝辞の中で、「環境人間学部は、2015年9月の国連サミットで採択された、誰一人取り残さないための持続可能な17の開発目標(SDGs)の実現に、本学がコミットしていくための中核となる学部である。不確実で予測不可能な時代の中で、私たちは大きな危機に直面している。デジタルトランスフォーメーション(DX)は、私たちの生活に、暮らしの面で利点だけでなく、分断を生み出している。戦争やテロリズムは、多大な犠牲者を生み出し続けている。気候変動は、私たちの地球に深刻な脅威となっている。これらSDGsの達成に大きな赤信号を灯している危機は、人間が引き起こしたものである。だからこそ、多岐に及ぶ課題を克服するために、地球市民の力を結集しなければならない。私たちが手を携えて取り組めば、より良い世界への変化は可能である。これからも環境人間学部が、人間の自由と尊厳、豊かな多様性を持つ地球環境を守るために、グローバルな視点から教育、研究、社会貢献を進めていってほしいと願っている」と述べました。

 

第20回環境人間学フォーラム(2023年度)

環境人間学フォーラムは、環境人間学部及び環境人間学研究科内で重要なイベントの1つに位置付けられているプレゼンテーションイベントで、学生や教員が日頃の研究や実践活動を発表する機会として開催されており、今回で20回目となります。今回は、本学部生及び院生を対象に、地域やグローバル、学際領域など幅広い分野から、個人またはグループによる研究や実践活動に関する発表を募集し、ポスター発表38件、口頭発表6件の発表がありました。

 

ポスター発表の様子

体育館では、発表する学生、院生と、それを聴く教員、学生、院生のおよそ300人が集まり、ポスター発表が行われました。聞き手は自分の興味のあるポスターのところに行って、ポスターの横に立つ発表者の説明に聞き入っていました。発表者は自分たちの研究や実践活動のねらいや方法、成果等を、ポスターを使って丁寧に説明していました。発表を聴いた教員からは、どういう点が評価できるか、また、どうしたらもっとよくなるかなどのアドバイスが行われていました。

 

口頭発表の様子

大教室では、口頭での発表を希望し、審査を通過した6つの個人・グループによる口頭発表がありました。6件のうち3件が研究、3件が実践活動の発表で、分野も環境人間学部らしく、文系のものから理系のものまで多様でした。発表者は、200人を超える聴衆の前で自分たちの研究、実践活動の背景や既存の取組、自分たちの独自の方法、結果等を堂々と説明していました。発表後には聴衆からの質問にも答えていました。

 

表彰式の様子

本フォーラムでは、姫路工業大学短期大学部、姫路短期大学、姫路工業大学環境人間学部・環境人間学研究科、兵庫県立大学環境人間学部・環境人間学研究科の卒業生からなる同窓会「ゆりのき会」から、優れた発表をした学生に対して「ゆりのき会賞(ポスター部門:最優秀賞・優秀賞・奨励賞、口頭発表:最優秀賞・聴衆賞)」が贈られました。また、今年度はポスター部門に学術情報館賞、口頭発表部門に学部長賞が設けられ、それぞれ優秀な発表をした学生に贈られました。

「ゆりのき会賞」のプレゼンターを務められた、ゆりのき会 木下康子会長

 

旧制姫路高校校舎(ゆりの木会館・講堂)解説ツアー・一般公開

姫路環境人間キャンパスは、1923(大正12)年に創立された旧制姫路高等学校の校地を継承しており、現存する本館(現在の「ゆりの木会館」)は1924年に、また講堂は、1926(大正15)年に建築されたものです。両建物ともに木造の洋風建築で、外観・内部ともに大正時代の雰囲気を残しています。1999年には、国の登録有形文化財(建造物)に指定され、2015年にはNHK連続テレビ小説「あさが来た」のロケにも使用されました。

ゆりのき会館

講堂内部

 

今回は、記念事業の1つとして、本学部で建築デザインの研究を行っている水上優教授による解説付きのゆりの木会館・講堂ツアーが開催されました。また、普段は非公開となっている両建物の一般公開も行われました。

環境人間学部 水上優教授による解説

 

25周年記念事業シンポジウム 令和5年度「食未来エクステンション講座」

講堂では、環境人間学部 食環境栄養課程が実施している「食未来エクステンション講座」エキスパートコースとの共催で、25周年記念事業シンポジウムが開催され、学生をはじめ、一般の方々にも参加いただきました。

 

はじめに、先端食科学研究センター長で環境人間学部の坂本薫教授による開会挨拶がありました。

 

開会挨拶後、吉村学部長による「環境人間学部25周年・SDGs達成に向けた教育研究」と題した講演がありました。吉村学部長は「環境人間学部は、持続可能な開発目標SDGsの教育・研究に取り組むとともに、さらなる100年に向けて様々なことに取り組んでいく。環境人間学部の理念を継承しつつ、今後の教育・研究、社会貢献活動に向けても、変革・前進をしていく所存であるので、今後ともよろしくお願いしたい」と述べました。

 

基調講演

基調講演では、お茶の水女子大学の赤松利恵教授を講師にお迎えし、「食から考える地球と私たちの健康」と題して、「何を食べるか」と「食事の量」の2つの観点から、「地球と私たちの両方にとって良い食事とはどういう食事なのか。また、地球と私たちの健康のために、私たちは何ができるのか」についてご講演いただきました。赤松教授は講演の冒頭で、「私は管理栄養士でもあり、より健康な食生活をどういうふうに送れば良いのかという行動変容を専門にしているが、最近は、私たちの健康だけでなく、地球環境のことも考えて食生活のアドバイスをしなければならない時代になってきている。このような背景から、ここ5年ほどは環境も取り入れながら研究を進めている」と話されました。また、講演では、食品ロス削減の観点から残さずに食べることが推奨される一方で、飲食店が提供する一食あたりの食事量が多いことから、外食産業における食べ残しが多いことや、外食を利用しながらの適正体重の維持の難しさについて取り上げ、「食事を提供する飲食店側もSDGsについてより知り、また、消費者側も飲食店に対して意見を発言するなどして、飲食店での適量提供・適量注文の環境を整えていくことが大事ではないか」と提言されました。最後に赤松教授は「私たちの身近なところから地球温暖化というものを改善していくことができるのではないかと思っている。ぜひみなさんも、改善に向けてできるところから始めていただきたいと思う」と講演を結ばれました。

 

座談会

「地球環境と私たち人間の食・健康として、私たちにできること(現在~未来)」と題して行われた座談会には、赤松教授と環境人間学部の増原直樹准教授、奥勇一郎准教授、中出麻紀子准教授が登壇しました。

 

最後に、環境人間学部の伊藤美紀子教授から閉会挨拶がありました。伊藤教授は「日々の食が健康と関係するということは、食未来エクステンション講座等でも深く考えてきたところであるが、それがこの地球環境と関連し、また、日々の健康が地球環境を変えるという新しい視点での学びが、このシンポジウムであったのではないかと思う。本シンポジウムは食未来エクステンション講座と共催で実施しているが、食未来エクステンション講座は、現在13年目で、これまでに非常に多くの参加者の方に受講いただき、多くの講師の方にご講演いただいている。来年度も開催予定であるので、ぜひ一般の方々や学生にも参加して欲しいと思う」と述べ、挨拶を締めくくりました。

 

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