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理学研究科 小出武比古名誉教授が「瑞宝中綬章」を受章しました

令和5年秋の叙勲において、理学研究科生命科学専攻の小出武比古名誉教授が、「瑞宝中綬章」を受章しました。

「瑞宝中綬章」は、長年にわたり公務等に従事し、成績を挙げた方に授与される勲章です。

小出名誉教授は、生化学的手法および分子生物学的手法を用いて「生命活動の維持機構」を主要なテーマとして生命科学の研究を精力的に推進し、特に、生体防御機構の1つである➀「血液凝固とその制御調節機構の研究」と、制御調節因子の遺伝的変異に起因する➁「血栓症の分子機構の研究」において、世界的に注目される重要な研究成果を挙げています。また、これらの研究を推進する一方で、兵庫県や東京のバイオ関連企業への学術支援や、共同研究についても積極的に推進してきました。教育面においては、タンパク質の構造と機能に関する研究を背景として大学・大学院における先端的教育を実践し、生命科学研究者の育成に努め、数多くの有能な学生を社会に輩出してきました。他大学においても、医学教育と生命科学教育に貢献しました。また、学外においても、国際学会関連の各種の学術雑誌の編集委員、編集顧問および日本学術振興会・特別研究員等審査会専門委員および国際学会委員会委員などとしても長年にわたり多大な貢献をするなど、広範囲な教育・研究活動や社会貢献をしてきた功績が認められ、このたびの受章となりました。

 

小出名誉教授は大阪府出身で、大阪大学理学部化学科に進学、大阪大学大学院理学研究科修士課程を修了し、同博士課程に進学後、中途退学して新潟大学医学部に助手として勤務しました。その後、大阪大学より理学博士を取得され、29歳のときに渡米し、米国ワシントン大学(シアトル)生化学科シニアリサーチフェローを併任、日本に帰国後、新潟大学医学部講師として教育・研究活動に携わりました。1991年に本学の前身である姫路工業大学理学部教授に就任し、2002年からは本学大学院生命理学研究科教授に就任、2006年~2008年には生命理学研究科長を併任し、2010年3月末に定年退職するまで本学の教育・研究に努め、2010年に名誉教授となり、今日に至っています。

 

このたびの受章を受けて、小出名誉教授からコメントをいただきました。

 

瑞宝中綬章の受章を受けて

令和5年秋の叙勲に際し、瑞宝中綬章を受章する栄誉に浴することができました。これまでご指導ご鞭撻をいただいた恩師、先輩・同僚諸氏、友人たちに感謝するとともに、結婚後55年もの間、私を支え、励ましてくれた妻に改めて感謝いたします。

瑞宝章の授与基準は、国および地方公共団体の公務等に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者とされています。私自身は、40年近く大学の教員として教育と研究に従事しましたが、果たしてどの程度の功労を積み重ね、成績を挙げたかどうかは確信のなかったところですが、今回、この部分が評価されたのは大変嬉しいことです。

私は、大阪大学理学部を卒業後、同大学院博士課程2年生の1971年2月に、所属していた講座の恩師(池中徳治助教授、当時)が新潟大学医学部に新設された生化学第二講座に教授として就任されたのを機に、助手として採用され、その後20年余を新潟で過ごしました。

理学部出身者が医学の分野において貢献できる研究分野として、全身を巡る血液の凝固異常(血友病や血栓症)の基礎的研究を始めましたが、1974年から2年余、米国ワシントン大学(シアトル)のEarl Davie教授の研究室でシニアリサーチフェローとして血液凝固機構の研究を行いました。Davie研究室には、その後もシニアリサーチサイエンティストや客員教授として何度も滞在し、研究する機会を得ました。

私の大学教員生活の後半(19年)は、兵庫県立大学大学院生命理学研究科および前身の姫路工業大学理学部でしたが、本学に教授として就任後は、主に血栓症や血友病の原因となったタンパク質やその遺伝子の構造異常の解析や、その欠乏症の原因となる細胞内での分解機構などを研究してきました。40年間の教育と研究生活を通じて、多くの若者たちと一緒に学ぶことができ、数多くの国内外の研究者と共同研究ができたことは、私の大きな喜びです。

 

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